不動産融資アレンジの実例 2題 回答編
10月21日
不動産融資アレンジの実例 2題 の回答編です。
問題①2億円の工事代金の資金調達
コンサル会社からの紹介案件。
所有する土地に新築するビルの工事代金の資金調達。
当然ながら、私どもにご相談される会社ですから既存取引の銀行融資は断られている。
財務内容は年商8億円、直前3期とも売上は横ばい、収益はほぼトントンの状況です。
回答
1億以内、できれば5000万円程度の額で、半年ぐらいの建築期間で完工する案件であれば、
建築費の融資を行うノンバンクはあります。
でも、2億円となると、ノンバンクでは基本的に取り扱うところはありません。
1社ありますが、銀行並みの会社与信を求められるため、
この種の案件は、銀行信金信組などのいわゆる銀行案件になります。
銀行案件となると会社与信が高くなければ不可です。
今回の案件の会社は不動産開発会社ですから、
今までの開発実績も問われます。
よって、既存取引の銀行から断られていると言うことは、
まず新規の銀行では難しいので、
金融機関からの融資で建築費を調達するのはNGと言うのが回答になります。
ご参考までに、このような建築費の融資を新規取引の銀行が行う場合は、
既存行とは良好な関係で通常なら融資可能でも、
たまたま既存行の同社に対する与信枠一杯利用している状況とか、
成長速度が速く、既存行以外の新規取引の銀行が必要と思われるような状況の会社でないと、新規取引の銀行からの融資は難易度が非常に高いです。
この問題のポイントは次の通りです。
1億円以上、建築期間半年以上の建築費の融資は、
銀行案件で相当な与信がないと難しい!
②介護施設運営会社の5000万円の資金調達
これもコンサル会社からの紹介案件。
運営する介護施設は土地建物とも運営会社の所有で、銀行と政府系金融機関の先順位の抵当権で付いており、それぞれの既存抵当権の残債価格から、市場価格から見て2500万円前後の担保余力はあり。
ただ、先順位の抵当権は両方とも根抵当権なので、1順位からすべて借換をした場合のみ、
この担保余力を利用できる状況。
既存金融機関からの追加融資は、債務超過ではないものの、
直近2期は赤字経営なので断られている。
なお、同社は同物件をリースバックする意向があり、契約締結直前の状況。
回答
・介護施設案件の場合のポイントは、
高齢者など一般通念で弱者と言われる方が居住している施設か、
あるいは訪問看護のステーションのように弱者の居住がないかが重要なポイントです。
・居住有の場合は、
ノンバンクなど会社与信よりも担保不動産を重視する不動産担保融資での調達不可です。
・居住なしの場合は、
ノンバンクなど会社与信よりも担保不動産を重視する不動産担保融資での調達可です。
・居住なしの場合、既存借入の残債や根抵当かどうかの状況により、
担保余力が相当割合あれば、ノンバンク等の借入が可能になります。
・担保余力は2500万円あるものの、先順位が根抵当権のため、
先順位すべての借換から行わないと真水の出る融資はできない。
・5000万円の融資の希望額には届かない状況。
・あとはリースバックのご意向があるようなので、リースバックのアレンジなら検討可能。
・最近リースバックに非常に積極的な不動産会社グループがあります。
・すでにリースバックの契約が締結されていれば、
リースバック実行までのブリッジ資金の融資での検討も可能。
・ただ、リースバック締結先の会社与信はもちろん、
締結不履行の時の違約条項の縛りが厳しくないと難しい。
総じて、ブリッジ資金での調達の難易度は非常に高い。
この問題のピントです。
1.弱者の方が居住する介護施設はノンバンク融資の
担保対象にならない!
2.リースバックは金額を高望みしなければ積極的な取り組み可能!
3.ブリッジ資金の融資の難易度は非常に高い!
以上、ご参考になったでしょうか?
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