集中砲火の果てに…横浜自転車選びストーリー 第二部 | 自転車で糖尿病を克服した!

集中砲火の果てに…横浜自転車選びストーリー 第二部

【前回からの続き】

今日はのんびりお散歩モードでショッピングを楽しむ…というコンセプトでゆっくりと横浜駅近辺を歩き回ってきたが、ちょっと疲れた。

横浜西口の繁華街はさすがに凄い人の数だ。ただでさえ時速4~5キロくらいしか出せない人間の徒歩スピードがさらに遅くなる…巡航速度は時速2.5キロといったところだろうか…。

ショッピングとは言え、実のところ私は何も買っていない。

A子はと言えば、足の甲の部分に穴が空いている珍しいタイプの靴下と、ピカピカゴールドの靴を半ば衝動的に購入していた。

時刻はもう午後6時過ぎ、あまり燃費の良くないタイプの私はそろそろお腹が空いてきた。

目的もなく、何のあてもなく、ここまで横浜を“楽しんで”来たが、夕食だけは、「TGIF」、つまり「フライデーズ」で取ろうと決めていた。今日はボリュームたっぷりのアメリカン系ステーキが食べたい…という思いは私とA子に共通していたから、そこに関しては例の“フジ・トラック”みたいな意見の食い違いはなかった…というわけだ。

そのためにはそろそろ横浜駅の方向に引き返さないとならないかな…そんなことを考え始めたそのとき、ふと見上げると目の前にとある伝統的な有名店があることに気付いた。

東急ハ○ズ。

私が言ったのか、それともA子が言ったのか記憶は定かではないが、「ちょっと見て行こうか?」ということになり、二人は何の抵抗もなくその大型有名店舗に入る。

実のところ、特に目的があってこの東急ハ○ズに入ったという意識はなかった。

だが、お店の中に入ったら思い出した。

そうだ! 自転車売り場があったゾ! ここには。

特に強烈な自転車マニアだとは思えないA子も、自転車をまた見ることにそれほど異論はないようだ。

私はちょっと早足で地下一階の自転車売り場へとつながる階段を降りる。

二人はB1フロアへと出る。そこからさらに半フロアほど降りたところがスポーツ自転車コーナーだ。

その場所に来たとき、私はちょっと驚いた。

一番目立つ入り口のコーナーには、な、な、なんとシングルスピードバイクばっかり置いてあったのだ!

言ってみれば、“ピスト祭り”みたいなもの…。

私の知らない間に横浜の東急ハ○ズは、シングルスピードバイクの半専門店と化していたのだ!

さきほどA子に賛同してもらえなかったFujiのシングルギアやMASI(マジと読むらしい)のピストバイク、サーリー…などなどいろいろと置いてある。

私は、(後から思うと)相当に目を輝かせながら、豊富に展示されているシングルギアの自転車群を見ていた…に違いない。

そのウチの一台になんとなく目が止まる。ちょっと珍しいカラーリングが非常に新鮮に見える。

ほどなく、比較的良く通る声の店員さんが、私に声をかけてきた。

そのセリフに私は再び驚いた。

「お客さんならサイズ56がいいですよ!」

えぇっ? サイズのことなど聞きもしないのに、いきなりドンピシャサイズを言って来る店員さんって……!?

自転車のサイズのこと…これは確かに今の私の再重要関心事。私の最も脆弱と思われる急所(=弱点)を、その声の通る店員さんは、ズバッとピンポイントで突いて来た…というわけだ。アメリカ軍のパトリオットミサイルも真っ青な命中精度だ!

店員さんの意表を突く奇襲攻撃はまんまと図に当たった構図となり、私は一気に守勢に立たされた。

むむむ…こ、これは…、ヤラレたぞ……。

私はなんとか体制を立て直そうと試みた。だがこの時点で主導権は、不覚にも完全に相手に握られた格好となってしまった。

先制攻撃で一瞬ひるんだ私の隙を、パトリオットミサイル擁するその店員さんアーミーが見逃すはずもない…。続いて展開されるのは、もちろん予想通り、情け容赦ない連続マシンガン攻撃だった!

店員さんアーミーは偵察能力も相当に優れていると見えて、私の視線が止まった先のその珍しい色のバイクに的を絞って攻勢を掛けてくる。

「こ~のフレームはな~かなかイイですよぉ~丈夫だし~。よ~く見るとわかるんですけど~これ非常に良く考えられていて~しっかりとぉ~つくられてる感じがするんですよねぇ~、私も実はシングルに乗って通勤してるんですけどぉ~、こう、なんて言うか、その面白みを知っちゃうと~」

毎分何千発だろうか…相当に密度の濃いマシンガン攻撃が私を襲う。

「お客さんは結構体格がいいから~これの大きめのサイズだと非常に似合いますよねぇ~このシートステイの部分があるじゃないですかぁ~ここがこう~立ち気味の角度で長~く伸びている~というのが良いんですよねぇ~お客さんだったらまさにそれができますよねぇ~」

まさに私は防戦一方。予備兵力であるはずのA子は、このジャンルの戦闘に関してはもとから持ち玉が少ないので、豊富な知識という“物量”を背景とした集中マシンガン攻撃に対抗するすべなど持っているはずもない。A子は自分が予備兵力であることなど忘れて、この戦闘の単なるギャラリーになってしまっている。

このままではマズい…なんとかしないと…。ということで私もなんとか反撃を試みた。

まずは煙幕作戦だ。時間を稼がねばならない。

煙幕で敵の照準を甘くさせ、一時的にでも命中精度を落とさせ、その間に兵力の立て直しを図ろうという、苦し紛れではあるが、場合によっては非常に効果的な作戦だ。

「あ、この隣にあるフジのやつなんかどうなんですかねぇ…?」

私はすでにA子に却下されているフジトラックを引き合いに出した。まあそれほど命中精度の高くない対空砲火のようなものかもしれない。

「あ~これもいいですけどねぇ~結構人気はありますし~でもパーツ内容などを考えるとぉ~やはりこっちの方が良くなってはしまいますよねぇ~」

煙幕作戦もほんの一時しのぎにしかならなかったようだ。マシンガン攻撃は衰える様子を見せない。

もっと強力な対抗策が必要だ…私は自分の脳内にある全CPUを動作させ、なんとかこの窮地から脱するすべを模索した。

そうだ! この手があったゾ!

私は、とある“撹乱作戦”を思いついた。

つい何時間か前にワ○ズで遭遇したあのピストバイクだ。

ホワイトのフレームにすべて赤で統一されたパーツを付けたシングルスピードバイク、あの黒人さんが乗っていたスペシャル・フジ・トラックのことをを聞いてみようか…。

私は気合いを入れると、「エイッ!」とその攪乱手榴弾を投げた。おそらく何らかの効果はあるはずだ…。

「あ、その黒人のお客さん、よく来られますよ~。私も良く知ってますよぉ~。先日も赤いハブだったかなぁ~買っていかれました~。しょっちゅう来られるんでぇ~」

な、な、なんと、そんな人がいることも店員さんアーミーは先刻ご承知! 我が軍は情報戦でも完全に後塵を拝した格好だ。

だ、だめだ、完敗だぁ…

私は撤退か最後の突撃か…苦渋の最終決断を迫られることとなった。

【横浜バトルストーリー 完】

(この文章は事実に基づいてはいますが、かなり脚色されています。決してこのような激しい戦闘が行われたわけではないので、読まれる方はくれぐれもご注意ください。そして、東急ハ○ズの店員さんゴメンナサイ…。あくまで演出ですのでご了承いただければ…と。)
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上記のような激しい戦闘の後、ある事実が発覚した。

実は、その珍しい色のシングルバイク(=サーリー・スチームローラー)の大き目のサイズ、つまりサイズ56がこのお店にあったのだ。(普通はこのサイズは取り寄せだ。たいていの場合。)

私はこのえび茶色のSteam Rollerがいたく気に入ってしまっていた。特にクロモリ&ホリゾンタル派ではない私ではあったが、その“ぼよ~ん”感といい、フレームから醸し出される“品”といい、珍しい色やドンピシャのサイズなどなど…ここでこれを選ばなければ何を選ぶ……???という感じだったのだ。

で、私は我が軍の最高司令官であるところのA子司令長官にどう思うか聞いてみた。さきほどのフジトラックの悲劇がここで繰り返されないことを祈りながら…。

司令長官の答えは、意外なことに“承認”だった!

司令長官的にもこのピスト“ミサイル”が持つ雰囲気は悪くない…と言う。きっと似合うハズ…ということだった。

以上がこの日の“横浜自転車選びストーリー”のあらましである。

で、このピストミサイル「Surly Steam Roller」が私のもとへ来るのは、4月上旬になる予定。もちろん実戦配備の暁には詳細レポートを予定している。(Bugaluさん 、たぶん同じくらいの時期になるかも…)

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長い文章、最後まで読んでいただけてありがとうございました!

次回は、“新発見!階段でも自転車トレーニングができる!”の予定かな…。


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