南仏オリーブオイルを巡る旅 No.2 | 女社長経営 美の館 ビューティーブログ

女社長経営 美の館 ビューティーブログ

表参道 徒歩5分 

エステ、ネイル、ヘアメイク、まつ毛エクステなど

美容の全てが集まった完全個室制のトータルビューティーサロン

地中海の太陽と優しい潮風が今も昔も変わらずオリーブを育み続ける

オリーブ

石垣に囲まれたオリーブの木。不格好だがこれも良いオリーブオイル作りに欠かせない要素


オリーブ

黒、緑、小豆色。熟度が異なるオリーブの実を混ぜることで独特の風味を醸すオイルになる

古から伝わる土地と木
迅速な収穫&搾油
これが良質なオリーブオイルを生む

朝食後、L'UPUPA 農園をジョージ&ミツエ夫妻に散歩がてら案内してもらった。ここには2ヘクタールの土地に約180本のオリーブの木が生えており、プッリャ州の代表的な品種“Ogliarola”と“Cellina diNardo”だという。

説明を聞きながらゆっくり歩いても一周1時間とかからない。決して大きな農園ではないが、家族で維持していくにはこれくらいの規模がちょうどよいのであろう。

しかしそれにしてもこの無造作といってもいいオリーブの木の生え具合はどうだ。もっと形のいい木を整然と植えたほうが効率がよいのではないだろうか?  まずはその辺りからミツエさんに伺ってみた。

「サルヴェ村のあるプッリャ州地方は昔からオリーブの産地として有名でした。大規模農園ではおっしゃるように、形の良い新しい木を整然と並べて植えています。

しかしこの農園のオリーブは中世のころに植えられた樹齢100年以上のものがほとんど。新しい木も植えていますがそれほど多くはありません。

古い木、特に100年以上のものは幹が2つに割れていき、くねくねと曲がって確かに見た目は不格好になります。はっきり言って収穫もしづらいです。

しかし古い木はそれだけ太い根を地中に巡らせているので、オリーブの実にミネラルを豊富に取り込んでくれます。木の周りに積んである石垣は、その根を地中深く巡らせるためのもの。これがないとオリーブの根が水平に伸びてしまい地中に向かわずに地表に出てしまうのです。そうなると実に取り込むミネラル分が少なくなってしまいます。

よいオリーブの実を収穫するために昔の方が考えた工夫で、うちはそれをそのまま利用しています。ちなみに土地を巡っている石垣は、丘陵状になっているこの土地の土が下に流出しないようにするためのもので、これも中世の方が築いたものがほとんど残っています。石造りの家はトルッロと呼ばれ中世の農民の家もしくは納屋です」。

オリーブ

なるほど。古代遺跡の発掘現場のような農園だが、その古い木と石垣をあえて活かしているのは上質なオリーブオイル作りに役立っているというワケだ。 

「うちは農薬はいっさい使っていません。完全無農薬無化学肥料栽培です。害虫駆除は鳥などを使ったバイオロジーシステムに頼っています。農園の名前になっているUPUPA はこちらの鳥の名前で、毎年4月ごろにやってくる渡り鳥ですが、これも害虫を食べてくれます。そのほか枝打ち、雑草とりなど一年間のメンテナンスを家族で行いつつ、収穫の時期を迎えます」

オリーブ

収穫のタイミングはオリーブオイルの品質に影響があるのですか?

「もちろんです。収穫は10月下旬から11月上旬になりますが、うちではオリーブの実が“熟しきってない緑色”“少し熟した小豆色”“熟した黒色”のそれぞれの実の割合が均等になるタイミングで収穫しています。

この割合はオリーブ園ごとに異なり、それによりオイルの風味が全く違ってきます。例えば全部熟して黒い実だけを採る農園もあります。熟した実は落ちやすいので収穫しやすく、また収穫時期も幅が出て余裕が持てます。

しかしその状態の実からつくったオリーブオイルは酸度が高くなり、それは私たちが考えている上質なオイルとは異なります。緑の実が混じると収穫に手間がかかるし、収穫時期も限定されるため条件としては厳しいです。しかしほどよい風味と酸度を押さえたエクストラバージンオイルをつくるために、あえてそうしています。」 

収穫方法でこだわっていることはありますか? 
「手作業とスピードです。まず熊手のような器具で、実をていねいに掻き落としていきます。できるだけ機械を使わないのは、実を傷めてそこから酸化が始まることを防ぐためです。

そして実を集めたらすぐに搾油所に行って絞ってもらい、その日のうち濾過して缶詰め、瓶詰めします。実を収穫してから搾油するまで時間を空けるとどんどん酸化が進みます。風味も変わってしまうので、収穫から製品にするまで一日で一気に行なう。このスピードが大切なのです」

手作業とスピード。この相反したキーワードもL'UPUPAのオリーブオイル作りに欠かせないものなのだ。この大切な収穫の一日を実際に体験させてもらった。その様子を次ページで紹介しよう。