~❤️side~
此処は現在2021年。
話を聞くとやはり二十歳そこそこの雅紀は2003年からやって来たようで。
このまま戻れないの?不安です、って顔にデカデカと表して涙目で訴えている。
くそー!!
今の雅紀ならそのまま抱き締めて安心させてやれるんだけど、あの時の、二十歳そこそこの俺らはまだこういう関係でもないし、そんな事したら唯一頼りの俺がビビらせるだけだし。
なにせ、この雅紀はまだ【くん】呼びだもんな、切ねぇ。
「大丈夫だから、相葉ちゃんの返れる方法探そう。な!?」
頭をそっと撫でてやれば、
『·····ふふっ、しょーくんがそう言うなら大丈夫だよね!ちょうど昨日のレッスンもしょーくんとコソ練してたんだよ。』
上目で潤んだ瞳と八重歯を見せながらニコニコと笑顔が戻ってきた。
くーーっ!!可愛い過ぎるだろっ!
あの時の俺、よく堪えてたな!自分で讃えたいわ、ホント。
そう言えば、あの頃は大学通いながらの日々だったから、皆に遅れないように夜な夜なレッスンしてた時に雅紀も一人で踊ってるのを見かけて声をかけたんだっけ。
あれから【くん】呼びが【ちゃん】呼びに、俺も呼び捨てに変わっていったんだよな。
ん?
あっちの雅紀が此処に居るって事は、俺の雅紀も向こうにいるのか?
だとしたら、タイムリープ的な?
きっかけは何だ?
こっちの雅紀と一緒にいた時何してたってけ?って、ナニなんだけど···なんて考えを馳せながら、そんな事をこんな可愛い本人に言える筈もなく聞いてみる。
「なぁ、雅紀がこっちに来る前、何かなかったか?」
『···········』
なかなか返事が返ってこないし、どうしたんだ?と雅紀を見ると顔や首筋まで真っ赤にして俯いてる雅紀。
「え?体調悪かった?!熱か!少し休むか?」
『····や、大丈夫、です。ここに来る前は、特に、なんも、してない、です。』
「じゃぁ、なんでそんな真っ赤に···」
『だ、だって、櫻井くん、オレの事、ま、雅紀って···////····今日やっとしょーくんが雅紀って呼んでくれたと思ったのに、こっちのしょーくんもまだ雅紀って呼んでくれてるの??』
チラチラっと恥ずかしそうにこちらを見てくる雅紀。
がはーーーーっ!!!
な、なんなんだ!
この可愛い生き物は!!
いつもの癖で名前で呼んだだけなのに、この新鮮な反応!
若雅紀相手にこの短時間で翻弄されてる俺、しっかりしろ!!
···そうだった、コイツはそういうヤツだった。
皆といる時は天真爛漫相葉雅紀なんだけど、二人きりになると急に纏う雰囲気を変えてくるだよ、本人に自覚はないんだろうけど。
なぁ、向こうの俺大丈夫か??