誤解 -misunderstanding- 第九話(最終) | BANANAFISH DREAM

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英二の命を守ることはできても、彼の心を守ることができない自分にアッシュは苛立った。


 ふと、アッシュは部屋の片隅においてあるギターに気が付いた。それは仲間が置いていったものだ。

年代ものの中古のギターだ。



「英二、一曲弾いてやるよ」



 アッシュがギターを手に取ると、英二は驚いたようだった。



「君……ギター弾けるんだね」



「あぁ。おまえは?」



「僕、弾けないけど…」



「じゃぁ、日本の曲を教えてくれ」




「どんな曲がいい?」



「この間は演歌を教えてもらったからな。あれはクールだったけど覚えるのに時間がかかった」



「あ、いい曲を思い出した……妹が日本から送ってくれたCDがあるよ。ラブソングなんだけど、いい曲だよ。もし君がギターを弾きながらこの曲を歌うと日米どちらの女の子も落とせちゃうぞ」



「それは興味深い、ぜひ聞かせてくれ」



「あぁ」



 英二は頷いた。



    ***



 アッシュはあっという間に曲を覚えてしまった。彼の歌声は優しく聞いていて心地よい。英二は目をつむり、彼の歌を聞いていた。



【Wherever you are】 ONE OK ROCK (歌詞はこちら


Wherever you are, I always make you smile

Wherever you are, I'm always by your side

Whatever you say, 君を思う気持ち

I promise you forever right now


konosaki nagaikoto zutto

douka konna bokuto zutto

shinumade Stay with me

We carry on…


Wherever you are, I never make you cry

Wherever you are, I never say good bye

Whatever you say, 君を思う気持ち

I promise you forever right now



「やっぱり上手だな。君、歌手になれるかもよ」


「ははは」


「君のおかげで元気がでてきたよ。ありがとう」


「あのさ、英二」


「なんだい?」


「他人に誤解されることなんて気にするな。俺もしょっちゅう誤解されている。リチャードのように勝手に俺を神聖化する奴だってゴロゴロいる……。俺は、たった一人に分かってもらえばそれでいい」


 そういってアッシュは英二の瞳を見て笑った。



「アッシュ……」



 彼の励ましが嬉しくて英二は思わず涙がでそうになった。だが彼は絶対にアッシュの前では泣かないと決めていた。


「ありがとう」



 英二はアッシュの肩に顔をうずめた。泣き顔を彼に見られたくないからだ。


「Hi ボス、英二!」



 だがその時…運悪く扉が開いた。そして扉の向こうにはコング&ボーンズが立っていた。 二人は目を見合わせて固まっていた。


(な、なんだこの雰囲気……絶対に見てはいけないものを見てしまった!)



「あ、君たち……」



 見上げた英二の眼が赤いことに二人は気が付いた。


「お、おいコング…」



 ボーンズがコングを肘でこずき、コングも頷いた。



「悪ぃ…!まさかそんなことになっているとは思わなかった…。バッドタイミングだよな、俺たちは見なかったことにするから忘れてくれ…」



「そうそう、俺たちは何も見なかった。ボーンズ、帰ろうぜ」


 勝手に納得している二人の様子がおかしいことに英二は気が付いた。


「ちょっと? 君たち……?」



「英二、じゃぁな!」


 背をむけて二人はいそいそと玄関へと向かった。


「ちょっと! 待ってよ!おーい、誤解するなよ。 僕はゲイじゃない……」


 残念なことに彼らは英二の話を聞かずに去ってしまった。



(今度は変な誤解をされてしまった!! サイアク!)



 ショックを受けたのか、肩を落とす英二を慰めるようにアッシュは声をかけた。


「英二……あいつらを呼び戻そうか? それとも、もう一回歌ってやろうか?」


「……はははっ!」



 突然英二は腹を抱えて笑い出した。



「英二?」



「あーばからしい! もう誤解されるのにも慣れた……いちいち反応していられないや。 酒でも飲もうぜ!」



「……」



 落ち込んでいると思ったが、英二は明るく笑い飛ばした。



(こいつ、結構タフなんだな)



「――わかった」



「よしっ」



「ところで……お前がこの間誤解されたことって何だったの?」



 英二はアッシュを軽く睨んで答えた。



「話を蒸し返すなよな。くだらないことさ、動揺しないことに決めたんだからな」



「――そうだったな、オニイチャンは強いもんな」



「……」


 その時、英二はある言葉を口にしそうになったがそれを胸にしまい込んだ。



 ”たとえ誰かに誤解されたとしても……君に理解してもえらえればそれでいい……”



 「そうさ!年上をナメんなよ!」

 


 英二は最高の笑顔でニカッと笑った。



<終>



お読み頂きありがとうございました!


アッシュが歌った曲…私は知らなかったのですが、オンライン英会話の先生に教えてもらって気に入ったのでアッシュに歌ってもらいました。


これならアッシュも歌いやすいかな?


ちなみに優しい先生は先日のペンパルの件で私が落ち込んでいた時に、スカイプを経由でギターを弾いてくれました。



 ***



それから私の体調についてお気遣いのお言葉を頂戴し、ありがとうございました…!!


結局はヘルニアによる坐骨神経痛とのこと。あのいやーな注射を打ってきましたよ(^^;)



もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM


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