PCX用の調整式カムスプロケットを作ってみよう! ~バルブタイミング調整編~ | 建具屋とPCXスクーターの日記

建具屋とPCXスクーターの日記

山口県の建具屋の従業員です^^
ホンダの125ccのPCXスクーターに乗っています。

当ブログはリンクフリーです。リンクのご報告をして頂く必要はありません・・・が、コメント欄にて教えて戴けるとうれしいですヾ(@°▽°@)ノ


建具屋とPCXスクーターの日記


前回はココ で製作した調整式カムスプロケットを組み込みました。今回は組み込んだ調整式カムスプロケットでのバルブタイミング調整を紹介しますヾ(@°▽°@)ノ


基本的には藤沢公男先生著の『バルブタイミング』という本から得た知識を使って調整しています☆


今回のカスタムは調整を間違えるとピストンとバルブがぶつかってエンジンブローする危険性があります。参考にするにしてもバルブタイミングの知識が無いと大変危険ですのでまずはエンジン本等で勉強して、詳しくなった後で自己責任でお願いしますです☆




・・・とその前に、何故バルブタイミングの調整するの?なのですが、調整するとエンジンの吸気や排気のタイミングが変わり、エンジンがパワーアップしたりパワーダウンします。それが高回転域で起こったり低回転域で起こったりなのですが、それを調整により色々コントロールしてみよう!基本的にはパワーアップさせるためにバルブタイミングを調整してみようって感じなんです(・∀・)


建具屋とPCXスクーターの日記


まずは進角するにしてもどこまでが安全なのか?を知らなければいけません。

基本的にはバルブとピストンの1番近づいた状態での隙間が1ミリ以上あれば安全だと言われていますが、進角するとこの隙間寸法が変化しちゃうんです。もちろんエンジンのヘッドを外した事のないアーツには現在のエンジン仕様で隙間が何ミリあるのか?は知らないのですが、わかたくさんとこの『PCXエンジンの諸元測定(バルブリセス部)』 に書かれてあった吸気1.8ミリ排気1.3ミリを参考にさせて頂きました☆

わかたくさん、このデータが無かったら今回のカスタムは安全には出来ていませんでした。無断リンク&データ頂いちゃってすみません、超感謝でありますо(ж>▽<)y ☆





建具屋とPCXスクーターの日記


次に、何度付近が一番バルブとピストンが近づくのか?を知らないといけません。

↑図はカムプロフィール図の360°付近の画像で、青線が吸気バルブ赤線が排気バルブのリフト量を表示しています(横線は1目盛り1ミリです)。ピストン上死点である360度付近は吸排気バルブが開いているオーバーラップ状態なのですが、バルブが約2ミリ突き出しているのが解るかと思います。


この辺がおそらくピストンとバルブが近づく状態・・・つまりわかたくさんの『ピストンとの隙間』のデータの吸気バルブ1.8ミリ排気バルブ1.3ミリの状態が作られる場所なのでは?って思ったんですね。


思ったんですと言うのは・・・この辺、この間読んだ藤沢公男先生著の『バルブタイミング』に説明が載ってなかったんです。なのでアーツがこの図から勝手に予測してみたってだけなので、間違えていたらアーツの間違いです、というのを藤沢公男先生の名誉のため、一応書いておきますです(;^_^A・・・


この付近は吸気バルブは開きつつあって排気バルブは閉じつつある、もしアーツの予測が違っていても360度前後付近ではあるだろうし、360度付近はバルブの動きがほぼ一定なので問題ない、ということで、せっかく調整式カムスプロケットを作ったわけだし、進角調整をしてみる事にしました☆




建具屋とPCXスクーターの日記


次、またまた↑図の画像の特に吸気バルブをよーく見てみてください。360度、突き出し量が約2ミリの状態でピストンとの隙間が1.8ミリあるのなら・・・カムシャフトをもうクランク軸7度くらいなら進角しても隙間1ミリが確保できるんで大丈夫っぽいですし、排気バルブは更に閉じていてくれるんで大丈夫っぽいです。だがしかしアーツは慎重な男!という訳で、安全にクランク軸的に3.5度だけ進角してみる事にしました。


あと、クルマでいうところのエンジンチューニングされているNA仕様のラリーカーのバルブタイミングがこれに近いってのも理由になります。(ちなみに武川スポーツカムシャフのト標準バルブタイミングはチューニングレースカーっぽいバルブタイミングでした。オーバーラップは多少いみたいですが)






建具屋とPCXスクーターの日記


次、↑図は前々回にブログで書いた、バルブタイミング図の吸排気中心角のみを書いた図です。こうしてみると、上死点がら左右にそれぞれ約106度行ったところに吸排気中心角があるのがわかるかと思います。


つまり3.5度進角させたいのなら排気中心角109.5度に合わせればいいって事なんですね☆

PCXはシングルカムなので、吸気中心角は自動的に102.5度になりますよ~(´0ノ`*)







建具屋とPCXスクーターの日記

建具屋とPCXスクーターの日記


更に作業効率を良くする為、前に作った全円分度器の上にクーリングファンを切り欠き部分を0度に合わせて重ねて、上死点から中心に90~130度(武カムだとこれくらいしか目盛りは必要ないです)くらいの目盛りを5度ピッチくらいでカッターで写して、マジックで角度を書きまして・・・


クーリングファン分度器を作ってみる!





建具屋とPCXスクーターの日記
建具屋とPCXスクーターの日記

これはエンジン本のクルマ用アイデアを頂いてPCX用に作り変えてみたものなんです。


ハイ、こうやってクーリングファンに目盛りを刻んだモノを死点合わせマークに排気中心角を合わせて調整することにしましたヾ(@°▽°@)ノこの方法ならいちいち全円分度器をセットしたりピストン上死点を出す作業が今後省けるので大変便利であります☆


PCXのラジエター横についている死点合わせマーク、ここ最近でのバルブタイミング測定でわかったのですが完全に正確でした(クーリングファン切り欠きの中心でした)。信用してもいいと思います。





建具屋とPCXスクーターの日記

あとはカムシャフト横にあるスリットにシックネスゲージの厚いゲージを差し込んで合わせたい角度に排気中心角を合わせて、2本のボルトで固定するって感じで~す(・∀・)

PCXはシングルカムなので吸排気バルブタイミングが同時に動きます。なので排気中心角だけをあわせたので十分だとも思います☆


この2本ぼボルト、締め付けトルク8N・mなのですが、一応ズレ防止のために9N・mで締め付けておきました・・・


バルブタイミング調整が終わったら一応クランク回してスムーズに回るかを確認して、PCXを再度組み立ててハイ完成☆といった調整になりま~す☆もちろん問題ナッシングでエンジンの性格も変わりましたしたо(ж>▽<)y ☆!!!!




~バルブタイミング進角調整後の感想~


まずアイドリング音が変化しました。いつもの感じでゆっくり発進しようとするとパワー上がってるんでちょっとギクシャクしますがすぐに馴れました。8000回転以下がパワーアップ、8000回転以上がパワーダウンでした。レスポンス良いんでスロットル全開ならスパッとパワーバンド域8000回転に入りますがそのパワーバント域が調整前と比べてパワーダウンなんです(;^_^A


街乗りなら再加速が早くて便利だとは思うのですが・・・使えなくは無いとも思うのですが、どちらかというとアーツ的には武カムの標準のバルブタイミングが好みですね~・・・というのが進角の感想です。


一応、ヘッドorシリンダー研削でバルブタイミングが遅角する予定なので、再調整用に使う事になるのだと思います。いまのところアーツは遅角するって信じきっちゃっているんで、今回のカスタムは無駄では無いと思ってはいます・・・タブン(>_<)!





建具屋とPCXスクーターの日記

2012年12月の終わりごろにこの『バルブタイミング』という本を買ってみました。そのときは季節的に寒くてPCXカスタムやりたくなかったんで(^▽^;)・・・アパートの中でエンジン本でも読んで脳内カスタム!とかナントカ軽い気持ちで買ったのですが、ご覧のとおり結局PCX計測カスタムをしたっていう経緯があります。アーツもこれ1冊しかエンジン本買ったことないしクルマ向きなエンジン本だし難しいし2100円もするし、おすすめしていいのか?は解りませんが(もっといい本があるのかもしれませんケド)バルブタイミング計測を学ぶのならこの本をおすすめしておきます。計測はけっこう難しいけど、バルブタイミングの仕組みはそんなに難しくはない・・・気がするので☆


最近わかりにくいブログばかりですみません^^;以上です(`・ω・´)ゞ

にほんブログ村 バイクブログ 原付2種・ミドルクラスへ
にほんブログ村


お ま け





建具屋とPCXスクーターの日記


↑PCX純正のバルブタイミング図も載せておきますね('-^*)/

サービスマニュアルに書かれていたデータから作りました。サービスマニュアルでは1ミリリフト時のバルブタイミングで書かれているので、実際にはもっと作用角やオーバーラップが広いのだと思います。


・・・なんか中心角がとても武川スポーツカムシャフトに似ていますね(^▽^;)・・・


以上です☆