死ぬことが、より現実となり表すこと | 夢は、世界中の再非行を減らし、笑顔を増やすこと

夢は、世界中の再非行を減らし、笑顔を増やすこと

僕は、情けないことですが、再非行を増やし、笑顔を減らしてきた、元非行少年
今の夢は、世界中の再非行を減らし、笑顔を増やすこと
自分と未来は変えられる
でも、一人では変えられない

広島出身のジャーナリストである堀川恵子さんが著した
「教誨師」
という本を、たった今、読了した。

本の読了には、ものすごく神経とエネルギーを使った。
本の量がどうこうではなく、内容に対して。

拘置所の教誨師をしていた渡邉普相さんに対して、堀川さんがインタビューを重ねて作られた作品。
渡邉さんは死刑判決を受け、死刑の執行待ちをしている人に対して、教誨をされていた。
渡邉さんは自分が死ぬまで、インタビューの内容は世に出さないでほしいと、強く堀川さんに伝えていた。
今、渡邉さんは生きてはいない。

読みながら感じたことは、最初は浅いものばかりだった。

教誨師は刑務所で教誨をされている人が多く、渡邉さんのように拘置所で死刑囚に対して教誨をしている人は少ない筈なのに、そのことを本の中で一言も触れず、「教誨師」というタイトルの本にしていること事態に、斜めな感情を抱きながら読んでいた。
僕は日頃から、殺人事件を起こした少年と、窃盗事件を起こした少年に対して、反応が特別に大きく違う人に対して心の中で斜に構えている部分を持っているので、今回も同様な気持ちが拭えなかった。

読み進めている内に、タイトルに気持ちを左右されている自分を恥じ入りながら、全身の神経とエネルギーをこの本に向けていた。

死刑囚には身分帳というものがあり、身分帳には、事件のことから、生い立ちまで、死刑囚の人に関するさまざまな情報が書かれているそうです。

渡邉さんは数十年と教誨師をされて、多くの死刑囚の人たちの教誨をされている。
その過程の中で
①初めの頃は死刑囚の人と会う前には身分帳に目を通していた。
②死刑執行に立ち会うようになってからは、死刑囚の人を知りすぎることと死刑執行立ち会いの苦しさが比例することから、身分帳を読まなくなった。でも身分帳を読まないことに引け目も感じていた。
③最後の方は、身分帳に目を通さずとも、それでいいのだと、とても自然な心境に至ったとのこと。

この過程の中で出会う死刑囚の人たちとのエピソードが、本には描かれている。
この本を読んでいただけると、①②③と変化していくことに、多少なりとも触れることができると思う。

「真面目な人間に教誨師は務まりません。突き詰めて考えておったら、自分自身がおかしゅうなります」
と渡邉さんがおっしゃっていたそうですが、渡邉さんは教誨師をやりながら、アルコール依存症となり、精神病院に入院した経験を持っている。
僕がこの本の中で特に印象深く感じた部分は、教誨の中で死刑囚の人に、自分がアルコール中毒であることを打ち明け、死刑囚の人からアドバイスを受けることもあるようになり、そこから死刑囚の人との関係性の壁が薄くなったところ。

この本の読了は精神的に本当にしんどかったけど、最後に記載されていた渡邉さんの言葉に、光をもらえたので紹介します。

「犯罪というのは、被害者の家庭も崩す、自分(加害者)の家庭も崩す、いいことなんか何もない、ええ。本人が執行されても、幸せになった人間は、誰一人もいません。誰も幸せになっていない。だから、そういう犯罪を防ぐ、減らす運動を、本当は考えないといけない。それが、今の私の考えですよ」

僕は、この本を読んでいて、本当にさまざまなことが分からなくなってきていた。
でも、渡邉さんの最後の言葉に救われた。
渡邉さんの言葉は僕がいつも思っていることであるし、やっぱり僕は誰にとっても苦しみしか生み出さない、再非行を一件でも減らし、笑顔を増やしたい!
このミッションに心血を注いでいくことが僕の生き方であることを、改めて自分に刻ませてもらえたから。

最後に
この本を僕に推奨してくださった中江有里さんと、この本を著した堀川恵子さんと、教誨師であった渡邉普相さんに心から御礼申し上げます。