食品を長持ちさせるための方法は数多くありますが、「酸」を利用した方法もそのひとつです。
日常生活、特に食生活の中で使用する「酸」といえば、酢酸・・・つまり「お酢」です。このお酢を使った保存食品として有名なのが、「酢漬け」にした食品です。酢漬けは、食材の酸性度を高めることを目的とした加工方法です。
食品を腐らせる微生物は、一定のpH濃度でなければ生育されません。具体的には、pH(*)4.0以上でなければ、繁殖することはありません。
そのため、pHが4.0以下の酸性の食材は微生物が増えることがなく、腐敗する要素が大きく減少します。
(*)pH = 水素イオン指数。(potential Hydrogen)酸性・アルカリ性の程度を表す言葉
さらに、酢酸には強い抗酸性があるため、保存性という観点でも高い効果が期待できます。酢漬けにした食品が、かなり長持ちするのはそのためです。
また、酢漬けは塩との相性もよく、塩でまず水分を取り、その後に酢漬けにすることでさらに保存性が増します。味の方も酸味がまろやかになり、食べやすくなります。ピクルスやしめサバがこの最たる例でしょう。
梅干などの「塩漬け+乾燥」同様、複数の保存方法を同時に行いつつ、味も調える保存食品は多数あり、ここには先人の知恵や経験が活かされています。
酢漬けの保存食品は、かなり酢の風味や酸の刺激が強くなりますが、その分食材の持つ独特の風味を和らげる働きもあるので、味の面でも高く貢献しています。
近年は、酢の味が嫌いという人でも食べられるよう、比較的酢を弱めにしている物も多く作られているようです。