疎まれる者たちへの愛着 ~ 「平面いぬ。」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

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私の好きな作家のひとりです。
若き日に書かれた作品を手にとってみました。
その後の活躍につながる芽は、どんな姿をしているのだろうか、と。

作者が二十歳くらいの頃の作品です。

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平面いぬ。 / 乙一 (集英社文庫)
 
¥637 Amazon.co.jp / ¥540 Kindle版

その目を見てしまった者は石になるという妖怪。
  小学校の鶏小屋でヒヨコを踏み殺したという噂の非行少女。
青い肌を持つ不細工なぬいぐるみ。
  若い女性の肌にほられた刺青。

人々から疎まれる存在に注がれる愛着が描かれた4篇です。

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「石の目」、「はじめ」、「ブルー」、「ポッキー」
恐ろしさから疎まれる存在に呼び名がつけられています。
このうち、噂の非行少女、不細工ぬいぐるみ、刺青には
それらに愛着をもつ者が名前をつけています。

呼び名をつけるのは特別な1対1の関係の始まり。
相手が人々から疎まれていることから、そこに秘密が生れます。

秘められた愛着にはそこはかとない切なさが横たわっています。

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これらが書かれたのは十数年前。
疎まれる存在に秘められた愛着を持つ者たちに漂う切なさに
注がれる若き日の乙一の視線が後の活躍を兆しています。


<目次>


石の目
はじめ
Blue
平面いぬ。


[end]


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