紀元節と皇紀二六〇〇年奉祝曲 | 過去への旅路~Journey Through The Past~

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静岡市清水区の羊水に抱かれた一区民のひとりごと。

紀元節1

いつもの下町の風景。

紀元節2
何か石碑のようなものが倒れています。

紀元節3 紀元節4
起こしてみると…「紀元節建設」「青年團第六部」「清水第七厂?」と刻まれています。
紀元節とは1872年(明治5年)に明治政府が初代神武天皇即位の日(紀元前660年)を現在の暦に換算し、2月11日を日本の建国とし祝日に定め「紀元節」と名付たものとある。
紀元節は戦後に一旦廃止されたが、昭和41年に祝日法改正により国民の祝日に加えられ、翌年より現在の「建国記念日」として復活している。

太平洋戦争前年の1940(昭和15)年がちょうど皇紀2600年に当たると言う事で、国威高揚と精神統合のための祝賀行事が全国的に行われたそうで、それを記念した石碑の記念碑は全国にあり、この記念碑もその一環として建てられたもの?だと思われます。(建立された年号を確認していないので、いつの紀元節か断定できないのですが‥)でもどうして倒されているのだろう?
祝賀行事は日本万国博覧会や東京オリンピック等も予定されていたらしいが戦争により中止、紀元2600年式典は盛大に行われた模様です。
個人的に興味があったのが祝賀行事の一つに演奏会が行われ、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリアの6ヶ国に対して奉祝楽曲の作曲を依頼し、アメリカ(対日関係の悪化により)イギリス(祝典に内容がそぐわない)以外の4曲が日本の連合楽団「紀元二千六百年奉祝交響楽団」によって演奏されている事です。
これらの曲は(演奏会以外にスタジオ録音した物?が)翌年コロムビアからSP盤として発売されている。現在は復刻CD化されているが一般には手に入らないらしい。
しかしながら戦後、各国で再演された皇紀2600年祝典音楽は(演奏機会の少ないピツェッティ(イタリア)「交響曲イ長調」以外の楽曲)断片的に幾つかのCDによって良い音で聴けるようになってきました。
なお、日本の作曲家、伊福部昭、橋本國彦、山田耕筰他も奉祝曲を提供しています。

イベール

ジャック・イベール(フランス)「祝典序曲」指揮:ジャン・マルティノン フランス国立放送局管弦楽団
祝典曲の中で個人的には一番好みの曲です。冒頭、中間部の美しい旋律は印象に残ります。

Rシュトラウス

リヒャルト・シュトラウス(ドイツ)「皇紀2600年祝典音楽 作品84」指揮:ウラディミール・アシュケナージ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」で有名な作曲家。曲は「海の風景」「桜の祭り」「火山の噴火」「侍の攻撃」「天皇賛歌」の5部構成から成る。

ヴィレシュ

シャーンドル・ヴェレシュ(ハンガリー)「交響曲 第1番 皇紀二千六百年に捧ぐ」
3楽章から成る交響曲。

ブリテン
ベンジャミン・ブリテン(イギリス)「シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)作品20」指揮:マイヤー・フレッドマン ニュージーランド交響楽団
曲は「1.涙の日2.怒りの日3.主よ、永遠の安息を」の3楽章から成る交響曲。祝典用に作曲されたが内容がそぐわないのを理由に日本政府から拒否された曲。しかし日本側から委嘱料は支払われている。
後に日本では1956年2月18日に、作曲者ブリテン自身の指揮でNHK交響楽団による初演演奏が行われている。目出度し。


ピツェッティ(イタリア)「交響曲イ長調」を聴いてみたい。CD化望む。