ヴィクトリア女王が笑ってる！すごく珍しい写真です。
左がヴィクトリア女王、そして立っているのが娘のベアトリス王女、座っているのがヴィクトリア女王の孫娘ヘッセン大公女ヴィクトリア（女王の次女アリス・モード・メアリ王女の長女）。そのお膝にいるのが娘のアリス。
Queen Victoria, with her daughter Princess Beatrice (standing), her grand-daughter Princess Victoria of Battenberg (nee, of Hesse and by Rhine) and her great-granddaughter Princess Alice of Battenberg. Little Alice went on to marry Andrew of Greece and Denmark and became the mother of Prince Phillip, Duke of Edinburgh and consort of Queen Elizabeth II.
横顔を比べてみましょう。
【英国 ヴィクトリア女王】
Queen Victoria (1854, age 35)
【孫娘 ヘッセン大公女ヴィクトリア】
Princess Victoria of Hesse and by Rhine, Marchioness of Milford Haven
ミルフォード＝ヘイヴン侯爵夫人ヴィクトリア＝マウントバッテン。現エリザベス女王 夫フィリップ殿下の祖母。
【アリス ギリシャ王妃】
英国ヴィクトリア女王のひ孫である母アリス・オブ・バッテンバーグ（プリンセス・アリス）
ヴィクトリアの娘、アリスはのちのジョージ5世とテック公女メアリーの結婚式でブライズメイトとなるなど、幼い頃からイギリス王室の一員として育ちます。結婚後はグリュックスブルク王家（ギリシャおよびデンマーク王家）の一員となり、彼女の息子フィリップは現エリザベス女王の配偶者に。
♕写真集♕
1979年ヴィクトリアとルイス・アレグザンダー・マウントバッテン（ルートヴィヒ・フォン・バッテンベルク） 、右後ろがアリス（フィリップ殿下の母）
Princess Victoria and Prince Louis of Battenberg with all their children, (left to right) Prince George, Prince Louis, Princess Louise, and Princess Alice. Prince Louis grew up to be Lord Louis Mountbatten, 1st Earl of Burma. He had a distinguished career in the British Armed Forces and was tragically assassinated by the IRA in 1979.
【子女】
・アリス（1885年 - 1969年） ギリシャ王子アンドレオス妃、英フィリップ殿下の母
・ルイーズ（1889年 - 1965年） スウェーデン王グスタフ6世アドルフ妃
・ジョージ（1892年 - 1938年） 第2代ミルフォード＝ヘイヴン侯
・ルイス（1900年 - 1979年） 初代マウントバッテン・オブ・ビルマ子爵＆伯爵。
ヘッセン大公家の娘としてウィンザー城で生まれたヴィクトリア。
母・英国王女アリス・モード・メアリはジフテリアに罹って早世、彼女はヴィクトリア女王の元、妹エリーザベト（のちのロシア大公妃エリザヴェータ・フョードロヴナ）と同じ部屋に生活し、良い教育を受けました。
ヘッセン大公家は次々と不幸が起こる事で有名で、もうひとりの妹はロシア皇帝ニコライ2世の皇后アレクサンドラ・フョードロヴナで彼女はロマノフ一族全員の殺害命令を受けた革命軍により第一次世界大戦の間、銃殺されました。アレクサンドラの遺体はソ連崩壊後に発掘され、DNA検査の結果エディンバラ公フィリップの提供したDNAと一致。
※殺された皇后はフィリップ殿下祖母の姉妹…皇女たちは母とイトコそして殺されたニコライ2世は父とイトコetc （詳しくはこちら⇒● ・● ）
ヴィクトリアは父のイトコでイギリス貴族で海軍の軍人ルイス・アレグザンダー・マウントバッテン（ルートヴィヒ・フォン・バッテンベルク）とヴィクトリア女王の紹介で結婚。彼の父アレクサンダーは貴賤結婚をしてロシアの軍人となっていたため、下級貴族扱いでした。
ヴィクトリアの父ヘッセン大公太子ルートヴィヒはイトコであるルイス・アレグザンダー・マウントバッテンと娘の結婚に不本意でした。ヴィクトリアはイギリスで生活するようになり、孫フィリッポス（のちのエディンバラ公フィリップ）を引き取り、イギリスで養育。
妹エリザヴェータの遺体は長い旅ののち、1921年1月に生前の彼女の希望通りにエルサレムで埋葬され、ヴィクトリア＆ルイス夫妻はその場に立ち会いました。英国ケンジントン宮殿で死去。
【ロシア帝国・ヘッセン家】ニコライ2世とアレクサンドラ・フョードロヴナ →●
ヴィクトリアと娘アリス、アリスの長女マルガリタ
Princess Victoria of Hesse and by the Rhine with her daughter Princess Alice of Battenberg and granddaughter Princess Margareta of Greece and Denmark
【アリスの子女】
・マルガリタ（1905年 - 1981年） - ホーエンローエ＝ランゲンブルク侯ゴットフリート妃
・セオドラ（1906年 - 1960年） - バーデン辺境伯ベルトルト夫人
・セシリア （1911年 - 1937年） - ヘッセン大公世子ゲオルク・ドナトゥス妃
・ソフィア （1914年 - 2001年） - ヘッセン＝カッセル公子クリストフ夫人のち、ハノーファー王子ゲオルク・ヴィルヘルムと再婚
・フィリッポス （1921年 - ） - エリザベス2世の王配・エディンバラ公フィリップ
かわいすぎる ※フィリップ殿下のお姉さま方
The 4 daughters of Princess Alice and Prince Andrew of Greece and Denmark (from left): Princess Theodora, Princess Margarita holding baby Princess Sophie, and the tragic Princess Cecile, who would die at a young age and give birth to 3 children who wouldn't live past 6 years old.
1909年、のちのスウェーデン王グスタフ6世アドルフ妃・ルイーズ（アリスの妹）とアリスの夫ギリシャ王子アンドレオス（フィリップ殿下の父）。
Louise with her brother-in-law, Prince Andrew of Greece and Denmark. In 1909 Louise became secretly engaged to Andrew's younger brother, Prince Christopher, but financial hardships forced the couple to end their relationship. Louise later had 2 more romances that ended sadly. She finally found happiness at 34 with Gustaf Adolf of Sweden.
Another photo of Queen Louise of Sweden when she was still Princess Louise of Battenberg. With her is her baby brother, Prince Louis, and nieces, Princess Theodora ( on her lap) and Princess Margarita, the children of Louise's older sister, Princess Alice.
のちのスウェーデン妃 ルイーズ
Crown Princess Louise and Crown Prince Gustaf Adolf of Sweden with Gustaf Adolf's father, King Gustaf V.
プリンセス・アリス---美しい彼女の人生は厳しいことが続きました。
Alice, Princess Andrew of Greece
彼女は女王の義母、未来の国王の祖母になった後、修道女の道を自ら選びました。
パフォーマンスではない、彼女の人生を振り返ります。
先天性の難聴ながらも努力で読唇術を身に着け英語、ドイツ語、フランス語、ギリシャ語をマスター。伯父エドワード7世の戴冠式でギリシャ王子アンドレオスと出会い1903年結婚。
まもなくギリシャには不穏な空気が。夫ギリシャアンドレオス王子が戦争に出かけ王族は亡命しはじめるも、アリスは看護婦として野戦病院で働きました（のちにこの功績をたたえて、英ジョージ5世から王立赤十字勲章を授けられました）。
時を同じくして、第1次大戦。1918年ロシアのロマノフ王家のイトコのアナスタシア皇女など親族が殺されます。
ギリシャでも国王一家は処刑の対象に。フィリップ殿下ら一家は英国ジョージ5世の差し向けたイギリス海軍の 軍艦によって救出され亡命。フィリップ殿下は１歳の時でした。
戦争と複雑な時代背景に精神を削られていったアリスは、幼いフィリップ（1921年生まれ）を自分の母ヴィクトリアや弟の第2代ミルフォード＝ヘイヴン侯）や兄ルイス・マウントバッテン卿に預けます。
1930年から1931年にかけてフィリップと年の離れた娘たちがドイツ貴族と結婚した際は、アリスは時代を汲んで娘たちの結婚式に出席ませんでした。アリスの娘でヘッセン大公妃になっていた三女セシリアの一家が1937年に飛行機事故で、事故死し、唯一無事だった孫ヨハンナも、わずか2歳で病死。
1938年アリスは、一人でアテネに戻り、2つの寝室しかないフラットに住みながら貧しい人々を援助する活動を始めます。
天使が生まれました（フィリップ殿下と父）
Prince Filip with his father Andrew :
イトコ遊びまくった後のようなフィリップ王子（金髪）、ギリシャ国王、ゲオルギオス2世
Filip with his cousin Michael of Romania and uncle King George II of Greece :
第二次世界大戦中になると、英国のウインザー城で生まれ育ったアリスはより苦しい立場に。母方が英国ヴィクトリア女王の子孫であり、父はドイツ系。
娘たちの夫らはドイツ側に立ち、息子フィリッポスはイギリス海軍士官になりました。母方の従兄（父の姉マリー・フォン・バッテンベルクの子）は、1941年から駐アテネ・ドイツ大使に。
婚家ギリシャ王家の大半が南アフリカ共和国へ逃げた中、アリスと義妹エレナ・ウラジーミロヴナ（ギリシャ王子ニコラウス妃、ケント公夫人マリナの母）はアテネに残りました。アリスは義兄ギリシャ王ゲオルギオス所有のみすぼらしい家に移り住み、赤十字社で働き、炊き出しをしたり、スウェーデン王太子妃となっている妹ルイーズから医薬品の提供を受けて活動をしました。
1943年のドイツ軍侵攻でアテネが占領されると、75,000人いたというユダヤ系ギリシャ人ユダヤ人のうち60,000人が強制収容所に送られ、2,000人が殺される現状の中、アリスはユダヤ系の未亡人ラケル・コーエンと2人の息子たちをからかくまいました。ラケルの亡夫ハイマキは、ゲオルギオスを援助したことがあり、ラケルの息子はこの恩を忘れず、のちにギリシャに残った王族が家族の命を救ってくれたと、アリスを賞賛。戦時中の人道行為は戦後、イスラエル政府により諸国民の中の正義の人に列せられ讃えられました。
1944年10月、アテネが解放されると英国政治家（のちの首相）ハロルド・マクミランがアリスの元を訪問すると、アリスは食べ物にも困る状態。この時代息子フィリップ（フィリッポス）に「パンとバター以外の食べ物を食べていない。何ヶ月もよ。」と手紙を書き送っている状態でした。イギリス軍の守るアテネが解放されるとすぐに、共産ゲリラに攻撃され、内戦の最中、1939年を最後に会っていなかった夫アンドレオスがモンテカルロのホテルで死んだ事を知ります。
1947年4月、イギリスへ戻ったアリスは、11月に海軍大尉となっていた息子フィリッポスと共にドイツ風の名を英国風の姓名に改め、英国国教会に改宗して、ギリシャ・デンマークの王位継承権を放棄。そしてジョージ6世の後継者エリザベス王女（後のエリザベス2世）の結婚式に出席。アリスはバッテンベルク家の年長者として、ウェストミンスター寺院の北側に国王夫妻と向かい合って座いました。
1947年息子とエリザベス王女の結婚式で、エリザベス王女の祖母メアリー王妃と共に。
The Princess Elizabeth's Wedding- HM Queen Mary and HRH Princess Andrew of Greece and Denmark (20 Nov 1947)Queen Mary, grandmother of the current queen and turban-wearer extraordinaire, and Princess Andrew.
王族とはいえ、クーデターや戦争で財産も無くなり厳しい中、アリスは何十年も守り抜いたメアンダーティアラを息子の妻エリザベスに送りました。また3カラットの婚約指輪はアリスの他のティアラのダイヤを利用し作られました。フィリップ殿下はPhilip Antrobus Ltdと何度もデザインを詰めて完成させたそうです。
【英国王室とジュエリー】メアンダーティアラ Greek Key or Meander Tiara→●
婚約指輪に使ったティアラ→●
シンプルなデザインで女王は現在も時々身に着けていらっしゃいます→●
The diamonds for Queen Elizabeth II’s engagement ring from Prince Philip came from a tiara belonging to Philip’s mother, Princess Andrew of Greece.
1952年2月6日チャリティーのためにシカゴを訪れていたアリス。
空港まで追いかけてきたマスコミに国王の死去とエリザベス女王の即位についてのコメントを求められます。
マスコミに対し、「1月16日に国王にお会いしたとき、非常にお元気そうに見えました。」と答えました。60代のアリスが決して楽な生活をしていないのは目に見てわかるはず。
Princess Alice of Greece, mother-in-law of the new Queen of England, pictured as she arrived in Chicago from the East by plane today on a charity mission. The 60-year-old mother of the Duke of Edinburgh, who now becomes Prince Consort, told newsmen, "King George VI was looking exceptionally well when I last saw him on January 16th". February 6, 1952 Chicago, Illinois, USA
1953年に行われたエリザベス2世の戴冠式では、修道女の装いで出席。1967年4月、ギリシャで軍事クーデターが起こったのをきっかけに、アリスは息子夫婦の住むバッキンガム宮殿へ移り住み、同年12月、王党派のクーデターが失敗し、ギリシャ王コンスタンティノス2世夫妻は亡命。
1953年、戴冠式で。
Princess Andrew of Greece and Denmark, Prince Philip's mother (bottom left) processes down the aisle of Westminster Abbey for her daughter-in-law Elizabeth's coronation as Queen Regnant of Great Britain. June 1953.
1968年孫のチャールズが21歳になりウェールズ公としての戴冠式を行った翌年1969年12月、アリスはバッキンガム宮殿で亡くなりました。アン王女のフルネームはアン・エリザベス・アリス・ルイーズ（Anne Elizabeth Alice Louise）
Prince Charles and Princess Anne with their Grandmother Princess Alice of Greece, 1960s
美貌や能力を受け継げなくとも、血筋や努力、良い意味での強い意志を受け継げるといいですね...。
【英国王室】フィリップ殿下 92歳の誕生日、ロンドンで祝砲→●
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【ギリシャ・ロシア】オルガ (ギリシャゲオルギオス1世 王妃)オリガ・コンスタンチノヴナ→●
【英国王室とティアラ】ヴィクトリア女王のエメラルド＆ダイアモンド ティアラ→●