【ハロウィン創作】アッシュと子犬の物語 第三話:命名 | BANANAFISH DREAM

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 翌日、スキップがアパートにやってきた。


「ボス、これを持ってきたよ」



「気がきくな。サンクス」



 スキップが少年に渡した袋を見てボクは背中の痛みも忘れて飛び上がった。



(食べ物だ!)



『キュン、キュン!』


 ボクは少年の足元に移動して彼を見上げた。そして彼の手元を真剣に見つめていたが、空腹に耐えきれず思わず舌をベロンベロンと出して催促した。きっとボクは興奮しすぎて変な顔になっていたに違いない。



 数日間何も食べていないのだ。ボクの目はつりあがり、ハッハッと舌を出した状態で少年の足に何度も飛びついた。



(はやく!食べ物をちょうだい!)



「なんだおまえ、食べ物への執着が半端ないぞ……すっげー変な顔」



 少年は豹変したボクを見て驚いていた。



「ボス、こいつ本当に犬なのか? 見た目は可愛いのに興奮するとなんか恐いぞ。まるでグレムリンみたいだ」



「ははは、グレムリンか――。じゃぁ、こいつの名前を『ギズモ』にしよう」



 こうしてボクはギズモと命名された。



   ***



 ボクを助けてくれた少年の名前はアッシュと言うらしい。彼がどういう人間なのかはまだ分からないが、悪い人間ではないということは分かっていた。



 今日、彼は眼鏡をかけて机に座り、何かを読んでいる。部屋を訪れてきたスキップがアッシュにたずねた。



「ボス、何を調べているのさ」
 


「このギズモがどんな犬なのか気になってな」


「それで分かったの?」


「たぶんこいつは――"Shiba"(柴犬)だ。日本古来から山岳地帯で獣猟犬として活躍していた小型の土着犬で、家族に対して忠実で深い服従心をもち、大胆でありながら沈着で、かつ冷静な判断力を持つ日本犬。近年、海外、特にアメリカで柴犬の人気が高まっている――」



「へぇ、日本の犬か。初めてみたぜ。ギズモの毛並み、気持ちいいな……まるでタンポポの綿毛のようだ。それにいつも笑っているような顔をしているな」



――コンコン――



「あ、誰か来たよ」



「あぁ、蠅だ」



 アッシュは玄関ドアへと向かった。今日も蠅は白いスーツ姿で派手なドットプリントのシャツを合わせている。


 キャリーバッグに積んだ段ボールを指さした。 



「旦那、注文の銃を1ダースといくつか犬用の商品を持ってきたぜ」



「そこに置いてくれ」


 アッシュは床を指さした。



「ドッグフード、グリニーズ、バリカン、ブラシ、イヤークリーナー……それにコレなんかイケてるぜ?」



 そう言って蠅はペットウェアを取り出した。それはピンク色で三重スカート、フラワーコサージュの付いたドレスだ。



 蠅は更にセーラータイプの襟がついたドット模様のワンピースを取り出した。



「こいつも人気あるんだぜ、犬好きの女なら喜ぶよ」



「――残念ながらオスだ」



「なんだ、そうなのか。せっかく他にも持ってきたのに……」



 残念そうに蠅はドレスをスーツケースに戻した。




  ***

 
 
 
 はじめてこの家に来た時、ボクはほとんど動かずにじっと寝ていたが、背中の傷が少しずつ良くなるにつれて部屋の中を少しずつ動きまわるようになった。



 アッシュは外出していることが多かった。戻る時間もバラバラで真夜中であったり、朝方であったりと特に決まっているわけではなかった。


 だが、戻って来た時は必ずボクの世話をしてくれたし頭や体を優しく撫でてもくれた。アッシュがいない時、スキップがボクの世話をしてくれた。スキップはボクのことを気に入ってくれたようでボクの餌やりや毛の手入れなどを嫌がらずにしてくれた。



 だけどボクはスキップに文句を言いたいことがひとつだけあった。治りつつある傷口にかさぶたができ、痒くてたまらないボクは包帯や毛を一日中噛んだり舐めたりしていた。



 その様子を見かねたスキップがアッシュに相談した。そのせいで、しばらくの間ボクが体を舐めないよう、蠅が置いていったフリルのたくさんついたワンピースを着させられるハメになった。




 この家に来て、一週間が経った。この部屋にはもうひとつの部屋に続くドアがある。いつもは閉まっているのに今日は少しだけ開いていた。



(あそこは何があるの?)


 好奇心旺盛なボクはドアを頭で押して部屋の中に入った。薄暗い部屋の中、何かがもぞもぞと動いた。驚いたボクが思わず吠えると、車いすに座った若い男と目があった。



(誰だ!?)



 ボクは身構えたが、その男は反応しない。男の目はとろんと眠そうでどこか遠くを見ている。焦点があっていないようで、何を考えているのか分からない。



「おい、ギズモ!駄目だよ、ここに入っちゃ」



 慌ててスキップが部屋に入ってきた。少し安心したボクはスキップの足元にすり寄った。スキップはボクを抱きあげた。



「この人はグリフィン――アッシュのお兄さんだ。悪い病気になってしまったのさ」



 無表情なままグリフィンは床を見ている。ボクに対して攻撃をするそぶりもなかった。



「おいで、おやつをあげるから」



 スキップはボクをみてニッと笑い、グリフィンのいる部屋を出た。



<続>



おはようございます♪ 今朝から、東京へ行きます~。拍手・コメントのチェックもするつもりですのでどうぞよろしくお願いしますラブラブ


そして小説ですが…なんと名前を『ギズモ』にしちゃいました(笑) 普段は可愛いのにとんでもなく怖い顔になるときもあるので……(^^;)


柴犬ギズモ、これからどうなるのでしょうか。

もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM


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