CATツール(翻訳支援ツール)について考えてみる | 期待に応えなければ幸せになれる!【幸せワガママ研究所 】

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最近SNSでTradosを筆頭としたCATツールについての議論がアツいので、私もちょっと考えてみることにしました。
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まず、私の基本の翻訳スタイル
・ワードベースの上書き翻訳
・翻訳時のツール(?)としては新田さんのマクロを愛用
・翻訳後のチェックには新田さんのマクロJust Right!5を使用
といった感じです。

ツールの使用経験はほとんどなし!
Tradosを安価で買えるチャンスがあったときに購入したのでもってはいます。そして、内容の似た案件を2つ同時に受注したときに、Tradosってやつが使えるんじゃないのかしら?と使用してみたことと、パワーポイントファイルの翻訳に使ったことがある程度。メモリを支給されたことがないので(ツールを使用して欲しいという案件は基本的にありません)、使えるメモリがある条件でどのように使えるのかは知りません。

というわけで、いわゆるCATツールの使用経験がほとんどない私の意見です。

<メリットと言われていること>

・1文ごとに数値などの点を「チェックした」という確認が取れるので、クライアントに「チェックした」ことを伝えることができる。

・自分/誰かが既に訳したものを使い回せる。

・様々なファイル形式に対応していて、支給されたファイルがどのような形式でもいつも同じ画面で翻訳作業ができる


<私が使いづらいと感じていること>

・1文ごとに区切られるのが非常にやりにくい。1つの原文中に例え全く同じ文章が出てきたとしても、前後の文脈から、ここでは前の文と繋いで2文を1文にしたいとかあるので、原文をいじる作業が面倒だし、とにかく1文ずつ作業しろ、というのが無理。

・自分の過去訳だってそのままは受け入れられないような気がするのに(今だったらもっと良いものにできるかも・・・と思うかも知れないのに)、誰か知らない人の過去訳をそのまま受け入れることはできないだろう。もちろん素晴らしい訳に当たる可能性がないわけではない。

・素晴らしい過去訳に当たったとしても、それが素晴らしいかどうかを判断するのに時間がかかるので、過去訳がある部分には翻訳料は払いませんよ、というのは受け入れられない(過去訳と100%一致の文章があったら翻訳料が全く支払われないのか、それとも5割くらいは支払われるのか分からないのですが)。

翻訳の仕事は1ワード/文字当たりいくら、という料金体系ではあるけれど、そのワード/文字だけを見て訳すなんていうことは出来ないのだから、ツールを導入したので過去訳を利用してください、その際過去訳がある部分の翻訳料は下げますよ、というのは無理があるように思う(翻訳>チェックの段階で全体を通して読むなどして全体の一貫性を維持するわけですし)

・翻訳者個人個人の翻訳の評価というのはどうなるんでしょうね?100%自分で手がけた翻訳なら、それがどのような評価であれ受け入れるつもりですが・・・。


<それでもあえて使うとすれば>
・原則として、翻訳者の利用と翻訳会社の利用を混ぜないことかなぁと思います。

翻訳者が自分の過去訳を自分の財産として管理するためには良いかもしれないし、翻訳会社が品質管理に使うもの良いかもしれない。けれど、下請けである翻訳者の財産とも言える過去訳を翻訳会社が一括して利用し、関わった全員がそれを良しとする、というのにはどうしたって無理があると思うのです。

・それでももしも関わっている全員が同じツールを使うのであれば、ソースクライアントと翻訳会社と翻訳者が対等な立場で話し合い、全員がツールについての認識を一つにして、過去訳もきちんとチェック&アップデートして・・・と、それなりに面倒な手順を踏むべきなのではないのかな、と思います。便利なツールがあるからって、それだけでみんながハッピーになるわけじゃないよね。


というわけで、CATツールを使っていない、使えない、また当面使う気もない翻訳者の意見でした。