突然、英二はベッドに押し倒されてしまった。アッシュの行動が理解できずに戸惑う。
「――僕、まだ眠くないんだけど?」
(アッシュは何がしたいんだろう……?)
英二はアッシュが何を考えているかさっぱり分からなかった。アッシュの考えを読み取ろうと、翡翠色の瞳をじっと見つめた。
(何か……いつもと違う……)
英二が初めて見る視線だった。いつも自分をからかう時に見せる、いたずらっぽい視線ではなく、誘うような官能的な視線で自分を見つめていた。
「――あ、あのさ……」
英二は起き上がろうとしたが、アッシュに体を押さえ込まれて動きを封じられてしまった。「ふざけるな、もうやめろ」と言おうとしたが思うように声がでない。
英二は何だかこの状況が怖かった。いつもの彼に戻ってほしいと思った。
「英二、面白いジョークだな」
「ジョーク?」
馬乗りになったまま、アッシュが聞いてきた。
「上と下……どっちがいいんだ? 」
「……」
「なぁ、目をつむれよ」
そのままアッシュは英二にキスをしようしたので、慌てて英二が首を振って避けた。
「今のは何の冗談だよ! からかうのはやめろって!」
怒った英二は、両腕で思い切りアッシュの身体を押した。思わぬ反撃を受けたアッシュは驚いて、押さえつけていた英二の身体を解放した。
「別にからかってないぜ……? 」
「じゃぁ、何なんだよ!」
「何って……決まっているじゃないか。セックスだろう? 俺はこの家に置いてもらっているからその『御礼』をしなきゃいけない―― 」
「……!!」
アッシュのその言葉に英二はあることを思い出した。
【 俺を食わせてくれたり、寝場所を与えてくれたヤツは
必ず見返りを要求した。例えばセックスとか 】
ロスで聞いた彼の言葉――これまでどうやって生き延びてきたのかを思い知らされて英二は胸が痛くなった。
「違うんだ、アッシュ! そうじゃない、君はそんな事をする必要はないんだ!」
辛くなった英二は大声で叫んでいた。アッシュの過去が痛みとなって英二の心を貫いた。
「何をでっかい声でしゃべっているんだ? ――ほら、やるんだろう?」
そう言って再びアッシュが英二に迫って来た。
アッシュの言葉や行為が彼の本心だとは到底思えなかった。彼はそうせざるを得なかった。
「……!」
彼のこれまでの過去や壮絶な体験を想像すると英二は何とも言えない気持ちになった。しかしそれよりも、英二のことも他の連中と同じように見ていると思うと悲しくてたまらない。
「――いい加減にしろよっ!」
英二はそう言って、アッシュの頬を平手打ちした。
<続>
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アッシュは自分の悲しい過去から、とんでもない勘違いをしてしまいました……あぁ、創作していて心が痛い(涙)。 見返りを求めない英二との生活は、アッシュにとって本当に幸せだったんだろうなぁ……。
英二に迫るアッシュ……どんな感じなんだろう、見てみたい…(←失言です…ごめんなさい)
そして英二はアッシュに愛のムチ……痛そう
シリアスを創作し、気分が重くなったので、また気分転換をしたいと思います。
昨日に引き続き、また「らぶばな・スペシャルボックス」の商品をご紹介します♪
(※妄想商品です)
前回はアッシュ・グラスでしたが、今回は英二マグです。
これ、欲しいなぁ~
らぶばな・スペシャルボックスの中身、どんどん公開していきます(笑)
つまらないもの、お見せしてすみません…次回の小説をお楽しみに♪
ありがとうございました!
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