とりあえず血栓を | つばめにのって ~肺腺癌との闘い~  番外編でチョコレート膿腫

つばめにのって ~肺腺癌との闘い~  番外編でチョコレート膿腫

2010年11月、母が肺癌宣告を受け、
ここから、これまでの恩を返す時間が始まりました。

そして2012年4月7日、母は永遠の眠りにつきました。

この経験がどこかで誰かのささえになれたらと思います。

番外編で、チョコレート膿腫のことも書いています。



母に頼まれた化粧落としとリップを売店で買って

急いで病室へ戻った・・・



「遅くなってごめんなー

先生がさ、さっき撮ったCTを見ながら

フィルターを入れたこと説明してくれとったんよ。

後でお母さんのところにも説明に来てくれるって言うとった。

お母さんの血栓、大きかったわー

大変なことになる前に見つけてもらってよかったなあ」



母に遅くなった理由を聞かれる前に言った。

とにかく普通に、普通に・・・・



母はフィルター処置後4時間は絶対安静ということで

ベットに寝たまま。

足を大きく動かすことも禁止。

特にカテーテルを挿入した左側は膝を立てることも禁止。


エコー検査室から車椅子搬送になり

そのままCT、カテーテル処置、絶対安静。

一日でこんなにめまぐるしく、あれよあれよと言う間に

事が進んでしまって

母は少し放心しているようだった。


「そうやな、よかったわ」


と、力なさげに答えた。




看護師さんが頻繁に病室へやってきて

血圧、脈、点滴を確認していく。


母の足をみると、両足の甲に小さな×印が書いてある。


このポイントで脈拍を確認し、

母の足の血流をチェックしているようだ。


私も妹もさわってみた。

左足は右に比べて弱い。

ほとんど触れない。冷たい。

こんなにも血流が遮断されてしまうほど

母の足の状態は悪かったんだ。


母が一時退院してから

実家の方に足を運べていなかった。

もし、もっとマメに顔を出していたら早く気付いてあげられたのに。

後悔しても遅いけど、悔やまれる。



しばらくしてHドクターが病室へ来た。


「○○さん(母)、さきほどね、足に出来てた血栓がね

肺の方に飛ばないように、フィルターを入れました。

しばらくそのまま安静にしててくださいね。

これから、血がサラサラになって血の塊が出来にくくなるお薬、

出来ている血栓を溶かすためでもあるんですけど

これを少しずつ点滴でいれていきます。

これをいれていると血が固まりにくくもなるので、

出血しやすくなりますから、気をつけないといけないと

覚えててくださいね。

ちょっと続くからしんどいけどね、がんばっていきましょう」


疲れている母に、わかりやすく、血栓のことのみ・・・

Hドクターは伝えて、

母の足の脈拍、カテーテール挿入部の傷、点滴を確認して


「今日は、大変でしたね。

 また、明日、血の検査をさせてくださいね」


といい、戻っていった。




母は食事をとらなかった。

喉が渇いたという。

寝たままでは飲みにくいので

小さな氷をもらい、少しずつ口へいれると

美味しそうに食べた。