香水 ② 【ユンジェ小説】 | 小鳥のさえずり --永遠のユンジェ--

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ユンジェと5人が大好きです。

小説は①からリンクをたどってね。
たどらないと読めないかもです。

古い記事は「覚え書き倉庫」になってて、
その日に書いた記事ではありません。

ゆっくりしていってね♪
アメンバ申請は、18歳以上です~

【ユンジェ小説】






香水 ②








トンペンならおそらくみんな知ってることだが、
ジェジュンは酒に強い。
底なしに強い。


僕はあまり飲まないが、それは、飲めないというより、
アルコールのせいで自分を見失うことを恐れるせいだと思う。

「恐れる」と言ってしまうと、弱虫のようで嫌だが、
理性が麻痺して、周りの人たちに迷惑をかけたり、
傷つけるようなことを避けたい。

僕は、自分で自分をコントロールして、信念に沿った行動をしたい。




ジェジュンはしばしば酔いすぎて記憶をなくす。
「~~までは覚えてるけど、あとは覚えていない」などと言う。

「それって、怖くないの?」と聞いたことがある。
相手に何かひどいことをしてしまったり、
逆に自分がされたり、そういったことが怖くないのかと。


「でも、酔うとほどんど眠っちゃうし、何かされたりって・・・何を?」


ぷくっとくちびるをとがらせて、ジェジュンが僕を覗きこむ。


何をって・・・。


言いはばかる僕の体温が、かっと上がった。



あれは、まだ付き合う前の会話だ。









何をって・・・。



たとえば、今、
繰り広げられてる光景のようなことだよ。







「コンベ~!」
「乾杯~!」
「コンベ!!」
「ぐいっと、そうそう!」
「おお~!強いね~ジェジュン君!」
「一気!一気!」


洒落た居酒屋の個室、
大テーブルの向こう側、
歓声の中心でジェジュンが、一気飲みをしてる。

母国の習慣で、目上の方が注いでくれる酒は断りにくいのも事実だが、
ジェジュンも決して嫌がっていない。


「あっは!ぷぁ~!」


わあっと場が盛り上がる。


「あ~っ!ぼっく、酔っ払いですね~! ひっく!」


もう何回目・・・何十回目の杯を空けてるのだろう。

呑みすぎだ、ジェジュン。


「あ~~~~っ!!世っ界が回ってます~~!!(@▽@)」


まっすぐに座っていることもできないのか、Aさんに肩を抱かれている。

そろそろ眠くなったのか、頭を垂れてつむじを見せている。

・・・長めの前髪がさらさらと顔の前でゆれて、表情がわからない。







「ユノ氏、まだ宵の口ですよ、もう1杯ぐらいいかがです?」


テーブルのこちら側は、たまたま静かに飲むタイプのメンバーがそろっていた。

僕があまり飲まないと知ってか、
隣の幹事役のスタッフさんに遠慮がちに薦められた焼酎を、


「いただきます!」


やけくそのように、飲み干した。


「おお!ユノ氏も実はいける口?」


続いて注いでもらった杯も、一気に空ける。
スタッフさんが驚いている。


(あ!Aさん・・・ジェジュアの肩をさすってる!)

(ぐあ!ジェジュアの耳になんかささやいてる!)

(あああっ!!ボクのジェジュアの耳、舐められてないっ!?)




がばっ!


いきなり仁王立ちした僕に、なにごとかと数人が視線をよこす。

ジェジュンはうな垂れたままだ。

Aさんも僕の様子に気づいていない。

憤然と歩み出そうとする僕のセーターのすそを、隣のスタッフさんがあわてて掴んで


「ユノ氏、穏便に!穏便に!」と
ささやいた。


さっきからの僕の様子でなにか察したらしいスタッフさんが
必死の表情で止めるのを振り返り見て、
僕は1回、2回、3回、
深呼吸をしてから、テーブルの向こうまで響き渡る大声で、
何度も練習した『よく使う便利な日本語』を話した。


「ごちそうさまでした!
明日も早いので、これにて失礼させていただきます!」













「日本の冬は好き。
空気が透き通っている。
故郷を思い出すよ」


眠っていると思ったのに、
暖房の強いタクシーの窓を開けて冷たい風を浴び、
ジェジュンが独り言のようにつぶやく。


「ああ、家族に会いたいなぁ」


思わず僕はジェジュンの膝の上の左手に自分の右手を絡ませ、
ぎゅっぎゅっと、にぎった。


「もうちょっと、あと少しがんばれば、新年には帰れるよ」


振り返って、下から僕を覗くように「そうだね」と、
にっこり微笑むジェジュン。


瞳が潤んでいる。

酔った顔が紅潮している。

パーカーからのぞく長い首と鎖骨のあたりまで皮膚が赤くなっている。

まるであのときのように。

僕はうまく笑いかえせなくて、頬がこわばった。


「ユノ・・・怒ってる?」


「怒ってないよ。」


「怒ってるよ。」


「怒ってないよ。」


いきなりジェジュンはジーンズの僕の股間に右手を伸ばした。


「ほら、怒ってる!あっは!」


「ばっ・・・!」


ジェジュンの両手を捕まえる格好で、

股間をこれ以上ないくらい膨らませて、

まだなにか説教でもたれようというのか?



僕は自分を滑稽に感じて、
邪魔者の“理性”をどこかに追いやることにした。











③へつづく