「住みやすい場所を求めて人口の大移動は有り得るだろうか。?」 | ーとんとん機音日記ー

ーとんとん機音日記ー

山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記


栃木県では、8億円借り入れ問題で渡辺喜美氏に東京地検特捜部が事情聴取という事なのらしいけれど、群馬県では、小渕優子・前経済産業相の関係先が、パソコンのハードディスクをドリルで破壊して不正な金銭収支のデータ隠蔽して逃げ切りか。?
是も非もなく利益誘導で候補者と地域が一体となった「群馬の選挙」のすごさには驚くばかり。


 政治団体「小渕優子後援会」の女性部部長が企画したと言うことですが『参加者から集めた会費が合わせて740万円だった一方、劇場に対する支払いは3300万円を超えていた。』ということだから、単純に考えると『ー2560万円』分は、どこから手立てしていたのかと言うことになります。
そして、もっと単純に言うなら『これは票の買収に近いものじゃないですか。』

 普通ならね。保守の中でも批判が起こって対立候補がでてきても良いような、『あからさま過ぎる状態』ですからね。
地域の有権者の中で自浄機能が欠如してるとしか思えないような結果になりました。

衆議院議員選挙の小選挙区図群馬県選挙管理委員会
群馬第5区
高崎市(旧榛名町・倉渕村・箕郷町・群馬町の区域)・渋川市(旧渋川市・子持村・小野上村・伊香保町の区域)・富岡市・安中市・北群馬郡・甘楽郡・吾妻郡


 田舎と言うか、地方には“財源がない。”…だから、『国から如何にしてお金を毟り取ってくるのか。』というところで、住民個々の利害や思惑、各種の団体の思惑、選挙区内の市町村の思惑、地方政界の思惑が、一蓮托生の癒着というのか、芋蔓式の連鎖をしているという構造があるというところが、自民党小渕優子議員の地盤では顕著にでていて、ここまで絵に書いたように鮮やかだと注目に値すると思う。


小渕氏側が実質支援の伊能氏、群馬・中之条町長に初当選2014年12月1日朝日新聞

 こういう例から、『だから、田舎は閉鎖的。』とか、『だから、田舎は保守的。』とかいわれるのだけれど、・・・小渕氏側が…というよりも、地元が守りたかった、このような『一蓮托生の癒着というのか、芋蔓式の連鎖をしている利権構造』は、閉鎖的な地域性の産物ではあるけれど、ナショナリズム的な保守性とは、また別個のものである。

 地方財源と自治の視点から、下に示した総務省自治財政局作成の「平成26年度 不交付団体の状況」と言う文書を見てみると、道府県では東京都のみ、そして市町村では合計54団体という状況である。
 つまり、これら以外の全国の多くの道府県と市町村は、『地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から…』という理由で、主軸の財源を国に握られて“平等”にこの天下りのお金を交付されているのである。

 でも、視点を変えれば、『縛りのない独自の財源があってこその自治でしょう。』という見解もある。
 また、裏を返せば『“平等”に降りてくる天下りのお金』である限り、政策的成果によって、住民にとって他所より有利な生活基盤の条件を備えることによって人口を増やそうとか、成果を競うとか、結果を重要視するとかいう論点は棚上げされて、『行政と各種地域団体と住民が、一蓮托生の癒着の関係をつくり、芋蔓式の連鎖をしている利権構造で、仲良く分配しあっているのである。』だから、揶揄される、赤旗紙の『一定の成果があった。』という表現のような、実質的な成果に関係なく、『みんなで、協力して努力した証拠写真』のような成果が手当てできていれば、意義のある税金の使い方の一例としてカウントされてしまうのだから、いくらお金があっても足りないことになる。

 そういうところに比して、独自の財源があるこれらの不交付団体は、やりようによっては少しましな未来が描けているのかもしれない。
 例えば、電力関連の財源だけれども、群馬県の上野村などは、それで自治的な独立を保っている。また、そういう意味では裕福な自治体同士の合併なら、合併した自治体でも少しはましな未来が描けるのかもしれない。

「昭和 40年 6月から平成 17年 6月までの 10期40年を務めた黒澤丈夫上野村長は合併には反対の立場であり、その理由として、基礎自治体における住民の協力や団結心が低下すること、人口規模の大きい都市との合併では人口の少ない地域は選出できる代議員が少なくなり自治権を失うことなどを挙げていた。上野村長の在任期間の長さに加え、全国町村会会長も 2期 4年務めるなど有力な政治家であった黒澤村長の村長のリーダーシップが、上野村が合併を検討しなかったことに大きく影響していると考えられるが、議会もこれに同意し、また住民からも合併を求める声が大きく上がることはなかったようである。」…市町村の財政運営(3) 市町村合併と過疎問題より


 それらの処を、財務総合政策研究所研究部 研究員 岡部真也氏の「市町村の財政運営(1)~(3)」を参考にさせていただいて考えてみると、ある意味で目から鱗の日本の未来が見えてくる。

 結局、今日謂われる「自治体の消滅」ということが想定される背景には、自治体財政の問題も無縁ではない、それに、もっと端的に謂うとですね。「いわゆる過疎地や過疎地化してゆく地域には、働ける場所は、自治体か、自治体関連の事業か、農協か、保育所や学校か、福祉関連の事業か…」という所しかないということになっていて……。
 農協さん以外は、悪い冗談じゃないのですけれど、『行政という産業』が地域で一番雇用生み、あとは福祉介護関連か、行政が主導して助成金でつくった『地域づくり団体』などの小額の役付き手当てを持ち回りで別け合うというような感じですからね。
 このような世紀末な状態にまで至ったら、自治労の巣窟になっていて、人件費で予算を食いつぶすだけの自治体は必要かという話しになってくることも一理あることです。
 燃費は悪いし、どうやらタンクに穴が開いていて、社会資本を充実させるための大切な資金が訳のわからないところへ使われて消えてゆく、おまけに、スピードが出ないから、何をさせても出来が悪いし遅い。…こういうことになってきていたら、そういう地域から脱出することを考えたほうがいいかもしれません。

「自治体の消滅」が危惧されると云われた自治体で、対策会議がもたれたそうですが・・・そう簡単に、都市部から若い層が移住してくるでしょうか。?

 ほんとうに、『何とかしなけりゃ。』と思うのなら・・・
一過性の問題ではない『暮らしやすい環境』と、『就労雇用』と、『都市部以上の有利な条件』が持続できるような地域の基盤があるのなら・・・可能性もなくはないですが、そういう地域なら、都市部への人口流出も多くはなかったハズ。・・・だから、これは斬新なアイデアがないままで続けると堂々巡りになりますね。

 人類が滅亡した後の都市で、ロボットだけが働きつづけるというようなSF映画のように、高齢化した住民のほとんどが、介護施設やグループホームに入所してしまって、誰もいない市町村で行政だけが生きつづけるというような日が来るのでしょうか。?

 今回の衆議院選挙から伺えた・・・ひとコマ。
優秀で親切な職員が多い小さな世帯の自治体で、癒着や馴れ合い無しの、まともな自治行政と議会があるような自治体ならば、多少の現実には目を瞑って、移り住む人も出てくるかもしれませんね。



平成26年度 普通交付税の算定結果等-総務省自治財政局交付税課
平成26年度 不交付団体の状況

市町村の財政運営(1) 市町村税の「税収格差」- 財務省
市町村の財政運営(2) 増収時の支出と起債- 財務省
市町村の財政運営(3) 市町村合併と過疎問題- 財務省

八ッ場ダムニュース「固定資産税は26億円 上野村で発電所稼動」(上毛新聞)