国民の目くらまし大作戦PM2.5のニュースはすっかり影をひそめましたが、もちろん大阪での震災がれき焼却処理は続いています。
以前の記事で紹介したように、処理が必要ながれき量は当初見積もりよりも大幅に減っており、広域処理など最初から必要なかったのではないかという声が、がれきキャンペーンを大々的に繰り広げたマスコミでも取り上げられたことは、みなさんもご記憶のことと思います。
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今回、このがれき量に関する疑い(そもそも広域処理が必要ながれきは存在しているのか?)がさらに強まる事実が明らかになりました。
経緯はこうです。
岩手県の住民が、ガレキの広域化関連の情報を岩手県に情報開示請求で求めたところ、請求された文書のうち、岩手県は
①ガレキの測量をした調査委託業者(応用地質(株))から受託した「報告データ」の開示を行いませんでした。
②「広域化必要量の一覧表」については開示しましたが、なんとその 開示されたデータは墨塗りにされていました。
黒塗りで開示されたデータの画像(PDF)
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http://savechildosaka.web.fc2.com/i/130401.1.pdf
データの開示を拒否する そして データを黒塗りにして開示する
これはどういう意味でしょうか?
市民の情報開示請求をまるきり拒否するわけにもいかないので、仕方なく一部黒塗りの資料を出してきたのでしょうが、そうまでして隠さなくてはいけない理由は何か?
がれきの量は当初見込みより大幅にダウンしたと公表されていますが
実は存在するガレキは公表されている量よりさらに少ないのではないか?
岩手県と環境省はガレキ量を実際より過大に発表しているのではないか?
という疑いを、当然誰もが持ちますよね。
もしそうであるなら、これは公文書偽造にあたる可能性すら出てくる事件です。
しかも黒塗りだけでなく、なんと岩手県はこの資料を わざわざ縮小コピーして出してきた そうです。もちろん、文字を読みにくくするためです。(上↑でリンクしている画像データは、判読できるように拡大コピーを繰り返したものだそうです。)
市民の権利である情報開示請求。それをなんと心得ているのか、岩手県は市民を愚ろうしているとしか言いようがありません。
全体をもう少し詳しく説明します。
まず岩手県が開示を拒否した「報告データ」は、2011年、2012年の両年度にわたり岩手県と契約※1を結んだ「応用地質(株)」という事業者が作成したもので、この「報告データ」をもとに環境省の「工程表」等の公式データが作成されたことがわかっています。
つまり岩手県は環境省の公式データのもとになった調査会社の「報告データ」の開示を拒否ししたわけです。
環境省の公式データと「報告データ」の数値が一致しているのであれば隠す必要はないわけですから、ここに何らかの不正や虚偽があった可能性が疑われます。
※1契約=「岩手県災害等廃棄物処理事業に係わる施工監理業務委託」
引用:
震災直後から岩手県は、「応用地質(株)」との契約を結び、「応用地質(株)」は、がれき量や県内処理可能量、そして広域化必要量をそれぞれ測定・計算し岩手県に報告することになっていた。岩手県は、これをさらに環境省に報告していたことも分かった。環境省の「工程表」等で発表された公式データの出所は、「応用地質(株)」からの報告だったことが分かった。
(『がれき広域化の根拠データの墨塗り&非開示(環境ジャーナリスト 青木泰)』
)
さらに、がれき量が一部黒塗りされて開示された「広域化必要量の一覧表」についてです。
この「広域化必要量の一覧表」(H24年12月~)と同時期に、岩手県は環境省に「報告データ」(H25年1月24日)を提出しています。この「報告データ」に基づいて環境省の「工程表」(H25年1月25日)が作成されました。
ですから、本来であれば環境省の「工程表」と、岩手県が環境省に報告した「報告データ」と、今回岩手県が黒塗り開示した「広域化必要量の一覧表」の数値は一致していないといけないわけです。
ところが実際は、環境省発表の「工程表」と、岩手県が一部黒塗りで開示した「広域化必要量の一覧表」の数値※2が一致していない ことが判明しました。
その数値を表にしてまとめたのがこちら↓です。
※2「広域化必要量の一覧表」の表中の数値は部分的に黒塗りされていますが、表の欄外(下方)に数字があり、これが黒塗りされたデータの合計値であることがわかりました。この値をもとに作成された表です。
http://savechildosaka.web.fc2.com/i/130408hyou2.pdf
たとえば赤で囲んだ数字ですが、
◆野田村(受け入れ市町村:秋田)の可燃物
岩手県の黒塗りデータ「広域化必要量の一覧表」(H24.12~)が「7,400」なのに対し、環境省の公式データ(H25.1.25)は「12,400」に増えている。
◆宮古地区(受け入れ市町村:大阪)の可燃物
「広域化必要量の一覧表」が「59,300」なのに対し、環境省の公式データは「80,500」 に増えている。
※さらにつっこむと、環境省のデータ自体にも不自然な点はあります。たとえば宮古地区(宮古市、岩泉町、田野畑村の合計)の広域化必要量:
H24年5月21日の広域化必要量(環境省リサイクル対策部の発表データ)が「15,200」だったのに、H25年1月25日(環境省工程表)では「80,500」となり、大幅に増えている。
普通時間の経過とともに広域化が必要ながれきの量は減っていくのが自然ですが、ここでは不自然に増えています。
まとめます。
①岩手県が震災直後から契約を結んで広域処理が必要ながれき量を調べたのが「応用地質(株)」という事業者で、この事業者が作成した「報告データ」を岩手県は情報開示しませんでした。 (ですので、この報告データの中身はわかりません)
②岩手県は「応用地質(株)」の「報告データ」を基に、「報告データ」(H25年1月24日)を作成(したことになっています)、環境省に提出しました。
③環境省は岩手県の「報告データ」を基に、「工程表」(H25年1月25日)を作成しました。環境省の「工程表」は、岩手県の「報告データ」と一致していることが分かっています。
④ところが、岩手県は環境省に提出した「報告データ」(H25年1月24日)とは別に、ほぼ同時期に「広域化必要量の一覧表」を作成しており、今回岩手県は住民の開示請求に対し、データを一部黒塗りにして提出しました。
⑤この「広域化必要量の一覧表」から読み取った数値は、岩手県の「報告データ」とも、環境省の「工程表」とも一致していませんでした。(環境省が公表した工程表のがれき量の方が多い。)
これはどういうことでしょうか? もし情報開示されなかった「応用地質(株)」の「報告データ」を基に「広域化必要量の一覧表」が作成され、この両者が一致しているのだとすれば、岩手県が環境省に報告した「報告データ」(H25年1月24日)は調査会社の実測に基づかない虚偽の報告データである可能性が大きくなります。
引用:(強調文字はブログ筆者による)
「岩手県は「広域化必要量の一覧表」の他に、環境省に報告するための別の「一覧表」のデータ※3を持っていたことになります。
※3=「報告データ」(H25年1月24日)(ブログ筆者追記)
いわゆる2重帳簿になります。帳簿と言っても記載されているのは、処理量ですが、被災がれきは100%交付金(=補助金)が付くため、ここで示されている処理量はイコールお金に置き換えることができるのです。
岩手県の金銭決済がどちらの「一覧表」に基づき行われていたのか?
先週の週刊ポストに掲載されていた
「震災瓦礫受け入れ『表明して撤回』でも176億円!これじゃやるやる詐欺だ!」
に続き、大きなスキャンダルの指摘です。
(http://savechildosaka.web.fc2.com/i/130403syuukainposuto.pdf )
(『岩手県 墨塗り&非開示の件について(環境ジャーナリスト 青木泰)』 )
以上、この記事は、環境ジャーナリスト青木氏と大阪のがれき広域処理に関する住民監査請求人グループのメンバーが調べて報告してくださった内容を、わたしなりにまとめたものです。
時間がなくて長い文章が読めない!という人にもなるべく読んでいただきたいと思い、要点だけ短くまとめてみました。
間違いのないように極力注意したつもりですが、わたしのまとめに誤りがあった場合は、わかり次第訂正更新していきますので、ご容赦願います。
このブログ記事のもとになった報告はこちら
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1. がれき広域化の根拠データの墨塗り&非開示 (環境ジャーナリスト 青木泰)
http://savechildosaka.web.fc2.com/i/130401aoki.kuronuri.pdf
2. 岩手県 墨塗り&非開示の件について (環境ジャーナリスト 青木泰)
http://savechildosaka.web.fc2.com/i/130409aoki.kuronuri2.pdf
少し長いのですが、たくさんの方に読んでいただきたい素晴らしい報告です。
市民のグループがこれだけのことを調べ上げたのです!
こうやって監査請求人グループに参加させてもらうまで、市民や市民派のジャーナリストの力でここまでのことができるなんて思ってもいませんでした。
ありがとうございます。
さて、明日のお知らせです。がれきの広域処理問題を考える大きなシンポジウムがあります!
ぜひ多くの方に参加いただき、がれきの広域処理ストップに向けてみんなの力を結集していきましょう。
講演してくださる熊本一規先生は、がれき問題のスペシャリストです!
●4月14日(日) 13:00~16:30 エルおおさか・大会議室(京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ300m 大阪市中央区北浜東3-14 TEL 06-6942-0001 アクセス
)
止めようガレキ焼却、許すな被曝の拡大!
危険な放射能汚染の拡散政策を考える4/14シンポジウム
大阪に被災地の福島県、岩手県から住民の方をお招きし、現地の要求を踏まえた運動をつくるための「全国シンポジウム」です。ぜひご参加ください。
講演:熊本一規さん(明治学院大学・教授)「放射能汚染拡散政策の現状と新たな狙い」
報告①宮古市より「ガレキ焼却の現状と住民の要求」
報告②鮫川村より「高濃度放射性廃棄物の仮設焼却炉建設に反対して」
報告③首都圏より「東京での放射能汚染の現実と環境省交渉」
報告④原告団より「放射能汚染焼却灰の全国拡散状況とガレキ広域処理差し止め裁判の意義について」
http://garekisaiban.web.fc2.com/dl/130322sinpo0414.pdf
http://garekisaiban.blog.fc2.com/blog-entry-22.html
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