君を守るチカラ ( 次世代編)  ~ Switch 3nd シーズン ~  第3話 | a guardian angel

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スキビ好きな私が無謀にも始めてしまった…

二次創作・ネタバレ・つぶやきを含む妄想ブログです。

当然のことながら、作者さま・出版社さま等とは一切無関係です。


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これは僕が産まれたとき…おじさんがくれた…モルダバイトの原石。

母さんがペンダントトップに加工してくれたものを…僕は肌身離さず身につけている。

この石は 遥かなる時を超えて宇宙からやってきた隕石の一種で…

モルダウ川付近で最初に発見されたからモルダバイトと呼ばれている…深い緑色をした石。この石には秘められたパワーがあって…母さんが大事にしているアイオライトと同じパワーストーンというものらしい。

でも、この石に秘められていたのは…それだけじゃなかった。


(Side レイノ)


キョーコが突然の活動休止宣言をして半年が過ぎた。

語学留学なんてもっともらしい理由をつけて日本を去ったが…時同じくしてあの男…敦賀蓮もハリウッド進出で日本を発った…。

キョーコを手に入れたあの男…相手がアイツじゃなければ…。

未だにキョーコ以上に俺の興味を引く女には出逢っていない。

あの…人並み外れた魂と荘厳なオーラ…

あの男に磨かれて、きれいになっていくキョーコに…誰もが魅了されていく…。

俺のみる目は確かだったと彼女の復帰を望む声が証明してる。

キョーコも敦賀蓮も去った日本で…もう一人の男…

アイツも世界へと拠点を移すことにしたようだ。

キョーコへの想いを抱えていたアイツが作る曲は…切ない歌が多かった。

そんな歌に共感してしまう俺も…末期だなと自嘲気味に笑う。

もうそろそろ潮時か…

ミロクには申し訳ないが…今回の曲を最後に俺は芸能界を去ろうと考えている。

いろんな人間の欲望が渦巻くあの世界に身を置いていると…

見たくもないものまで見てしまうことが多くて…俺は正直ひどく疲れていた。


レコーディングを終え、プロモ撮影の為に訪れたロスで…

初日の今日は仲間とハリウッドへ観光に来ていた。

本格的な撮影は明日から…さして興味のない俺は…

はしゃぐタスクとキヨラをみながら…一番後ろでガラスに映るテレビニュースをぼんやりと眺めていた。

テレビには緊急ニュースが流れていて…レポーターが大型スーパーの前で報道をしている。

現状を伝えていると大きな爆発音とともに人が流れ出てきた映像がアップで映る。

俺はそんな中に忘れられない女の姿を見つける。


あれは…キョーコだ!!

が…その姿は俺の知っていた姿じゃなかった。


臨月を迎えた大きなお腹…キョーコの妊娠を知った瞬間、自分を襲った感情…

こんなにもショックを受けるなんて…

俺は…自分で思ってたよりも…キョーコのことが好きだったらしい。

そんなキョーコを押し倒して逃げていく人の波…

目を凝らしてその画面を追いかけると…真っ青な顔で腹をさすりながら歩くキョーコが映った。

その瞬間、いやな予感が体に走った。


俺は前を歩くミロクに声を掛け、

「悪い…ちょっと…用事ができた!先に行っててくれ。」

そういうと、返事も待たずに踵を返して道を走り出した。

イヤな予感…今までこの手の予感は外れたことがない。


直感でわかる…このままじゃ、キョーコの命が危ない!!


俺はタクシーを掴まえると、急いでテレビニュースで言ってたスーパーへと向かった。

思ってたよりも…現場までは近く、20分ほどで着くことができた。

タクシーを降りると、警官相手にキョーコの名を叫びながらパニックを起こしている中年の女性が見えた。

どうやらキョーコが見当たらないらしい。俺はその女性に声をかけるとき、さりげなく肩に手を置いた。

キャシーという名のその女性に触れた瞬間…渡米してからのキョーコの映像が頭に流れてきた。

キョーコが嬉しそうにアイツと交わす電話の様子も…

今日は久しぶりにアイツがロスに帰ってくる日らしい。

そんな映像に少なからずショックを受けている自分を感じながら…

時計を見た。あれから30分か…早くキョーコを見つけなくてはっ…。


キャシーという女性は敦賀蓮…がここにいた頃からのお手伝いさんだったらしい。

俺が日本語でキョーコと敦賀蓮の名前を出したことで…逆に冷静さを取り戻したようだった。

突然現れた俺を訝しげに思っているのがその視線からありありとわかったが、そんなことに構ってはいられない。早く、見つけなければ…

俺は、気を引き締めるとキョーコが倒れた辺りへと歩いていった。

そして、その行動を不審に思った彼女が俺の後を追いかけ…そんな彼女に付き合うように警官もついてきた。

俺はキョーコが倒れた辺りのアスファルトに手を置くと…目を瞑り…そこから残留思念を追いかけた。

イヤな予感は変わらない…だけど、ふとその残留思念の中にキョーコとは異なる波動を感じた。

それが何なのかはっきりとは分からない…

だが、キョーコがいるであろう場所に近づくにつれ…もう一つの波動が大きくなっていく。

となりのシャッターの下ろされた倉庫に近づくと…中から緑色に瞬くオーラを感じた。

それは…キョーコのオーラと同じ場所から…放たれる強い生命力に溢れる光。

シャッターを開けるように指示をすると…半信半疑ながら警察官が店主を呼んできて倉庫を開ける。

暗闇に光が注ぎ込まれた瞬間と同時に、頭の中に流れ込んできた映像・・・


『…会いたい…今度こそ守りたい…見つけたら…離さない!! ミリア!君に会いたいっ!』


強い想い…

その想いの主は…金色に光る髪…深い緑色の瞳…背中には羽もある。

まるでおとぎ話の妖精のような風貌のその男は、瞳の色と同じ緑色の石を手に呪文を唱え始める…

次の瞬間、緑色の眩い閃光にが走り、思わず目を閉じた。


シャッターが完全に開けられて…差し込んだ光がキョーコを照らし出す。

コンテナの隣りでぐったりともたれて気を失っているキョーコ…

その顔にあった死相は少しずつ消えて…蒼かった顔に赤みが差してきた。


さっきまで俺を突き動かしていた焦燥はなくなり、キョーコの顔にほっと安堵する。

しかし、さっきの男は…誰だ?

そんな俺の疑問を掻き消すような悲鳴が背後から轟く。

その声はキャシーのものだった。俺の後ろから覗き込んだキャシーがキョーコの姿をみつけるなり悲鳴を上げたのだ。またパニックを起こしそうになった彼女に俺は英語で…

「大丈夫だ。今は気を失ってるだけだ…ただ、この騒動のショックで…今日中に産まれるぞ。早く病院に連れて行ったほうがいい。」

と伝えると…それを聞いていた警察官が急いで、待機していた救急車に連絡をする。

キャシーが掛かりつけの病院に連絡を入れて…そこへ搬送されることになった。

キャシーは俺に病院名を書いた紙を渡すと、深々とお辞儀をして…キョーコに付き添って行った。

その表情は感謝に溢れていた。

その場に残されるような形になった俺は、とりあえず…ミロク達のところに戻るか…と踵を返そうとした時、目の隅に反射する光を感じた。振り返ってその光の場所をみると…いつか見た…キョーコのあの石が転がっていた。

それを拾い上げると…以前の禍々しさは消え…輝きを増したようにも思えた。

さっきの碧の光…その光が浄化したのか…

あの碧の石…あれはひょっとすると…

俺はキョーコの石をポケットにしまうと、ミロクのところには戻らず専門店へと向かった。

何店舗か巡った中で…一番波動を感じたその原石を購入すると…

渡された紙に書かれた病院へと向かった。


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