TERROR - 腹腹時計の秒針とエネルギーと難民 - | ーとんとん機音日記ー

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山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記


 上掲のコラムは、昨年末にリリースされたロイター発信のものであるが、・・・Mohamad Bazzi氏の分析によるコラムを読む前に、わたしたち日本人にとって情報の薄い中東と云う地域について基礎知識を持っておくべきであろう。

サウジアラビアの未来-2030 年をみすえて-・・・保坂 修司


 先日パリで起きた危険の背景の一端がここにある。
イスラム原理主義とヨーロッパ(EU諸国)との対立というようなアングルで、パリの事件が映し出されていたが、それは多様なエレメントの一部分に過ぎないし、もし、いわゆるイスラム原理主義過激派と呼ばれる組織が一体となって連動して、対ヨーロッパ(EU諸国)にテロの嵐を見舞おうとしていたのならば、あの程度では到底すまなかったであろう。
 突発的な、あの規模の事件でも、パリは戦慄し、ヨーロッパは騒然となった。
それどころか、先進国と呼ばれる国のすべてが、自国で起きる可能性を検討した時に蒼白となったはずである。
 勿論、その蒼白になった国の中に日本も含まれている。

 中東の複雑さは、わたしたち日本人には、判りづらい。
まず、宗教対立と云う問題が、わたしたちには実感として理解できない。
「日本の、そういうところがいいのだ。」という意見もあるが、逆に日本の中で宗教は、“宗教ビジネス”としての存在感しかなくなってきているのだろう。
 そういう現代日本の精神風土の中で生きる身で、「相容れない宗教同士の対立」という現実や、同じ宗教の中でも「相容れない派同士の対立」と云うところは想像がつかない。

 日本は、隣国のカルト宗教や、他国からカルト認定されているような宗教でも、いわしの頭も信心・・・で、何を信じようが個人の信仰の自由なのだけれど、カルトを流布する自由を認めて、公の宗教法人格を与えるような社会は、このような厳格な宗教の枠がある国からすれば「狂人たちの国のように映るだろう。」・・・と、極端に言えば、それくらいの認識のギャップがあるということを理解せずに、イメージとして伝えられるイスラムをむやみに批判しても仕方がない。






●イスラエル⇔パレスチナ

●サウジの石油価格の下落戦略 ⇔ 米シェールオイル生産者

●シリアの内戦・・・
サウジとカタールがシリアの反体制派に武器を提供 ⇔ アサド政権を支えるロシアとイラン

●アラブ世界の伝統的な中核国であるエジプト、サウジアラビア、
 その他湾岸諸国はイランの影響力拡大に神経を尖らせてきた。
    ↓↑
●イラク政府に対する影響力の拡大
 イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラム原理主義組織ハマスに対する支援、
 シリアとの同盟関係

●中東情勢➠ ◎イラン対サウジの本格的代理戦争へと発展し、中東地域全体に広がっている。
      ↓↓↓
●ロシア+イラン⇔サウジ+アメリカ+EU

・・・この複雑な相関関係に加えて、
アルカイダ系テロ組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が拠点を置くイエメンでは中国が電力やエネルギー、通信、インフラ建設などの分野で協力を結ぶという関係が構築されている。

イエメン、中国と関係強化 外相「発電所建設などで覚書」2013/12/10

原油価格急落の背景にはアメリカのシェールオイル増産があった!

 冒頭に示したMohamad Bazzi氏の分析による『コラム:サウジが仕掛ける「石油戦争」、制御不能リスクも』では、・・・
シリアとイラクで代理戦争を繰り広げることにより、サウジはロシアおよびイランとの石油戦争を引き起こすリスクを冒している。短期的にはサウジが勝利を収めるかもしれない。しかし宗派間の争い同様、サウジの行為はだれにも制御できない大火に発展する恐れを秘めている。
・・・と、警告を発していた。

 わたしは、皆さんと同じように、中東情勢に詳しいというわけではないし、この入り組んだ内情と、多くの難民問題など、それだけを見ても、眩暈がするほど、どことどこが、どうなって、何が原因で対立しているのかさえ、十分に把握できずに戸惑っているが、・・・

 あのパリの事件で、世界中の目がパリ、そしてヨーロッパに集まっていた時に、ひっそりと次のようなニュースが流れていたという事を、皆さんはご存知だろうか。?


中国、着々と「他国が支配を覆せない環境作り
 こういう様子を見ていると、世界は今、エネルギー獲得と資源獲得の熾烈な競争の中にいる。
 あの衝撃的であったパリの事件も、そういう断片の一端であろう。
当たり前の事だけど、どの国も、第一義的には自国の安全と安定と優位性の問題が大事である。
そういうものを獲得する戦略の中に、国際協調と云うものがあるのだから、多くの国では国民が、理想や理念と現実の乖離と云う部分は十分理解していることであろうと想う。

 昨年末の『戦争』の記事の中でも書いたことだけれど、理念である憲法九条の問題は、理念であるそれが、現実的に起こり得る、日本が紛争に巻き込まれる事態やパリの事件のような都市を舞台とした同時テロに即応できるような周辺法の整備が整っていない事が重大な事態を招きかねないし、そのような非常時には個人の人権や権利に対してある程度の制限が設けられるのが普通であるから、そういうところに懸念があるのならば、事前に十分に、そこを調整しておかなければならない。そうでないと、混乱した状態の中で白紙委任するというようなことになって、その方が問題が多い。

最後に、寒波で危機的な状況にあるシリア難民の人々の状態を紹介しておくが、今、寒さと飢えが。彼らを襲っている。

 彼らの状況を考えるには、日本で起きた・11の時に、どこがどれだけ被害を受けて、どこにどれだけの人が避難しているのかについて、政府が全く把握できず、寒い中で暖もとれず、食べ物も着るものもない状態で数日過ごした人々の事から、想像するといいと思う。

 有事対応が整っていないから、自然災害の場合も被災規模が大きく、広域に跨る時などでも、迅速に動き出せなかった。
表面的な主張にミスリードされて、有事の時に手痛い被害を被るのは、わたしたち自身なのだから、そういうことが有り得るという前提に立って、考えることが必要でしょうね。

 できることならば、
わたしはシリア難民の人々のような状態に陥りたくないです。
だって、紛争に巻き込まれるということは、こういうことなのだから・・・

パリの事件の真相が煙のように消えてしまった様に、
わたしたちが磐石と信じるものも、同じような幻なのかもしれないですね。


WFP(World Food Programme)
WFP(World Food Programme)の公式英文サイトですが、ここから、あなたが直接Syria Crisisの緊急食糧援助に協力できます。
● Syria Crisis: Families urgently need food assistance

Syria Crisis