借金② | 毒を持つ人

「借金ですか。借金ならわたしにもあるなあ」

「借金があるんですか?」


わたしの側からは、たとえば、乱暴者の子どもを持つ親ごさんが、

「うちの子、全然いうこときかないんですよねえ」

と嘆くのに対して、

「あら、うちの子も同じですよ~」

そう答えるような、リップサービス的なものでした。


あなたと同じですよ、と表面上だけでも

同調することで、互いに親近感をもち、

嘆いているところの相手にも安心してもらおうとする、よくある会話パターンです。

それなのに、モラさんからの返事をきいたとたん、わたしの胸には何故か

「しまった」

そんな、深い悔いがおこりました。

目の前に黒い緞帳がざあっと降りてきたような、不吉で落ちつかない、不安感。

おしゃべりの相手は、それまで三年ものあいだ

わたしと他愛のない雑談を重ねてきた相手でした。

わたしに「友情」を覚えてくれて、毎日のようにメールをくれていた相手でした。

突然の、わたしの不安の正体。

それはなごやかに楽しく続いていたはずの、「親切なモラさん」との

交流のどこかでいつも、ちかちかとまたたいていたはずの、本能の警報では

なかったかと思います。


この人に「情報」を与えると、とんでもないことになる。


どこかで予感していた、その予感がはじめて、身に迫った気がした瞬間でした。


その予感は、実現します。

わたしも、わたしの交友関係も、めちゃくちゃにされていきました。

モラさんは、おそらくボーダーと呼ばれる人格障害にカテゴライズされる女性なのだと

思いますが、その後、6年のながきに渡ってストーカーされるとは。