1950(昭和25)年5月11日に、公布及び施行された法律で、富裕税法という名称の法律がある、あった。今はない。1953(昭和28)年の夏に、廃止されたからだ。パソコンが無かった時代においては、個人資産の把握は、とても難しい。
現在、国政において、大震災からの復興に向けて増税をすべきか否か、議論されている。増税はすべきであるが、当面、消費税と所得税と法人税は、いじるべきではないと、私は考えている。
1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災後の、兵庫県南部の地域経済の推移を見れば分かる通り、個人消費、個人所得、法人所得は、落ち込む。消費税と所得税と法人税をいじって、追い打ちをかけてはならない。
国難の今こそ、平成23年度臨時富裕税法を、即時制定、即時施行すべき時である。もちろん、まず自主的な国庫への寄付を募り、寄付金の額を考慮に入れて、富裕税額を確定する仕組みにする。
現行の相続税法において、配偶者には、相続税額に関し、特別な配慮がなされている。あまりに長文なので引用しないが、相続税法19条の2第1項に書かれている。
これと同様に、臨時富裕税法においても、個人資産は、配偶者の資産と合わせて、把握すべきである。たとえば、現預金、有価証券、土地建物を合わせて、3000億円超お持ちの方を納税義務者にし、必要に応じ、年度ごとに、金額を下げていけばいい。
たとえば、個人資産3000億円を超える部分全てを、納税額にし、予め、国庫に寄付をすれば、その寄付金額の1%を、税額控除する。
先月、「通貨は公器である」と書かせていただいた。いつか富裕税の導入について書くための伏線として、そう書いた。今が、その時である。
兵庫県姫路市にて
佐藤 政則