恋しき人~天門の先~第四十三話 | シンイ~信義に夢中

シンイ~信義に夢中

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登場人物紹介
ミノ:ヨンとウンスの次男
ギリュ:寺に預けられている男の子
ソンイ:ギリュの姉
チェ・ウ:ギリュとソンイの父
書いてる本人が忘れているので覚えに置いておきます


 
急ぎ小道を駆けおりると川原で母上を抱き締めるチェ・ウがいた

何をしておるのです
俺は急ぎチェ・ウから母上を引き離した

あ 先生 違うの
泥濘(ぬかるみ)に足を滑らせて転けそうになった所を助けてもらったのよ
母上は、へらへらといつものように笑っておられるが俺は気が気ではない

あなたは、そそっかし過ぎるのです
もう少し落ち着きを持って… ほら、顔に泥が

えっ? 恥ずかしい何処 何処?
肩をすくめ手の甲で顔を拭う母をミノは優しい眼差しで見つめ懐から手拭いを取り出すと鼻の頭についた泥を拭き取った
……あの頃とは反対だ
ミノは懐かしい子供の頃を思い出していた


こらミノ~ 泥だらけじゃない
ほら~ 顔も ちょっと待ちなさい
暗くなるまで母の後を付き薬草を探していたあの頃
若くして嫁いだ姉やウダルチに入った兄とは違いミノは、いつも母といた

ミノは良い子ね
薬草の入った篭を抱え歌を歌い帰る道は楽しかった

ほら ここにも付いてるわよ
懐から手拭いを出すと母上はいつも優しく拭いてくれた


先生? とれた?
俺を見上げる真ん丸い目と目が合い我に返った所で笑い声が聞こえた

これは失礼、そなた達を見ておると許嫁というより父と幼子のように見えてな
チェ・ウの言うことは正しいのだろう
天界とは違うこの高麗では母上は幼子と同じ、それをお守りする俺は父親と同じ役割なのかもしれぬ
本来なら父上のお役目…父上ならば、この様な時どうなされるか
俺は一瞬俯き目を閉じるとチェ・ウ殿を見た

このお方は医術以外は幼子と同じで目が離せぬのです
そこがまた、愛しゅうて
母上を見つめ頭をそっと撫でると母上は、真っ赤な顔になった

これは これは……
チェ・ウはまた笑いだしたが目は笑っていなかった

父上~和尚様がお待ちです
ギリュの声がし振り返るとギリュとソンイの姿が見えた

そうであった
和尚に呼ばれておったのだ
また後程
チェ・ウは母上を見るとにこりと笑い俺には少し頭を下げた

和尚に呼ばれた? 警備のことかもしれぬ
俺は安易にそう思った
だが、これが騒動の始まりだった





 


 
ヨンが出ていないのに、このお話が好きだといってくださる方がいる
ありがたいことです

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