ツール・ド・タ・マガーワ【第3話】いざ一騎打ち! | 自転車で糖尿病を克服した!

ツール・ド・タ・マガーワ【第3話】いざ一騎打ち!

【今回の記事は、実話をもとにしていますが、あくまでフィクションです。登場する名称はすべて架空のものです。実在する団体、個人とは全く関係ありません!】

あぁ行き止まり2
あぁ、無情! 山岳スペシャリストを天は見放した!?

ツール・ド・タ・マガーワ第2ステージ、ここから厳しい峠のスタート!といったところでそれは起きた。ラルプ・プチ峠のいよいよ入り口というこの重要局面での思わぬコース変更に各チームは悲喜交々…。

この写真手前側では数千人の観客が声を合わせ、「峠を走らせろ!」というシュプレヒコールを送っていたが、UCI(連邦サイクリング連盟)のレース運営管理者は「危険を避けるため」という理由でこれに応じなかった。ファンの気持ちもわかるが、路面状況を考えると懸命な処置だったと言わざるを得ない。

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まさかのコース変更

山岳スペシャリスト、ブガル・ピエポリ選手を擁する「キャノン&ジェイミーフェルト」チームの落胆は想像するに余りある。彼らはこの“事件”で根本的な作戦変更を余儀なくされてしまったからだ。

ラルプ・プチの登りで一気にアタックを掛け、タカ・カンチェラーラ選手やオムアリ・バサド選手といった有力勢を一気に後方に置き去りにする…という効果的な作戦は、ここにきて唐突に起こったコース変更というアクシデントで、あっさりと封じられてしまったことになる。

天はときとして非常に気まぐれだ。突然の降雪により(一説には除雪作業の不手際が理由とも言われるが…)、勝負どころの峠が通行止めになる…。こんな事態を誰が想像したろうか…。

急遽コースは変更され、比較的平坦なコースを逆に戻る…という代案が採用された。

ついさっきまで、集団をリードしていた「キャノン&ジェイミーフェルト」、つまり「チームCJF」の選手たちは、まるで目標を失ってしまったかのごとく、後方へと元気なく下がり、大集団に吸収されてしまう。

さあ、レースは振り出しだ。

このアクシデントで逆にほくそ笑んだのは、「フラットバー・パワー」、そして「モースト・ピナレロ」の選手たち。

平坦での強さを持つ選手を多く抱える両チームは、峠では不利だが平坦路になればチームワークを利用した有利な戦いができる。

「フラットバー・パワー」オムアリ選手は、先頭を行く優勝候補のタカ・カンチェラーラ選手(「ペプシ・バルセロナ」チーム)をピタリとマークしたまま2番手を走り、チームメイトのスティーブ・N・ゴードン選手は咄嗟のアタックにも対応できるよう、そのすぐ後ろに控える。

一方「モースト・ピナレロ」チームは、イヴァン・セイボンヌ選手とレドラー・ビット選手が、不穏な動きを見せる「フラットバー・パワー」チームを徹底マークし、どんな秘策も許さないとばかりに間合いを詰め、先頭集団の後方を固める。

まさに何が起きても不思議ではないが、その緊迫感ゆえに何も起きない…。レースはそんな硬直した状況となった。

嵐の前の…

予想に反し、後半の山場を前にレースは静かな展開となる。

補給ポイントでは、選手たちは各チームスタッフからサコッシュを受け取り、栄養補給に余念がない。(あくまで噂だが、サコッシュにカツカレーライスが入っていたチームもあったという。厳しいステージを走り抜くためにはそれほどのエネルギーが必要だったということか。あるいは縁起をかついだのかもしれないが…)

選手たちは補給ポイントで一旦スローダウンしたスピードを取り返すかのごとく、再びハイペースでの集団走行となる。しばらくは楽な平坦路が続く。

だが、コースの難易度の高さで知られるツール・ド・タ・マガーワに出場する選手がこのまま平和に走り続けられるわけがない。間もなく集団は非常に危険かつテクニカルなコースへと入っていくことになる。

まずはいくつもの直角カーブで構成された、ア・キカーワ沿いの非常に狭いテクニカルなセクション。そして第2ステージの最大重要ポイントとなるかもしれない“シクロクロス”的なダートコースがそれに続く。

難易度の高いセクションを前に各チームは牽制状態に入る。

集団に大きな動きはない。まさに“嵐の前の静けさ…”といった状態だ。心なしか集団のスピードも少し落ちる。

順当な異変

いよいよ“危険セクション”の入り口へと集団は差し掛かる。

多少まばらだった沿道の観客もここに来て段々と数が増えはじめる。

集団後方にいた「モースト・ピナレロ」チームのビーオ・バイクスキー選手は、集団内での落車事故を避けるためか、集団前方へと移動する。

テクニカルセクションを得意とするパオロ・ゴッシーニ選手(チームCJF)もビーオ選手をピタリとマーク、ここは勝負どころとばかりに集団の先頭付近へと駆け上がる。

そしてまずは“順当な異変”がここで起きる。

このあたりのコースには何故か非常に馴染みのある(練習コースとして走っているらしい)タカ・カンチェラーラ選手がいきなりアタックを掛ける!

オムアリ選手が待ってましたとばかりに、ほんの一瞬遅れてスパートする!

二人のアタックに他の選手たちは意表を突かれ、数秒感反応できない。ダンシングの姿勢で追撃体制を取るときにはすでに若干の距離が開いている。

いよいよタカ選手が勝負を仕掛けて来た。 

だがこれまでもずっと先頭を走り続けてきたタカ選手、“鉄人”とも言われる高速巡航のスペシャリストだが、このままのペースで最後まで走りきることができるのか!?

それとも、タカ選手を徹底マークしてきたオムアリ選手の切れのある走りが最後には逆転勝利を呼び寄せるのか!?

一騎打ちの様相を呈して来たツール・ド・タ・マガーワ第2ステージ。

だが、他のチームもあきらめたわけではなかった。「モースト・ピナレロ」チームの3人も懸命の追い上げを見せる。

「チームCJF」の選手たちも追走だ!

まだまだ勝負はわからない。あきらめなかった者だけに勝利という“奇跡”は訪れる!

今、ツール・ド・タ・マガーワ第2ステージが大きく変化を見せてきた。

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さぁ、いよいよ決着するか!ツール・ド・タ・マガーワ第2ステージ完結編は次回へ【続く】
(いや、たぶん次回は競輪シリーズの続きなので、その次か!?)

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