裁判官との面接から免責の許可(復権)について | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ


裁判官との面接から免責の許可(復権)について

ここでは自己破産の申立て後の裁判官との面接(審尋)を中心に、申立後の裁判所での手続き(破産の審尋、破産手続き開始決定、免責の審尋、免責許可決定・復権)について同時廃止事件(自分名義の土地や建物など、めぼしい財産を持っていない方がとるべき自己破産手続きのこと)の場合を例として詳細に解説していくことにいたします。これで自己破産に関するすべての手続きは終わりになります。


[1] 破産審尋(1回目の面接)について

 自己破産の申立てが受理された後、裁判官と2回、裁判所によっては1回の面接(審尋)が行われます。その裁判官との面接は、申立後に裁判所から1~2ヶ月後くらいに審尋期日(面接日)を指定されます(裁判所によっては自己破産申立のときに審尋期日(面接の日)を決めてくれる場合もあります)。破産審尋(1回目の面接)では、裁判官から支払い不能の状態に陥った理由や状況などについての質問を口頭で受けることになります。質問の内容は、すでに提出してある自己破産申立書や陳述書などからです。自己破産申立書、陳述書の記載内容がしっかりしていれば、ほとんど質問されることはなく問題になることはないでしょう。自己破産申立書や陳述書の作成や審尋(面接)に不安がある場合は、事前に司法書士などの専門家に相談してから手続きを進めたほうがいいでしょう。



[2] 破産の決定・同時廃止の決定から破産の確定まで

 破産審尋(1回目の面接)の終了後、申立人が支払い不能の状態であると裁判官に判断されていれば、破産手続き開始決定と同時廃止の決定がなされます。その後、破産者は官報で公告され、2週間経過ののちに申立人の破産が確定することになります。



[3] 免責の審尋(2回目の面接)について

 破産が確定して、しばらくすると裁判所から免責審尋期日(2回目の面接の日)の連絡が入ります。免責審尋期日(2回目の面接の日)は地方裁判所によっても違いますが、破産が確定してから、だいたい1~2ヶ月後くらいに指定されることが多いようです。なお、免責の審尋の日は債権者にも通知され、債権者から異議申立てをする機会が与えられます。免責の審尋では裁判官から免責不許可事由の有無などについての質問を口頭で受けることになりますが、免責不許可事由がない場合には住所、氏名、生年月日などを聞かれる程度です。自己破産を申立てる裁判所によっては破産審尋(1回目の面接)と免責審尋(2回目の面接)を併せて一緒にするという取扱いをしている裁判所も多くなっています。



[4] 免責の決定から免責の確定(復権)まで

 免責審尋(2回目の面接)の終了後、債権者から異議申立てなどがなければ、免責許可決定がなされます。その後、官報に公告され、債権者などから2週間以内に抗告がなければ、免責が確定(復権)します。ここで初めて税金や慰謝料などの一部の債務の支払い義務を除き、借金が帳消しになり、ローンやクレジットを利用できない点を除き、自己破産申立以前の状態に戻ることになります。以下が免責許可(復権)の効果です。
借金が帳消しになります。
市区町村役場の破産者名簿から抹消されます。
破産手続き開始決定後に得た財産は自由財産といって、貯金もできますし、保険にも入ることができます。


公法上の資格制限から開放されます。弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などの資格所有者は業務を再開できます。
保険外交員(保険料を集金する仕事です。保険営業職ではありません)、警備員などの一定の職業に再び就けるようになります。
私法上の資格制限から開放されます。後見人、保証人、遺言執行者などになることができます。合名会社、合資会社の社員および株式会社の取締役、監査役になることができます。
7年ぐらいはローンやクレジットなどが利用できない可能性があります。
 ここまでくればローンやクレジットが利用できなくなることを除き申立て以前の状態に戻ることになります。これで自己破産のすべての手続きは終了です。