屍者の帝国 | Mix Fruit Strategy

Mix Fruit Strategy

日々の徒然と、遊んでいるゲームや深夜アニメの短い感想など記載予定。
書きたいことを適当に書いてます。気に入ったらまた来てください。
スパム行為が多いのでコメントは認証後に公開となります。



人は死ぬと21g軽くなる。魂の重さは21g。

その21gを求めるワトソンの旅路の果てに待つものは…。




原作は病床で16ページ書いたところで絶筆。

34歳で他界した伊藤計劃が残したプロットを元に

円城搭が仕上げた合作です。


かくいう私は16ページの絶筆した所までしか読んでいないので

ワトソンとMが対面した所までしか知りません。



伊藤計劃って誰?

という人が多いと思います。

SFマガジンを愛読している私のような人にとっては

伊藤計劃の残した16ページというのがスペシャルなわけです。

アニメ化の情報が出て名前だけ知った人も少しはいるでしょうか?

私の知るところでは、

メタルギアというゲームの監督をしている小島氏の大ファンで、

病気をきっかけに創作活動を開始して

メタルギア4のノベライズを含む長編3作と4作目の「屍者の帝国」執筆中に他界したのですね。

恐らく自分の命のリミットが長くない事を感じていたのか、

命に関する考え方が身につまされます。



まず序盤ですが、

伊藤計劃の残した16ページをほぼ使わないオリジナルの展開で驚いた。

いきなり死体をフランケン化させる微グロなシーンで、、

グロ耐性の低い私は目を背けたくなりましたが(笑)



世界観の説明をすると、

19世紀末(日本でいえば明治時代中頃)に

死体から屍者(フランケンシュタインの怪物)を作る技術が確立されて

単純労働や兵士は屍者が代用されている世界。

近未来でロボットがしている事を近世でゾンビがしている世界。

ゆえに戦争は指揮官以外は屍者同士が行うゲームのような感じな世界の話。


魂を持たない屍に紛い物の魂をタイプライターのような物でインストールすることで

屍者として蘇生させるわけですが

屍者の中でヴィクター・フラケンシュタインが100年前に作られたザ・ワンだけが意思を持ち、

そのヴィクターの残した手記に屍者に魂を得る為の方法が記されているとされているので、

親友を屍者にしたワトソンが魂の在り処を求めて世界中をめぐる股旅モノという側面もあります。


アニメ映画の見所でもあるチェイスシーンは、

車ではなく馬車によるチェイスで爆発シーンもあって迫力ありました。


日本にも立ち寄るのですが、

その際に笑ってしまった所があって、

心の中で「どこのストライクウィッチーズやねん!」

とツッコミ入れたくなったのは私だけではあるまいて(笑)


ヴィクターの手記を手にしたワトソンの行動の結果や

エンドロール後にまさかの展開があるので、

映画は最後まで見ましょう。


難点というか気になったのは、

画面から屍者に臭いを感じない所でしょうか?

屍というからには臭さが感じられてもいいのに、

清潔感のある屍っていうのはリアリティが無いと思いました。


スチームパンク、ゾンビ、パンデミック、ディストピア…

色々なものを盛り込んでいるので、

見れば楽しめる人も多いと思います。



10月2日からの公開で3日の夕方の回を見に行きましたが、

公開2日目にして空席の目立つ劇場でした。

知名度が低いだけで、

内容は某・麦藁帽子の海賊団の話に負けていません。

円盤化された後やテレビ放送された後に

「劇場の大画面で見れば良かった!」

と後悔しても遅いので、

時間とチケット代を払える余裕がある人は、

騙されたと思って映画館に見にいくと良いでしょう。