「やればできる」を治療に生かす
こんにちは。橋本です。
今日はステロイド外用薬の上手な使いかた、手離しかたについてのお話です。
人生で時々。あれもこれもうまく回り始める瞬間ってないですか?
たとえ、小さなことでも。
偉そうに人生を語るつもりはないのですが、物事がうまくいく。そういうのって、原因はなんなんでしょうね。
もちろん運や流れ。たまたまってこと。努力のおかげ。
それぞれ理由はあると思うんですけど。
物事がうまく進みだす原動力のひとつに「自己効力感が高まる」っていうのがあります。
いったい何が高まるんでしょうか?
たとえば。
「自己効力感が高まる」パターン:
料理が嫌いだけど、しかたなく離乳食を作ってみた。
↓
意外にも息子がパクパク食べてくれた。
↓
調理法を工夫してあげると、食べたとき机をパンパンたたいて喜んでくれた。
↓
うれしくなって、離乳食を工夫して作り続けた。
↓
いつの間にか料理マニアになっていた。
単純化すると、こういう流れが「自己効力感が高まる」状態です。
近い意味でいうと、「自信がつく」。
「自分でもできている」という感覚が、次の「やる気」につながる状態です。
逆に。
「自己効力感が下がる」パターン:
「君ならできる」といわれたのに、できなかった。
何度やっても、できない。できるような気がしない。
これが、「自己効力感が下がる」パターンです。
「自己効力感」というのは、わかりやすくいえば、自信とか達成感を感じて、「やってやろうじゃん」っていう気持ちになること。
自己。自分に対する信頼、とか「自分てできるじゃん」という感覚。
とくに、人間と言うのは、自分の力で外見が変わると「自己効力感」が高まりやすいんですね。
たとえば、筋トレで男らしくなった。ダイエットをしたら、きれいにやせた。
そうすると、いろんなことにより真剣に取り組むようになる。
自分の行動によって外見が変わると、自己効力感が高まるわけです。
アトピーの症状。湿疹。
とくに苔癬化しているときは、肌がすべすべに戻るまで、ステロイド外用薬を1~2週間ほど塗り続けます。
かゆみがなくなるまで。
症状にあわせた強さのステロイド外用薬を塗ると、短期間でびっくりするぐらい肌が変わります。
この効果を、こどもの「自己効力感」につなげてあげるのです。
ステロイド外用薬を使うのなら、ただ単に使うのはもったいない。
こどもに、「ほら、君ががんばって塗ったから、こんなに肌がきれいになったんだよ、かゆみもないでしょ」というのを伝えてあげるんですね。
「自分がまじめに塗ってよくなった」という成功体験を実感することが大事。
成功体験からうまれる感情が、自己効力感です。
湿疹。今までどうにもならなかったけど、ボクがやればできるじゃん、と。
「これからもサボらずに、お風呂と保湿剤を続ければ、かゆいのも湿疹もないからね」
同じセリフをいっても、自己効力感があるか、ないかで、こどもの受け取り方が違ってきます。
短期間で劇的な効果が出やすいステロイド外用薬を、こどもの自信につなぐ。
そして、その後のお風呂、保湿剤など継続が必要なスキンケアまでモチベーションをつなごう、というわけです。
大きな再発を出さないように、継続的なスキンケアを、そっと支えてあげてくださいね。
ただ注意してほしいのは、簡単に再発すれば、自己効力感は逆効果になってしまうこと。
ステロイド外用薬の炎症をおさえる効果を、うまく自己効力感につなげていけば、大きなぶり返しを防ぐスキンケアも真剣に取り組むようになります。
そこは、お医者さんと相談しながら、ママの管理が必要です。
自己効力感とは、「ボクがやれば、できるじゃん」という感覚。
ステロイド外用薬は、こどもの「自己効力感」が高まる使いかた。工夫をしてくださいね。