金融庁のレポートをこう読む
9月27日
最近は接点があまりありませんが、事業再生コンサルの株式会社喜望大地のメルマガで紹介したい記事がありました。
私も現在の森信親金融庁長官がなかなかな人物で、不良債権を恐れるがあまり保証協会偏重主義でリスクを取らないい銀行の尻を叩き、銀行本来の融資機能の強化に舵を切ったようだと聞いたことがあります。
メルマガの記事は金融庁が平成28年9月に発表した「金融レポート」を読んだ感想が書かれています。
関係個所を転載しますのでご一読ください。
私がこのブログで書いた、機動的な対応ができなくなった銀行の問題点についても書かれていてご一読いただければと思います。
「
という項目に、「過去との比較において特に高い伸びではないが、
不動産向け貸出(アパートローンを含む)
とあります。
宮内(※執筆者)の読みでは
「お前ら銀行な、貸すとこないから言うて不動産ばっかし…
素人へのアパートローン貸しすぎなんじゃ!
他の業種にもちゃんと貸さんかい!」
つまり現在活況の不動産融資は、
借入需要がある人は早く借りたほうが良いでしょう。
逆に不動産を売却したい人は、
あんまりのんびりしてると市況が悪化を始めるので注意!
「金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保」
「預金を集めても、国内外の貸出利鞘が低下する中、
貸出規模の拡大による収益確保がより困難に」
これは「
…つまり銀行経営者を半ば脅している文言と読めます。
「地域金融機関」という項目は特に重要です。
「担保・
「顧客企業も、貸出金利の低さより、
事業の理解に基づく融資や経営改善等に向けた支援を求める傾向」
この20年間金融庁は、不良債権退治の為、
全金融機関に不良債権を出さない経営を求めました。
その結果、中小零細企業の融資の多くは保証協会付きに変わり、
又本来短期資金で対応すべきニーズも長期資金に置き換わりまし
そして起きた事は何か?半沢直樹の追放失脚…
つまり顧客によりそい、事業性を理解し、
最善策を生み出す銀行員は過去の遺物…
ノウハウが全く枯渇してしまったのです。
「客の事考えてる暇あったら、不良債権回収、
金融庁検査対策せんかい!」というスタンスが
20年も続いたのです。そりゃノウハウも失われます。
「金融庁の言う通り歯食いしばって頑張ってきたのに、
今更方針変更は無いやろ!」という支店長達の
怨嗟の声が聞こえてきます。
しかしお上の方針は絶対です。
担保・保証に依存せず事業性を評価した融資…
日本全国の金融機関は、大きく舵を切ることは間違いありません。
しかし、もう一度言います!
そのようなノウハウは銀行から失われています。
私のクライアントの多くは
「大昔は銀行員もよう来たけど、
この10年以上は用事あるとき以外は来えへんわ」
と言います。
そんなスタンスで、担保・保証に依存しない事業性を評価した
融資なんて出来るはずがありません。
兎に角定期的に事務所や現場に顔を出す。
社長の話を良く聞く。というのは最低レベル。
銀行員なら決算書や試算表だけでなく、
次のような事をすべきと私は教えられました。
・事務所や現場の雰囲気を見る…前向きな会社は活気がある。
・事務所や現場のスケジュール、ボード、
兎に角書いてあるものをチェックする
…コミュニケーション能力の高い会社は、
何もない会社は「社員に社長の方針が伝わっていないかも?」
・在庫を定期的に見る…不良在庫が溜まっていないか
・受取手形を預かる…直近の売上やプロジェクトが把握できる
・ネットバンキングを導入してもらう…支払い状況が確認できる
・給振を導入してもらう…社員の扱いが垣間見える
・流動性預金の残高を常にチェックして、資金繰りを気遣う
・消費税支払い用定期積金を契約してもらう…
・小売り飲食業関係なら、どれくらい流行っているか、
・奥さん、事務員、お嬢さんと仲良しになる…本当の事が判る etc
等々書きましたが、
となれば、こちらから銀行に判らせる努力が必要になります。
ここで重要な視点は、銀行が以前あったようなリスクを取った融資に回帰することは大歓迎ですが、一方で不動産融資が見直される環境になる可能性も注視する必要があります。
不動産融資の資金調達は現在よりも近い将来やりにくくなる可能性は大です。
金融庁の指針は金融機関にとって絶対なので、早晩、少なくとも銀行や信金の不動産融資姿勢は消極的になり、続いてノンバンクにも影響が出る懸念大です。
そろそろ不動産投資に対しては再検討しなければならない時期に来たかもしれません。
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