「――アッシュ!――アッシュ!」
グリフィンと感動の対面をしたアッシュの後ろから、大声で誰かが彼を呼ぶ。
「おい……アッシュ! さっきから呼んでいるだろう? 俺の美声がかれちまうだろう――。おい、聞こえねぇのかよ――」
だみ声を美声と言うそのお調子者の親友の声を聞いて、アッシュは思わず振り返った。その懐かしいスキンヘッドとサングラス姿を見て驚いた。
「――ショーター! お前……」
思わずアッシュは彼の胸元を確認したが、血や汚れは付いていなかった。アッシュが放った銃弾で倒れたその体は、彼が生きていた頃と全く同じで生き生きとしていた。
ショーターはニカッと笑いながら近づいてきた。
「よ――、久しぶり!」
「お前、ショーターなのか……」
半信半疑でアッシュは彼の体を見た。
「何だ?お前……俺の体ばっかり見て。俺に惚れたか? それともこのTシャツが欲しいのか? 」
どんな状態でも明るく冗談を言う親友の言葉が妙に嬉しい。
「ショーター……すまなかったな――俺はお前に酷い事をした……」
アッシュはどうしても言いたかった言葉をようやく本人に告げることができた。
「――はぁ? 何を謝ってるんだ? あぁ――俺を撃ったことか? あれは俺がお前に頼んだことだよ。あんな薬を投与されて一生苦しむのは嫌だったんだ。俺こそ、お前を苦しめるような事を言ってすまなかったな……」
「ショーター……」
アッシュはたまらず俯いた。
ショーターはアッシュの肩をポンと叩いた。
「バーカ! いつまで落ち込んでいるんだよ。俺の事でどうこう悩むよりも、お前……もっと他に目を向ける事があるだろう? 」
「あぁ、バナナフィッシュか?」
「それもそうだけど――何か忘れていないか? 」
「――えっ?」
「何だ、分からないのかよ。まぁ後でいいか……」
「何の話だ?」
「お前の兄さんと話していたら、つい盛り上がってな……。二人でお前のところへ冷やかしに行こうと意気投合したんだよ」
(グリフィンとショーターが意気投合? )
「アスラン―― 俺たちは お前の話をしていたんだ。そして “お前たち” に会いたくなったのさ……」
「兄さん――。 『冷やかしに行く』 って どういうこと?」
アッシュは兄に尋ねた。
<続>
←拍手ボタンです。今回のお話を読まれて、もしあなたが楽しいと感じて下さいましたら、拍手ボタンをクリック・またはメッセージ応援してくださいね。皆さまの反応を知る為と、らぶばなのブログ更新の励みになっております♪
ご感想・ご意見は、記事の右下(なうで紹介・mixi チェック・ツイートする 各ボタンの下)に 「コメント」があるのでそこからお気軽にどうぞ。
グリフィンとショーターがアッシュの前に現れた理由は何なのでしょうね? 次回は最終回ですが、ほのぼのして下さいね(^^)