ブリッジファイナンスの要件 2
ブリッジファイナンスの要件 の続きです。今回はブリッジファイナンスが検討できる最低の条件はどのようなことをクリアしていなければならないかご案内いたします。
ブリッジファイナンスとは自社の与信以上の金額の資金調達を、出口与信を前提として資金調達するファイナンスを指します。
ブリッジファイナンスの定義の存在があるのかどうか?
あるいはどのようことなのかは知りませんが、少なくとも私はブリッジファイナンスの定義をこのように捉えています。
具体的にどのようなものがブリッジファイナンスというと次のような事例を指します。
①短期転売のための不動産を仕入れるとき、自社の力以上の金額の資金調達を、販売先の信用力や売買が99%完了する鉄板の契約内容を前提として資金調達することを指します。
②信用力ある企業への鉄板の販売契約が存在し、その契約を約定通りに対応できる能力があると判断できるとき、この契約を前提として自社の調達力以上の資金調達をすることを指します。
②の事例を使って話を進めます。
ブリッジファイナンスの要件 でブリッジファイナンスに該当しない以前あった案件をご案内しました。転載します。
『自動車関連の部品を開発している会社でした。
革新的な製品開発に成功しましたが、許認可を受けないと製品化できない状況でしした。
認可を受けるためには、膨大なデーターをとるための実験が必要です。
ただ、同社は開発系の会社にありがちな開発費がかさみ、製品化するまでは販売できないため、売上が立たないのに支払ばかり出る状況でした。
そのため実験費用の約1億円の資金の目処がたたずご相談があったのです。
この1億円があれば、実験データが取れ99%許認可が取れ商品化ができ、そうすると仮契約の7億円の売上が計上されて、半年後には調達した1億円も返済できるからアレンジして欲しいとの依頼でした。
でも、パッと見は、販売先の自動車部品販売会社を出口とするブリッジファイナンスのように見えるのですが、そもそもこの段階では、ブリッジファイナンスの要件を満たしていないから、よほどのラッキーでもなければこの資金調達は難しいのです。
それは許認可が99%取れることは第三者から見れば未確定な話です。許認可が取れなければ販売できない以上、出口の7億円の話が確定しているとは言えないのです。
だから、この案件の場合、出口与信での資金調達はできません。』
ではこの案件の場合、どのような状況であればブリッジファイナンスにの対象になるのかについて説明します。
まずは商品化できることが販売の絶対条件ですから、最低自力で許認可の取得が完了していなければなりません。
ではこれでブリッジファイナンスの対象になるかというと、許認可の取得だけでは不十分で、許認可の取得は最低条件です。
許認可が取れて製品化が可能になったとしても、実際に製品として耐えうる品質の製品の製造ができるかが分かりません。
つまり、最低数件の製造販売が完了していなくてはなりません。
さらに言うと、数件の販売実績があっても、ブリッジファイナンスが必要になった大きな受注に対応できる力、具体的にいうと大量の製造が可能なのかどうか?
また、物流が納期遅れにならないレベルに準備されているかどうか?
少なくとも具体的かつ現実的な計画が策定されているかどうかをクリアして初めてブリッジファイナンスとしての要件が整ったと言えるのです。
まとめると次のようになります。
・製品化と販売実績が現実的に確認できること。
・ブリッジファイナンスが必要となった大量受注をこなす能力が確認できること。
だから、実際にあった案件のように製品化の最低条件である許認可を取るための資金調達はブリッジファイナンスでは調達できないのです。
なんだ!滅茶苦茶ブリッジファイナンスって厳しんだと思われるかもしれませんが、非常に厳しいのです。
時々、ブリッジファイナンスを安請け合いするコンサルタントがいますが、ブリッジファイナンスはそんなに簡単な資金調達ではありません。
ご注意いただきたいと思います。
売掛金担保融資とファクタリング【売掛金ファイナンスコラム】vol.1
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