戦争 | ーとんとん機音日記ー

ーとんとん機音日記ー

山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記



●集団的自衛権
 国際連合憲章第51条に規定された国家の国際法上の権利である。
●国際法上の集団的自衛権の定義
 「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」に対して、
「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」

●加盟国には、武力攻撃が発生した場合、安保理が必要な措置をとるまでの機関、「個別的又は集団的自衛」の固有の権利を行使することが認められている。

∴●予め想定した敵国から攻撃があった場合には集団的自衛権を行使して共同でその攻撃に対処する行為。


 自民党安倍政権に於いて、「集団的自衛権」の法制制度上の位置付けについて、その「行使」について数々の問題点が挙げられている。

「憲法九条を守れ」という論点の側は、この「集団的自衛権の行使」に反対なのだろうが、今日のように、韓国の竹島占拠を含め両国間の問題を韓国側が創出しているような事態や、中国の海洋支配の拡大行動など、両者と国境を接する日本に於いて、「有事」は、遠い国の紛争ではなく、起きても不思議でない現実の可能性となったという点で、従来のように観念的に平和や紛争について論じていた時点とは、大きく日本の立場が変化していると考えなくてはならないと思う。

 例えば「集団的自衛権の行使」を認めるということは、日本が戦争への道を突き進むということだと述べる人も居るが、・・・果たしてそうだろうか。?
 このような論点を述べる人々は、それ以前に、緊張関係を作り出している中国や韓国の行為に対して、糾弾すべきであろう。
なぜ、そうしないのかという事が疑問ではあるし、もし、日本が不測の事態で有事に対処しなければならなくなった時に、「その時、初めて、憲法解釈の問題から始まって、とこまでの措置が憲法で認められているのかを、緊急に国会を開いて議論せよ」と云う事なのだろうか。

 わたしたちにとって、「現実的な平和」とは、先ず第一に紛争に巻き込まれないことであり、第二には、仮に不幸にして、有事の事態に陥っても、拡大せずに早期に事態を収拾できることである。

 そのように現実面を考えれば、「憲法九条」は、国民の理念的なものであり、これによって現実的に紛争に巻き込まれないということではない。
「憲法九条」があるから日本は平和なのだ。・・・と云う理屈は、辛らつに言えば「蘇民将来子孫家門」と書いて掲げれば、疱瘡などの疫病神が避けてくれるといっているような迷信的なところはないだろうか。

 それに、「憲法九条を護持する。」という立場の人に、是非考えてもらいたいのは、3・11の原発災害の時に、民主党政権の菅直人は、首相の立場で「事故を起した東電福島第一原発のスタッフに対して、退避は認めないと言及をしている。」と云う点だ。

 千葉県市原市コスモ石油コンビナート火災や、JX日鉱日石エネルギー株式会社仙台製油所火災など、民間企業の沿岸部にある化学及び石油コンビナートも炎上爆発するなど甚大な被害を被った。順当に考えればそれによって化学物質の汚染も引き起こされていたはずである。
これらの、生産施設の社員は、炎上爆発する中で、鎮火するまで退避は許されなかったのか。

 化学・石油コンビナートの民間人の社員は、危険な状態に至れば退避していたのならば、原発で働く人々も同じように退避してはいけないのだろうか。?
  
東日本大震災-石油コンビナート災害に対する活動・・・総務省消防庁

原子力緊急事態宣言

原子力災害対策特別措置法(平成十一年十二月十七日法律第百五十六号)
第一章 総則
第八条  原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災組織を設置しなければならない。
2  原子力防災組織は、前条第一項の原子力事業者防災業務計画に従い、同項に規定する原子力災害の発生又は拡大を防止するために必要な業務を行う。
3  原子力事業者は、その原子力防災組織に、原子力規制委員会規則で定めるところにより、前項に規定する業務に従事する原子力防災要員を置かなければならない。


原子力災害対策特別措置法 第三章 原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等・・・を御精読いただきたい。

 3・11災害当時の、民主党政権の管直人は、首相の立場で宣言したのは、原子力災害対策特別措置法に基づく「原子力緊急事態宣言」である。
けれど、原子力事業者と政府機関は、その社会的責任や信頼関係に於いて、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止を図るための措置として、原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、緊急事態応急対策を実施しなければならないとされているが、・・・。

 ここで重大な点として注目しなければならないと思うのは、原子力緊急事態宣言に於いて、国家緊急事態宣言で議論されているような、いわゆる首相が民間人に対する人権の制限を加えることができるかどうかにかかるような、「民間企業社員である吉田所長以下東電スタップに加えた移動(退避)の制限や役務従事命令にようなものを、非常事態時に個人の自分の命や安全を優先する権利を超えて、出せるのかどうかと云う点である。」
 少なくとも、3・11災害当時の、民主党政権の菅直人は、首相の立場で原子力災害対策特別措置法上で明記されていないこのような領域にまで、拡大解釈して踏み越えて、「福島第一原発の東電スタッフの退避を認めない。」と言及している。

しかし、「憲法九条」があるから日本は平和なのだ。・・・と云う理屈を述べる人権派の人々にとって、こういう点はどのように考えるのかということが疑問である。
首相の立場で民主党の菅直人が行った、明確な法的根拠に欠ける「人権制限と云う人権侵害」を取り上げて問題にしようとはしない。
事実上、憲法違反の国家緊急権の行使の領域にまで踏み込んでいると捉えないのは何故なのだろう。?

民主党なら、『国家緊急権の行使』はOKで、
自民党なら、『国家緊急権の行使』に基づいた、『集団的自衛権』の確立は戦争に結びつくのか。?
どういう理屈なのだろう。?

民主党の菅直人と云う人は、薬害エイズ問題の時など、弱者の味方、人権や福祉の見識者というイメージ作りを積極的に行ってきた人であるが、このような重大な一線を簡単に踏み越える。
それにもまして、この度の場合に限れば「吉田所長以下の東電スタッフには退避の意思がなかった。」にもかかわらず、「退避しようとしたのを重大な事態なので、自分が押しとどめた。」と言い張るのだから、馬鹿に付ける薬はない。
 
政府事故調査委員会ヒアリング記録- 内閣官房

前述でも述べたように、平和を掲げて活動する人々が、なぜ、中国の領海侵犯や略奪的な違法操業や、尖閣諸島周辺での挑発行為に強く抗議しないのか。?
韓国の竹島の武力占拠に抗議しないのか。?
また、北朝鮮の拉致問題に犯罪的な人権侵害であると抗議しないのか。?
これらの国々の平和を危うくする行為に、抗議しないのか。?

人権や福祉の見識者というイメージ作りにやっきになっていた、民主党の菅直人が、簡単に民間人の人権に制限を加えて、「重大な被爆リスクを強要した」ように、平常時に語る理念や理想は、緊急時には簡単に揺らぐ。

 民主党政権は、原子力緊急事態宣言を宣言したものの、原子力災害対策特別措置法の 第五章 原子力災害事後対策に示された、政府として率先して対応すべき以下の内容を、然るべく実施できなかった。
 当時の事を、今となって考えれば、民主党政権が、吉田所長以下の東電スタッフや東電をを執拗に批判したのも、自分たちの無能をそのことで塗り隠す意図からだったのだろう。

(緊急事態応急対策及びその実施責任)
第二十六条  緊急事態応急対策は、次の事項について行うものとする。
一  原子力緊急事態宣言その他原子力災害に関する情報の伝達及び避難の勧告又は指示に関する事項
二  放射線量の測定その他原子力災害に関する情報の収集に関する事項
三  被災者の救難、救助その他保護に関する事項
六  緊急輸送の確保に関する事項
七  食糧、医薬品その他の物資の確保、居住者等の被ばく放射線量の測定、放射性物質による汚染の除去その他の応急措置の実施に関する事項

 3・11の時も、そうであったが、震災の復興や、原発災害の幾つもの問題について、・・・結局は、反原発運動と推進派の綱引きになった。
そのような、現実的な救済や対応から逸脱したような対立の動きによって、特に、原発災害については、「十分わからないことを、わからないとした上でのリスクコントロールが、当時の民主党政権の方針によって初期に行われなかったことが、今となっては禍根を残す。」

福島 子ども4人、2回目検査で「甲状腺がんの疑い」 

思い返してみるといい、草の根選挙で、政権交代まで行えた。
民主主義的な政権ができた。・・・といって、民主党政権を賞賛した人たち。
そして、この時に民主党に一票を投じた人たち。

加えて、「憲法九条」があるから日本は平和なのだ。・・・と信じる人たち。
また、安倍政権が掲げる集団的自衛権の容認は、日本を戦争に導くと信じる人たち。

 どのような政権になっても非常時の事を現実的な問題として考えて詰めておかずに、もし、其の時に至ったら、その政権の解釈に委ねるという愚を再び犯す事は危ういと、民主党菅政権のときに懲りたのではないだろうか。


 ほんとうに、日本を平和な国であるように保ちたいのならば、現実的に紛争に巻き込まれる有事を想定して、あらゆる手段で「平和の確立」を考えるべきではないだろうか。?
 その意味では、有事に対応できる国の体制を整えるということも、ひとつの選択肢であろうし、沖縄知事選挙の時に、喜納昌吉氏が言及していた、東及び南アジアの海域を中心とした地域の紛争リスクに対応できる、国連の部門機関を創出して沖縄、或いは日本のどこかに誘致して設置するという事もひとつの選択肢であろう。他にもいろいろあるだろうが、やはり、現実的には、これら色んな事を複合的な平和維持機能として考えてゆかなければならないと思う。

それとも、紛争の可能性を考えられない皆さんは、「平和憲法護持・憲法九条急々如律令・戦争退散加持」とでも書いた御札を貼って呪いで紛争に巻き込まれないように祈って避けますか。?