未完:恋愛長編小説@第5話「先生の隣にいさせて。」 | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。













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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「先生の隣にいさせて。」第5話












入学式の朝、いつもより早く目が覚めた。



洗面所の鏡に、ちょっとだけ目の腫れた私が映る。


指先で目の周りに触れながら、昨日のことを思い出した。







もう、大丈夫。

いっぱい泣いてスッキリした。

涙でモヤモヤが洗い流されて、新たな気持ちにリセットされていた。




さあ、今日から高校生だっ!


がんばるぞ~!



両手を上にあげて、ぐ~っと伸びをした。






洗顔フォームを泡立てて、ほっぺにくるっと円を描いた。


あわあわの自分に、自然と笑顔になる。





これが生クリームだったらいいのにな…



指先に伝わる、なめらかな泡の感触が気持ちいい。


ほっぺのお肉をぐい―っと上げたり下げたりして、自分の顔で遊んでいた。





「おはよう、塔子ちゃん。」

私の変顔の後ろに、ひょこっと顔を出したのは、お姉ちゃんの彼。




「わっ!おはようございますっ!」



真っ白な顔で、挨拶する私。


泡の下は、きっと真っ赤だ。



私は急いで泡を洗い流す。




背中越しに聞こえる声は、とっても優しい。


「元気そうでよかった。」




私はタオルを手に取って、顔にあてた。


鼻から下はタオルで覆ったまま鏡越しに彼を見ると、ニッコリ笑ってガッツポーズをしている。






「こっちには、順子も俺もいるから、大丈夫。塔子ちゃんファイトっ!」




ああ…きっと昨日のこと、お姉ちゃんから聞いたんだ…。





「はい。」




「俺、今日は早く行くから、メシはいらないって順子に言っておいて。うちの学校も入学式なんだよ。」




「あ、はい。わかりました。」








高校の先生も忙しそうだな。


生徒よりも、こんなに早く行かなきゃならないなんて。










さっき玄関で見かけたときは、黒の礼服に着替えていた。


手に持っていた白いネクタイ。



数時間後の自分を思って、キュッと気持ちが引き締まる。





ガッツポーズの残像に向かって、私も拳を握ってみた。


ちょっと力が湧いてくる。







それは、新たなはじまりを予感させていた。





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