「もう寝るよ。 」と云いつつも
昨日の朝、俺は感動的なものを観た。
まだどこかしらか、心が荒んだ状態で
佐渡という島の中央に位置する国道を軽トラックで通勤中。
日曜の朝、７時過ぎだったな。
前方に俺のトラックよりは大き目の白いトラックが
路肩に停車してた。荷台には運転手の愛犬らしき犬が乗ってた。小型犬。
「なんだこんな時間に。
（対向車と）すれ違うのに邪魔じゃん！」
と、その横を通り過ぎて、ふと路肩の反対側を見ると
独りの男が、ゴミ袋と、でかいピンセットを持ってゴミ拾いをしていた。
黒いジャージ姿。頭は寝癖でボサボサの白髪で、眼鏡をかけてた。
顔は、どことなく山本晋也監督に似ている（失礼…ごめんなさい）。
必死になって、路上に無造作に捨てられ、
風で掃き溜めに寄せられたようなゴミを拾い集めてる姿。独りだけ。
なんと、佐渡市長ではないか！
俺はその姿に気づいても、自分のクルマを停めることなく
前方右のコンビニへ立ち寄り、￥100の缶コーヒー（ブラック武藤 ）を買う。
蔵元へ出勤するまでは、まだいくらか時間に余裕があったので
歩いてコンビニの駐車場を出て、来た道を振り返って見た。
“あの男”の姿はなかった。
それから再び出勤の道のりを走り、小学校前の信号を左折して まもなく
またもや、“あの男”の姿があった。
俺はクルマを減速して、窓を開けるハンドル・レバーを回し
「おはようございます！」
挨拶をした。
決して若くはない。
平均年齢63歳という佐渡の島民数万人が生きる人々の中の一人だ。
市長が何を宣言するわけでもなく、誰にせがまれたわけでもなく
密かに朝からゴミ拾い。
自分が捨てたゴミのように拾い集めてたよ。
驚いたよ。
世の中には、ああゆう人もいたんだな。
俺の勤めさせてもらっている蔵元は「真野町」というところにある。
同じ町内には、ジェンキンスさん一家も住んでいて
現・佐渡市長も真野町の出身だ。
「まずは自分の住んでいる街から島をきれいにしよう！」
ということなのか？
「市長、わたしにもやらせてください！」
という職員が何人いるのか？
人間、美しくきれいな心であるためには
日曜日の休日という日も
いかに自分が有意義に過ごすかどうか…
ということだな。
みなさん、路上にゴミを捨てるのはやめましょう！
「ポイ捨て」された物は、誰かが拾って片づけない限りは
永遠にその場にあるわけではなく
永遠に捨てた者の心を汚しつづけたままです。
追記 2006年12月３日 日曜日
11月23日 にも遭遇したのですが
市長は 年末の忙しい中、この日も
ミゾレの降る朝に、いつものトラックへ愛犬を乗せて
自分の住む街をきれいにしていました。
ちょうど、次の場所へ移動するところだったのか、
クルマへ乗り込もうとしたとき
俺の軽トラックに気づいて
今日は、向こうから挨拶してくれました。
いつものジャージ姿で。
…風邪ひかないでくださいね。
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