お恥ずかしい事で | 荒井修のブログ

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朝から今年初めて夏扇を本格的に並べ、三社祭のうちわを並べ、ゴールデンウィーク初日に備えた飾り付けに忙しかった。

とはいえ人手は多くともここのところの景気の悪さはそう簡単に財布の紐を緩ませてはくれなかった。

しかし私は、いよいよ団扇や扇子の季節だという意気込みに、自然と体が動いていた。

そして2時を回った頃、仲見世店の古いお客様から、明日のおさらいに使用する扇子2本がまだ届かないと言う電話が入ったそうだ。

郵送では間に合わないので届ける事にしたから閉店後に持って行ってくれとかみさんがそのお客様の住所を書いたメモを持って来た。

私はその住所を良く見もせず「わかった、届けに行ってくるよ」と言った。

そして営業時間の6時が過ぎ私は車を出すことにした。

そしてその住所をカーナビに入れる時、メモを見ると武蔵村山と書かれていた。

武蔵村山と言うと八王子の先の昭島の先である。

カーナビの到着予想時間も2時間ほどになっていた。

私は行けども行けども目的地を表すチェッカーフラッグのマークが出ず、運転しながら、「こんな所まで配達だなんて冗談じゃないよ」という気持ちになった。しかし尚も運転し続けるとお客様であるそのお得意様の顔が眼に浮かんだ。

あのお年になってこんな遠いい所から私の店に通い続けていただいているお客様に、ほんの一瞬とは言え何と言う失礼な事を考えたのだろう。

私はその申し訳なさに、お客様の家に着いたら、ご注文書の不備とこんなに遅くなった事を先ずお詫びしなくては、お客様にだけではなく、そのお客様に喜んでいただいてきた私の母親にも申し訳ないと思った。

幸いお客様のお宅に着くと、「お茶でもいかが」と言われ「いえ、もう遅いですから失礼します。本当に遅くなって申し訳ありませんでした。私どもの連絡の不備でご迷惑をおかけしました」と詫びると、「遠くて大変だってでしょ。ここから駅までだけでも20分かかるんですよ、こんな遠いい所から通っていたんです」とにこやかに言ってくれた。

私は危なくそんなお客様に失礼な態度を取ってしまうところであった。

いい年をしてお恥ずかしい事だが、自戒のためにブログに書いた。