恋しき人~天門の先~第三十一話 | シンイ~信義に夢中

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早よう 此方へ
ウンスの無事な姿に安堵しながらミノは、急ぎ診察室へと怪我人を連れて行く

部屋は幾つもの灯りで照らされ、湯の入った鍋がところ狭しと置かれ、手術道具も既に並べられていた

流石、先生手際が良いわね
ウンスは綺麗に洗濯された手術着を羽織ると手術の準備に取り掛かる

ここに寝かせて、そっと…そっとよ
怪我人に麻酔薬を嗅がせ、様子を見る

ウンス殿、意識を失いました

じゃあ始めましょう
二人のやり取りを見ていたチェ・ウは

見せて貰うぞ
と言うと二人の返事も聞かずに入り口近くにあった椅子にどかりと座り、息の合った二人の様子を横目に見ながら、その神業のような手術に目を見張った

あの伝説の華陀か? いや…華陀は男の筈、では彼方の男が?
チェ・ウは、初めて見る手術というものに感動し、ウンスから目が離せなくなっていた

ミノは、じっと此方を見詰めるチェ・ウの視線に焦りを感じる
母上を見るあの男の目…不味いな
目の前の母は手術に集中し気付いておられぬようだが

汗! 汗を拭いて
急に声をかけられ、慌てて手拭いでウンスの額の汗を拭うミノ

集中!
ウンスは患者から目を離さず、ミノに言う

はい すみません
ミノはウンスに謝りながら自己嫌悪におちいっていた

手術中だというのに俺は…手術に集中しなければ
気を引きしめるミノであったが、その手は微かに震えていた



お疲れ様 あの患者さんは、もう大丈夫ね
手術が終わった後も二人は休む間もなく他の怪我人の手当てに追われ、一息つけたのは夜も更けた頃だった

先生 大丈夫?
よっぽど酷い顔をしていたのか母は俺の顔を覗き込んだ

ウンス殿 男に対して、その様な仕草は誤解のもとですぞ
母だと思っていても鼓動が早くなるのが分かる
もし、この様な仕草をあの者にすれば、完全に誤解を受ける
されど、母に言うても自覚は無いのであろう
思案したミノは、思いきって口を開いた

ウンス殿、某の許嫁になっては貰えませんか

へっ?
思いもよらぬミノの言葉にウンスは目を白黒させた








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