川を題材にした曲は数々あれど、一番好きなのは「ボート・オン・ザ・リバー」(Styx)。
「川に浮かぶボートまで乗せて行ってほしい
川を眺めていると、時が止まったように見える
もう自分は泣くことはない」
そんな内容だったと思う。
ボートに乗って河口へ漕ぎ出し、新しい海と出会う。
アコースティックギターとフラットマンドリンが秀逸で、Styxらしからぬ曲風である。
上の写真は高知市を流れる江ノ口川。
澱んだ、その川を眺めて、店に入る。
寿司屋のカウンター。
ここの親父は生死の境をさまよったことがあるが、今は元気に寿司を握り続けている。
川のほとりから、諸事情で店を移転し、このカウンターを据えた。
「なんぼすると思ぉちゅう。高いぜょ」
上等な一枚板だ。
ここにひじをついて、酒を呑み、親父の孫自慢を聞く。
ああ。この親父も河口に向けてまだ漕ぎ続けるのだな、と感じる。
このスナックは何年続いているのか。
表面がめくれあがったカウンター。
江ノ口川と鏡川に挟まれた、高知で最もにぎわう一等地にある。
重いものを背負いながら、ひたむきに生きていく経営者の、その「はちきん魂」には恐れ入る。
常に川に浮かぶボートを捜し続けているのだろう。
遠くのボートを認識しているだけではどうしようもない。
自分でたどり着けないにしても、そこまで連れて行ってもらうすべを考えないと始まらない。
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