「最上君、新しいドラマの話が来てるよ。準主役でまた結構重要な役どころらしいよ。」
「ホントですか！」
仕事の話と呼び出された事務所のタレント部で、椹から良いニュースがもたらされた。
「ナツみたいなクラスのリーダー的な感じでやって欲しいらしい。詳細はこの資料見て。」
「はい。」
資料を受け取り読む。
『引っ込み思案の主人公サナエ、その幼馴で対照的に快活で積極的なヨーコ。ヨーコの彼氏のコージ。
ヨーコに紹介されたサナエとコージはダメだと思いつつも惹かれあってしまう。
それぞれ傷つき合いながらも成長していき、ヨーコは最後は身を引き、二人は結ばれる。』
「恋愛もの、なんですか…？」
「そう、君の役はヨーコ。」
「この関係からするとやっぱりいじめ役でしょうか…」
「それに関しても監督から直接聞いてみるといい。」
「はい？…直接？」
「監督が役柄について直接説明したいらしくてな、あと30分くらいで来るから。
話を聞いてオファー受けるか決めて欲しいそうだ。」
監督が直接説明だなんて、一体何を説明されるんだろう？
また期待するいじめ役について熱く語られるのかしら。
それに、話を聞いてからオファーの受否を決めるだなんて、何か特殊なことをやらされる役なのかしら。
いずれにしても余り良い予感はしないなぁ。
不安が顔に出ていたのか、椹は同伴を買って出てくれた。
「君はまだマネージャーついてないから俺が付き添うよ。
第三会議室取ってあるから、そこで待ってて。」
「はあ…、分かりました。」
「あ、言い忘れてたけどキスシーンも有るって話だから、それも考えて決めなさい。」
「はい！って、ええー!!」