恋しき人~天門の先~第三十話 | シンイ~信義に夢中

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大丈夫よ 気を確りもってね
貴方が死んでしまったら、この子は、一生自分を恨むわ
だから、お願い 生きると誓って
ウンスは男の手を握りしめながら耳元で話すと男は僅かに頷いた

そんな様子をチェ・ウは、ずっと見ていた

可笑しな女人だ
見た目も行動も普通の女人とは違う
先程の男といい、一体何者なのだ
しかし、この世の者とは思えぬほど美しい
チェ・ウは、もっと側で見たいとウンスの真横に立った

何? 私に何かご用ですか?
そこに立たれると子供達が怯えるから、用が無いのなら離れて下さい

何を無礼な!
チェ・ウの側で控えていた役人がウンスの肩を掴もうとするのをチェ・ウが制する

良いのだ 気付かず悪いことをしたな
ウンスの足元に怯えるようにくっついていた幼き者達を見下ろすとチェ・ウは、少し離れた所に立ちウンスに尋ねた

その子は、そなたの子か?

いえ 違うわ あの村の子よ
1人は、この人の娘さん、もう1人は目の前で母親を殺されてショックで声が出なくなったみたいなの

し…?
聞き慣れぬ言葉を耳にしチェ・ウは、聞き直す

あっ… 不味い ウンスは思ったが何とか誤魔化そうと

しょっ…仕様が無く、そう仕様が無いのこんな小さな子の目の前で乱暴されて殺されたんだから

何? 子の目の前でか

私が見つけた時には既に亡くなっていたわ
力で弱い者を捩じ伏せる…最低よ
ウンスは目を閉じると苦々し気に言い捨てた



開け放たれた戸口から白い脚が見えた
怪我人だわ
ウンスが急いで家を覗くとその悲惨な光景から目を逸らせた

地面に仰向けに倒れている若い女は、抵抗したのであろう左の頬が赤く腫れていた
衣は開け白い膨らみがあらわになり、かろうじて腰ひもで結ばれた下衣は捲れ上がり太股まで見えている

一目見れば、誰の目にもここで起こった悲惨な出来事が分かる筈だ

胸に刺さった小刀を抜くのを躊躇っていると後から入ってきたミノが見兼ねて抜いた
ウンスは乱れた女の着物を直し

痛かったでしょうね 怖かったでしょうね
泣きながら懐から手拭いを取り出すと泥で汚れた女の顔を丁寧に拭いた
そんな時だった ことっ 部屋の片隅から音が聞こえた

誰? 誰かいるの?
ウンスが恐る恐る振り向くと小さな籠が見えた

動いた?
籠を隠すように被せてあった御座が微かに動いていた

お待ちください 某が
ミノがウンスの代わりに御座を退けると小さな男の子が籠の中で両手を握り締め震えていた
それが、この子タンだった
母親は埋葬される事になり、生き残った者は寺に行くことになった
危ないから後からおいでと言っても、一向にウンスから離れようとしないタンを仕方なくウンスが連れてきた

ウンスに母親の面影を重ねるのは仕方の無いことだろう





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慌てて書いた為、誤字脱字があったら、こっそり教えて下さいね