モルトの酵素の活性・不活性をめぐるプチ論争(#^.^#)楽しんでマニアな内容を読んでみてください。


私が知りえる範囲のモルト情報について簡単にお知らせいたします。

パン屋さんは「モルトパウダー」より「モルトシロップ」を使っていると思いま
す。(私が知りえる、日本の「美味しいハード系」を作るパン屋はほとんどモル
トシロップです)。
扱い良いし、活性も良いので使うのだと思います。
ハード系をよく作り、こだわりたいのであれば「モルトシロップ」を使ってみて
はいかがでしょうか。
1:1で水に溶かして考えると0.6%~0.8%前後で使用するのが使いやすい
分量だと思います。


私が使っているのは「エデンモルト」(下記に写真画像あり)
寿物産というところが扱っているアメリカ産のものです。


モルトと言って一番有名で汎用されているのはイタリア産の2番目に乗せた
ディアマテルリアのものだと思います。コルドンブルーでも使っているのはこれでした。
最後にオリエンタル酵母(日本の企業)のものも載せておきました。
ご参考にいただけると嬉しいです。

日本のモルトパウダーは使いやすようにビタミン類や乳化剤等もかなり添加され
ています。モルトとしての酵素活性を重視するのであればモルトシロップの方が
分かりやすいかもしれません。

エデンモルト 560g
976円
有機栽培の大麦を原料に作られた、麦芽シロップです。
保湿性が高く、つやがあって年度が高く、
結晶化しないので飴や製菓にも使えます。
また、パン生地に配合することで酵母の活性を助けます。


ディアマルテリア 512311
ユーロモルト
荷 姿:25kg、5kg×4
原産国:イタリア
特 徴:製品の色や風味を良くする。
フランスパンの発酵補助や香り付けに最適。
使用目安は小麦粉100%に対して約0.3%。


オリエンタル 510653
モルトエースNB
荷 姿:5kg×4
原産国:カナダ、イギリス
特 徴:まろやかで調和の取れた風味
を付与し、使用製品の品質がグレードアップする。ベーカリー製品では、含
有する糖類とアミノ酸等が魅力的な表皮色に改善し、嗜好性を向上させる。


           エデンモルト 560g             


G様より教えていただいたモルトのジアスターゼについて分かり易いサイトです。

http://www.wisegeek.org/what-is-malt-powder.htm


そして分かり易く解説してくださった文面が↓こちら。


モルトエキスにはdiastaticのものとnon diastaticのものの2種類あって、
diastaticのモルトエキスは、「糖化性のある」モルトエキスという意味です。
non diastaticのモルトエキスは、「糖化性のない」モルトエキスという意味です。
酵素が生きていないとでんぷんを糖化させることはできないので、
「diastaticのモルトエキス」は、「酵素の生きているモルトエキス」、
「non diastaticのモルトエキス」は、「酵素の死んでいるモルトエキス」ということになります。
高温でも生き残ることのできる植物酵素の入っているモルトエキスは、
酵素が生きているのでnon diastaticではなくdiastaticのモルトエキスに分類されます。

また、モルトエキスには、シロップ状のものと粉末のものがありますが、
シロップ状のものがdiastaticで、粉末のものがnon diastaticというわけではなく、
シロップ状のものにも、diastaticのものもあれば、non diastaticのものもあり、
粉末状のものにも、diastaticのものもあれば、non diastaticのものもあります。
先生が愛用されているエデンモルトは、シロップ状のnon diastaticのモルトエキスです。
ユーロモルトの方は、ネットサーフをするかぎり、
non diastaticであるとの記述は見当たらなかったのですが、
褐色をしているシロップ状のものは熱処理により酵素は死滅しているnon diastaticである
との記述から、ユーロモルトもnon diastaticのモルトエキスだと思われます。

シロップにしろ粉末にしろnon diastaticのモルトエキスには酵素は含まれていないので、
でんぷんを糖に変える力はありませんが、
パンに焼き色をつけたり、モルトの風味を加えたりする働きはあります。
実際に、diastaticとnon diastaticのモルトエキスで
パンを焼き比べたことのある人がネットに書き込んでいる意見によると、
non diastaticのモルトエキスの方が色づきも味も香りもよいということでした。
こういった理由から、日本でもnon diastaticのモルトエキスが使われているものと思われます。



でも、ではなぜ日本のパン屋さん(コルドンブルーでも)は不活性と言われるモルトを使うのか???


私は明らかにモルトを入れると糖化していると感じます!!!


だから不思議でした。


ZOPFの伊原シェフに相談してみました。

パン技研の方がお調べくださって以下のメールを返答頂きました。


今まで、粉末麦芽(会社名不確定)、ユーロモルト(日仏)、ディアマルト(鳥越) 、モルトエース(オリエンタル酵母)について、中種生地配合に適量配合して、損傷澱粉の分解が進み、麦芽糖発酵が持続する事を確認しております。 この発酵の持続性はモルトから持ち込まれる麦芽糖よりも優位に発酵を持続させておりますので、αアミラーゼ活性は残存しております。ところで、その資料にはアミラーゼ活性を直接分析した活性の数値が書かれているのでしょうか? 酵素不活性について事実では無いと思います。

やっぱり活性はしていると考えてよいみたいです。

伊原シェフも「実際に使っていれば分かるよね♪」


本当にお忙しい中、お調べくださったパン技術研究所の先生、そして伊原シェフ、本当にありがとうございました。

横浜 ハード系(バゲット・カンパーニュ)自家製酵母のパン教室Aruch~アルーチ~製パン理論とコツを伝授