ハロウィンパーティー会場はリアルな骸骨や幽霊の人形が飾られていた。テーブルには真っ黒なクロス、血をイメージした真っ赤な怪しげなドリンク、そして生々しいゾンビのマスクをかぶったスタッフやリンクスの仲間たちがいて、まるでホラーハウスのような空間になっていた。
「うわぁ。。。なんか怖いな。ハロウィンってこんな感じだっけ?」
「英二、ビビってんのか? ガキだなぁ」
「ちがうよ!ただ、何か思っていたのと違うよなと思って」
英二は何か違和感を感じていた。
(何か足りないんだよな。。。。)
そして全体的に真っ黒で色味の少ない部屋を見て、英二は気がついた。
「あ!」
(あれがない!)
突然大声を出した英二に驚き、アッシュは振り返って睨みつけた。
「??なんだよ、急にでっかい声をだして」
「ふふ~ん、僕気づいたよ。この部屋なんか暗いしハロウィンなんだけど何か足りないと思ったけど。。。」
「。。。。。」
アッシュは英二が何を言おうとしているのか気づき、聞きたくないのか「ふん」と首をふって英二と視線を合わせるのを避けた。
「無いんだよな~アレ!普通はあるはずなのに。どうしてだい?」
「おまえ、何が言いたいんだよ」
不機嫌そうにアッシュは聞いた。
「カボチャがひとつもない!それどころか、オレンジ色のものがほとんどないよ」
「。。。。。。」
「君、子分たちに言って カボチャを置くなって言ったんだろう?」
英二はニヤニヤ笑いながらアッシュの顔を見た。
「うっせーぞ! 俺はカボチャがキライなんだ。見たくもねぇ!」
「ははは! 可愛いな~アッシュ!」
「うっせーって言ってるだろう! この野郎!」
「。。。へっ!?」
アッシュは両拳で英二の顔をはさみ、こめかみをグリグリと押さえつけた。
「いたたた! やめろって。ちょっとカボチャのことでバカにしたからって!」
「だからバカにするなって言ってるだろう?」
「わかったってもう!ストーップ!」
英二は両手でアッシュの背中をバンバンと強く叩いた。仕方なくアッシュは英二を解放してあげた。
「。。。ったく!このオニイチャンはすぐ調子にのりやがる!」
「ごめん、ごめん。つい面白くて。。。」
滅多にアッシュをからかうことのできない英二はつい楽しくて調子にのってしまった。
そしてじゃれあう二人を遠巻きに仲間たちが見守っていた。
「おい。。。見たか? あいつ。。。すげー度胸あるな。よくボスにあんなことできるよな。。。」
「あぁ、俺だったら銃で撃たれているかもしれないな。。。」
「おまえら知らないのか?あいつがボスのお気に入りの英二ってガキさ。絶対に喧嘩ふっかけるんじゃねぇぞ?ボスに瞬殺されちまう」
「分かった。気をつけよう。よし、ボスをお迎えしようぜ!」
(続)