ピュアな天災 ~ ライナーノーツ vol.1 (Tetsuya Itami 新曲紹介)  | “Mind Resolve” ~ この国の人間の心が どこまでも晴れわたる空のように澄みきる日は もう訪れないのだろうか‥

   
   

…朝まではまだ時間あるな 。」
いつものように、哲也さんのサイト をあけて
何曲かリアルプレーヤーでひっぱって聴いてみる。
   
「ああ、どうしてこの人は、こんな曲を作って歌えてしまうのか?!」
4分28秒。ヨりそう:フたりは ハてしなく…。の、7曲目
たぶん、俺だけかも知れないけど 
…もう涙ボロボロ。鼻水もグズグズだ。
いや、むかしからの長い付き合いのあるファンの方は
あの曲を聴いて、もしかすると寝込んでいるかも知れない。感動のあまり。
何十回も繰り返し聴いて、
「もう何でもないように思えるくらい聴いて野郎!」
と思っても、聴けば聴くほど…ダメだ。ノック・オン・ウッド! 
   
そんなねぇ…。あのような優しさ溢れるコード進行のギターの出だしからしても
作詞作曲したご本人の、あまりに個人的な出逢いと歳月なのかも知れないけど
いないよ。そんなこと、歌にしてしまう人は。
しかも、限りなくパーフェクトに近い、LOVE SONG仕立てに。
どうして? なんで? 
なんのために、そんなに聴く人の心をしめつけるんだぁーっ! 
そう、俺の人生じゃない。哲也さんの人生。
だけど、独りのアーティストと一人のファン。
男同士なのに、切ない。
誰の歩んだ道も、既にもう透明ではないのに、透き通っていて濁りはない。
でも俺にはなかった。
それほどまでに人が人を愛するという気持ちが 
長い長い…それでいて逸る気持ちばかりで短い月日の中で
何十年も何億年も前から約束されていた今日までの誰かと誰かの関係。
ある一つの命の育み。
どこの喫茶店だろうと、フラっと立ち寄っただけのカフェであろうと
誰にでもある。
「…ああ、なんかいい感じあの人…。」 恋の矢
でも、話しかけるヤツなんて、めったにいない
時折、田舎の常連客で賑わう田舎の茶店のオヤジが仲人になるような、
客と客同志の結婚はあるかも知れない。
あるいは、映画City of Angels 特別版 のように、
「図書館にいつもいる」という、
天使の心を持つ死神(ニコラス・ケイジ)が、人間に生まれ変わってまで
たった一人の女性(メグ・ライアン…ちなみに俺と誕生日が同じを愛するという…
そういうことも、この拡い世の中にはあった…かも知れない。
でもねぇ、そんな人生もあっていいんだけど…普通はないです。
こんな…神様なんて、もうどこにいるのかさえ判らなくなるような、こんな時代の、
生きている同じ時間に、その限られた短い短い、
それでいて美しく神聖な人間一人の一生において、
誰も何も間違えてはいなかったはずの世の中で 
どうして今、そんな正しい人間の歩き方を、
たった数分の作詞とメロディの中へ収められてしまうのか? 
天才とは云わない。人間だ。
俺にとっては、「やつてみたい」の伊丹哲也はピュアな天災。
もう、あらゆるモノが崩されて、裸にされてしまう。
そんな、たったの数分間の他人の恋と人生が、あからさまに歌われて
どんなことがあっても、正真正銘の人間として生きていることを
誰に押しつけることもなく、魅せつける。
   
あのぉ~、俺は普通の人(?)には言葉にはできないような想いを
簡単(のよう)に言葉に並べてしまうけど、…通じない人が多くても
人間の記憶力には限界なんてないんですよ。厳戒も。
どこでどのような束縛を受けても、
「教育は素晴らしい」と考えた常識に染められた世間の中で
妹を殺害する実の兄弟の親が、 …それも人間の道理にはないだろぉ。)
どんなに世のため人のために働いてきた歯科医であっても
人間の記憶力。“想い出づくり”。命の育み。成長…というものは
すくなからず一人一人の人間に、神様が用意して
地球上の人類の営みが、“まぁるくなる”ようにしてくれてあるわけ。
でないと、いつまで経っても戦争も殺戮も兇悪犯罪も消え失せなくなっちまう。
「早くコイツを何とかしてくれ!」
俺も叫ぶよ。みんなも叫ぶ。声には出さなくても。 俺は独り、大声に出すけど
でも、今はもう、神も仏も誰も救うことはないほど、
自然界より先に、その中に生かされているはずの人間の精神が破壊される。
孤独死も、奇形児出産の増加も、己の人生に何の悟りもないような高齢者の死に様も…。
誰もどうにもできない。
それなのに、伊丹哲也という人は、いとも簡単(のよう)
たった一曲で、人間の正しい姿を歌ってしまう。
ちゃんと聴く人なら、みんな裸にされてしまう。
王様も。お姫様も。
   
おお、こんな人が、この世に存在していてもいいのか? 
   
いいんですよ。こんな時代なんだから。
宗教の教祖でもなく、神や聖人君子の生まれ替わりを騙るアホな組織の3バカ大将でもなく 
どっかの会社の社長や“経営者気取り”のマスターベーション人生でもない。
学校の先生でもないし、スーツにバッヂをキメルだけの政治家公務員様でもない。
ただ、ギターを持って、死ぬまで歌いつづけるだけのプロの歌手。
どこにもいなかったけど、ここにいましたよ! 神様! 
おい、聴いてんのか? 
   
   み・ おまえだよ。
   
…哲也さん、あなたが正気を保ってこられた理由は、
そこにあったんですね。
 あの手帖 の中に。
   
   
   
   
   
   
   
    風を感じて  (仮題) 
   
   
   
   
   
   
   
   ☞ One More Cup Of Coffee