パーティー会場に仲間たちが集まってきた。
「おーい、アッシュ!来てやったぞ?」
「よっ!」
つるっぱげの頭にトナカイの頭のコスチュームをかぶったショーターがシンを連れてやってきた。
久しぶりに二人を見て、英二は嬉しくなって二人の元へとかけつけた。
「ショーター!シン!」
スヌーピーのかぶり物を着ている英二をじーっと見てショーターはやっと気がついた。
「英二だよな? 会いたかったぞー。どこの可愛いワンちゃんかと思ったらおまえだったのか!」
ショーターはモコモコした英二のコスチュームに抱きついた。
「お、気持ちいいなーこのコスチューム」
「はは、ショーター、苦しいよ」
わざと英二にきつく抱きついてからくショータを見て、アッシュはため息をつく。
じろりと睨みつけながらショーターの腕をつかんだ。
「おい、ショーター!やめろって。英二にバカがうつったらどうするんだ」
「バカ??ひ、ひどい!!」
容赦ないアッシュのひと言に、ショーターはわざと泣きそうな顔をして答えた。その情けない顔を見て、思わずアッシュは吹き出してしまった。
「あははは。なんだよ、そのバカ面は!」
「おい、だからバカって言うなよ。ちょっと英二にちょっかいをだしたをだけじゃないか、すねるなよアッシュ!」
「聞き捨てならないな!拗ねるってなんだよ、ショーター!」
バカと言われて憤慨するショーターと、拗ねていると言われてムキになるアッシュは珍しくギャーギャー騒ぎ始めた。
そんな二人を無視して、シンは英二の元へと近づいた。
「よう、英二、その格好。。。似合ってるな」
「そう?ありがとう。僕、結構犬が好きなんだ」
「そうか、いつもあんな凶暴な山猫と一緒にいたら猫なんて嫌気がさすよなー」
「。。。ぷっ! シン、言い過ぎだよー」
楽しそうに話している二人を見て、アッシュはすかさずシンに忠告した。
「シン!おまえ、英二に近づくな。こいつはいま風邪をひいている」
「「風邪?」」
英二とシンが同時に答えた。英二は風邪などひいていないし体調もすこぶる良かった。
(僕、風邪なんてひいてないけど。。。)
不思議そうに首を傾げる英二をみて、シンはアッシュが嘘をついていることに気がつく。
「ふぅん。。。でも、俺は気にしないけど」
シンはニヤニヤ笑いながら英二の肩に腕をのせた。するとアッシュの眉がピクッと上がり、目つきも険しくなった。
「シン、お前に戦闘術を教えてやろう。前から学びたいって言ってたよな?」
突然恐ろしいことを言い出すアッシュにシンは調子にのってしまったことを後悔しはじめた。
「え。。。今はそんな気分じゃないからいいよ。。。。」
シンは断ったが、アッシュは無表情のまま答えた。
「いや、遠慮するな。それに俺はいま無性に戦闘術をお前に教えたい気分だ。。。。」
ポキポキと手の関節をならしながらアッシュがシンに近づく。その恐ろしい視線に思わずシンは固まってしまった。
(どうしよう、オレ、、、殺されるかも、、、そうだ、ショーターに助けを。。。)
シンはショーターに助けを求めようと視線を送ったが、ショーターは首を左右に振った。
(な、なんだよ!どうしようもないってことか??)
そしてアッシュはシンの腕をがっちりと掴んだ。
「さ、裏口にいこうか。俺が手取り足取り教えてやる。。。。」
シンは英二に助けを求めようと彼の方を見た。
「え、英二。。。(た、たすけてくれ。。。)」
ところが、まるで理解していない英二はニコニコ笑いながら言った。
「よかったねー、シン!アッシュ自ら教えてくれるだなんて。頑張れよ!」
絶望的な気分でシンは言葉がでなかった。
(ちがう!俺は行きたくないんだ!)
「オイ、アッシュ!離せってよ!あんた、なんて力だ。。。。おーい、ショーター!英二!」
シンはアッシュにずるずると無理矢理引っ張られて裏口へと消えていった。
「。。。。許せ、シン。。。俺にはどうしようもない。。。。」
渋い顔でショーターはシンを見守った。一方英二は呑気に二人の背中に向かって手を振っている。
「なぁ、ショーター。アッシュにどうすればコスチュームを着てもらえると思う?色々試したけど駄目でさ。。。」
昔からの親友であるショータなら分かるかと思い、英二は彼に聞いてみた。
「コスチュームか。。。あいつ、こういうの好きじゃないみたいだし、何より素直じゃないからなー」
ショーターはそう言って、緑の怪獣のコスチュームを英二の手から受け取った。
「こんなのをアッシュが着たら傑作だな。1000%着ないと思うぜ」
彼の言葉に英二はガックリと頭を垂れた。
「似合うと思ったのになぁ。。。やっぱりみんながいるから恥ずかしいのかな」
「そうだろうな、こういうのはおまえら二人の時に着れよ。あいつはリンクスのボスなんだからさ。。。」
「残念だな。。。。皆の前でコレを着たら、驚くだろうなと思ったけど。ほら、緑色の瞳だよ?アッシュにぴったりじゃないか」
「へへっ、「green-eyed monster」か。。。まさに今のアイツそのものだな」
ショーターはニヤニヤ笑いながらコスチュームを見たが、英二には理解できなかった。
「ショーター、それってどういう意味?」
「あぁ、そっか。知らないのか。。。。教えてやるよ。"green-eyed monster” って”嫉妬”っていう意味なんだぜ?」
「嫉妬??へぇー知らなかった。。。。ん? アッシュは今 嫉妬しているってこと??。。。何に対して?」
嫉妬とアッシュがどう結びつくのか分からず、英二はショーターにたずねた。
「それは自分で考えなさいよ」
そう言ってショーターはグラスに残った酒を飲み干した。
(続)
ハロウィンは終わりましたが、まだしばらく続きます♩
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