母に頼まれた化粧落としとリップを売店で買って
急いで病室へ戻った・・・
「遅くなってごめんなー
先生がさ、さっき撮ったCTを見ながら
フィルターを入れたこと説明してくれとったんよ。
後でお母さんのところにも説明に来てくれるって言うとった。
お母さんの血栓、大きかったわー
大変なことになる前に見つけてもらってよかったなあ」
母に遅くなった理由を聞かれる前に言った。
とにかく普通に、普通に・・・・
母はフィルター処置後4時間は絶対安静ということで
ベットに寝たまま。
足を大きく動かすことも禁止。
特にカテーテルを挿入した左側は膝を立てることも禁止。
エコー検査室から車椅子搬送になり
そのままCT、カテーテル処置、絶対安静。
一日でこんなにめまぐるしく、あれよあれよと言う間に
事が進んでしまって
母は少し放心しているようだった。
「そうやな、よかったわ」
と、力なさげに答えた。
看護師さんが頻繁に病室へやってきて
血圧、脈、点滴を確認していく。
母の足をみると、両足の甲に小さな×印が書いてある。
このポイントで脈拍を確認し、
母の足の血流をチェックしているようだ。
私も妹もさわってみた。
左足は右に比べて弱い。
ほとんど触れない。冷たい。
こんなにも血流が遮断されてしまうほど
母の足の状態は悪かったんだ。
母が一時退院してから
実家の方に足を運べていなかった。
もし、もっとマメに顔を出していたら早く気付いてあげられたのに。
後悔しても遅いけど、悔やまれる。
しばらくしてHドクターが病室へ来た。
「○○さん(母)、さきほどね、足に出来てた血栓がね
肺の方に飛ばないように、フィルターを入れました。
しばらくそのまま安静にしててくださいね。
これから、血がサラサラになって血の塊が出来にくくなるお薬、
出来ている血栓を溶かすためでもあるんですけど
これを少しずつ点滴でいれていきます。
これをいれていると血が固まりにくくもなるので、
出血しやすくなりますから、気をつけないといけないと
覚えててくださいね。
ちょっと続くからしんどいけどね、がんばっていきましょう」
疲れている母に、わかりやすく、血栓のことのみ・・・
Hドクターは伝えて、
母の足の脈拍、カテーテール挿入部の傷、点滴を確認して
「今日は、大変でしたね。
また、明日、血の検査をさせてくださいね」
といい、戻っていった。
母は食事をとらなかった。
喉が渇いたという。
寝たままでは飲みにくいので
小さな氷をもらい、少しずつ口へいれると
美味しそうに食べた。