『臨床精神医学』第38巻第3号から | あ~どうしたものか

あ~どうしたものか

社会問題=PTSD現象。

“郷土なくして人生なし”
ということで[複合汚染]時代をサバイバル、平穏死を子々孫々繋いで生きましょう。

第6回福岡精神医学研究会特別講演 
講演記録「難治症例に潜む発達障碍」神田橋 條治

神田橋先生の、ひょっとすると、ためになる“与太話”もあり
の臨床家としての講演です。ある人から教えていただき、拝読
しました。

神田橋先生の「発達障碍」の診断は愉快です。曰く、
p.353
>  だからこれを覚えてください。通常
> の面接ではこれが一番いいです。「小
> さいときから卵焼きが大好きな子ども
> がありました。お母さんが久しぶりに
> その子のために卵焼きを作りました。
> 上手にできたし子どもが美味しそうに
> 食べているので、お母さんは嬉しくな
> って、『久しぶりで、美味しいでしょ
> う?』と話しかけました。すると突然、
> 子どもがお母さんを殴りつけました。
> この子の気持ちがわかる?」と聞いて
> ください。
>  発達障碍を持つ患者さんの三分の二
> はわかるといいます。残りの三分の一
> の患者さんも説明するとわかります。
> 同じ体験をしているといいます。会場
> のみなさんは、どなたも、おわかりに
> ならないと思います。答えは「せっか
> く美味しく食べていたのに、お母さん
> が話しかけたから味がわからなくなっ
> た」です。何か別のテーマだったら無
> 視できるのですが、同じ卵焼きの味の
> テーマなので侵入を防げず、混乱が生
> じたのです。この質問でおおよその見
> 当がつきます。


誰かが、もしくは犬が何かを一心に食べているときに、ごちゃごちゃ言ったり手を出したりしないほうがいいと私も思います。いらいらする気持ちは分かります。相手が犬だったら噛まれるかも知れません。

拙ブログ・エントリ『アサーティブに』にも書きましたが、その手の話は私は理解はできます。が、いきなり殴るのはやり過ぎですよねぇ——と思う私は発達障碍ではない!(^_^;)!かな? 過剰防衛ですよね。

p.355 屋久島か沖縄の春ウコンの話——前ページで「屋久島と沖縄の春ウコンがいいです。どれくらい使うかというのは適当、ティースプーンで一日1杯か2杯でいいです」の続き——
>  だから診断は何でもいいんです。自
> 閉症でなくても、AD/HDでも何でも、
> 普通の人でもいいです。今日、ここに
> も来ておられる先生が同僚のお医者さ
> んに飲ませたら、こだわりがなくなっ
> て、「運転がとても楽になった」と喜
> んでおられるそうです。小脳の障害と
> いうものは、精神科医の中にもとても
> 多い。会場を見るとそれらしい人がい
> らっしゃいます。
>  集中力がいいというのと、集中以外
> はできないというのは見分けがつかな
> いですよね。集中以外はできないせい
> で、勉強をどんどんして、成績がよく
> なって、医学部に入って、で、実務に
> なったら困った人で、全然協調性がな
> いとかいう人、いっぱい思い当たるで
> しょ?そういう人はウコンを試してみ
> てください。ウコンを試す前に、Oリ
> ングを引っ張ってもらったらいいです。
> それでわかります。

私はOリングはできません。「小脳に邪気」があるかは不明ですが、集中するので勉強はまあできました。協調性はありません。それで、沖縄産の春ウコン粉末がまだあるので、蛋白質を摂るときに振りかけて食べることにして再開しました。診断したのではありませんが、毎日茶さじ1くらいなら別に食べてもどうということはないので、ものは試しというものです。

p.357
> それから平衡障害のある人には、バラ
> ンスボールがいいです。今、バランス
> ボールもけっこう安いのがありますか
> ら、座らせて、片足上げさせる。重症
> のアスペルガーの人はたいてい、足を
> 上げた瞬間に1秒もたたずに、ひっく
> り返ります。そういうのもだんだん足
> を上げていく練習をすると、「もう3
> 秒もできるようになった」といって、
> 喜んで報告してくれます。それととも
> に表情が明るくなる。

平衡障害はあるので、実は半年ほど前にバランスボールを買って練習してきました。確かに徐々にマシにはなるようです。しかし、「足を上げた瞬間に1秒もたたずに、ひっくり返る」のは「重症」なのか?——ならば私は「重症」(笑)です。確かに人にやらせてみると、もう少し長くできる人のほうが多いけれど。

ほかに同じページに、100円ショップで3本くらい矢がついたダーツを買って、至近距離からさせて、徐々に遠ざけて、本人に進歩しているというフィードバックを与えて意欲を高めるという話が出ています。しかし、これは尖ったものに恐怖を覚えない人にしか使えませんね。なので、私はパス。

p.358
>  あ、そうそう、発達障碍の人たちは
> 絶え間なき不適応ですから、ほとんど
> の人がPTSDを持っています。この場
> 合の心的外傷は外から来ているわけで
> はないんです。自分が勝手に不適応を
> 起こして、傷ついて、自家生産的
> PTSDになって、それでパニックにな
> ったりする。だから人が親切に「あの
> ねぇ」と声をかけてくれたりすると、
> それがフラッシュバックになったりし
> て、「あのねぇ」といった人を殴った
> りするんです。だからフラッシュバッ
> クの治療が必要になりますが、それは
> さっき神庭先生が紹介してくださった
> 『PTSDの治療』の中にありますので、
> それを見てくださいね。

『PTSDの治療』は、拙ブログにも“Bookmarks”を付けました。捨てネコ氏のブログで読むことができます。

拙ブログ・エントリ『アサーティブに』にかつて書いた例は、神田橋先生の仰る「自家生産的PTSD」に当たるところがあるとは思いますが、私は「殴る」とまでは書いていません(^_^;)。ま、殴りかかる人もいるんだけど、そういうときは逃げて、本人がクールダウンする時間を持てるようにしてあげましょう。相手が自分より非力で抱きしめられることに抵抗のない人であれば、抱きしめて止めて、頭が冷えるのを待ちましょう。

次の部分はなるほどと思いました。

p.363
> 発達は個性とつながっているというこ
> とからいいますとね、これを共通の物
> 差しで計るのは没個性的測定ですよね。
> 没個性的測定はもういっぱいあるわけ
> です。WAISとかWISCとか他にもいろ
> いろあります。
>  治療をやる人はその子のためのテー
> ラーメイドの指標をこしらえてほしい
> の。そしてそれは、こういうものであ
> ってほしいんです。治療者が測定する
> ためのものではなくて、本人が自らを
> 測定するためのレーティングスケール
> であってほしいんだ。
>  その一番簡単なのは、さっきお話し
> ました何メートルのところからダーツ
> に当たるかというので、「5メートル
> のところから当たるようになった」と
> いうのは大した指標だと思います。そ
> のようなものを、その人その人用にこ
> しらえてください。いっぱいあります、
> ぜひそうしてあげてください。

2016年5月19日追記:
おお、こんなところに
おバカなことが書いてあったので、
解説します。

「自分が勝手に不適応を起こして、傷ついて、
自家生産的PTSDになって、
それでパニックになったりする」のは
発達障害ではなく、
PTSD症状そのものです。
参考:
http://bit.ly/fuanDisorder
この程度のことが、未だに理解できないと、
きょうクリ院長並みにバカなんで、
専門性の低さゆえに
早晩、見放されますよ。


なお、この講演記録を載せた雑誌は
http://www.molcom.jp/magazine_result/62/1/
でネット販売もされています。最新号ではないので、ご注意。
臨床精神医学 38/3 2009年3月号
2,888円(税込)です。