これから・・・ | つばめにのって ~肺腺癌との闘い~  番外編でチョコレート膿腫

つばめにのって ~肺腺癌との闘い~  番外編でチョコレート膿腫

2010年11月、母が肺癌宣告を受け、
ここから、これまでの恩を返す時間が始まりました。

そして2012年4月7日、母は永遠の眠りにつきました。

この経験がどこかで誰かのささえになれたらと思います。

番外編で、チョコレート膿腫のことも書いています。



本体ならば、血栓がなくなるまで

肺梗塞のリスクは下がったといえどもゼロではないので

安静時間を長くとるところなのだが

Hドクターは、できるだけ安静の時間を短くし、

早く動けるように持っていきたいと

母の投薬量を調整してくれていた。


それはすなわち、

それだけ母の肺癌の様子がよくない、

残された時間が短いことを意味している。



全身検索を行ったCTには

呼吸器内科で最初に治療を始めたときよりも

腫れてパンパンになったリンパ管、右肺下部の大部分を占める胸水、

癌性胸膜炎で白く濁った肺が写っていた。



「蛋白尿がとまらないというのは、

抗がん剤の影響もあると思いますが

ベースにあった糖尿病、

これが原因でもともと腎機能が悪かったのではと思います。


お母様の状態は、残念ながら悪くなってきている・・・

進行が速いか遅いかといえば、速いと思います。

正直、ここまでとは思わなかった。


ですので、次の手立てを考えなくては

いけない時期にきているのですが

これからの治療を行うにあたって

この蛋白尿がキーになってくると思います。」



蛋白尿が治まらない限り、

次の抗がん剤をいれることは望ましくない、

しかし、母にそれを待っている時間はあるのか・・・



「以前にしていただいていた遺伝子検査(EGFR)の結果は

どうだったのでしょうか・・・・?」



いつか、最後の手が必要になったときに

聞こうと決めていた遺伝子検査の結果。



「・・・変異は、ありませんでした」



変異がないということは、イレッサ適用でないということ・・・

もし、イレッサが使えればあるいは・・・

そう期待していただけに、ショックは大きかった。



「もし、継続治療を希望されて薬を続けるならば

僕としては、タルセバ(エルロチニブ)を考えています。

ただ、これも効果が期待できる、とも言えない・・・」



そうなんだ・・・

でも、イレッサと同じ系統の薬だから

タルセバも効く可能性が限りなく低くてあたりまえだ・・・



「今は、咳がひどいならば胸水を抜く、とか

胸水の溜まる場所を胸膜癒着でなくしてしまう、とか

癌性胸膜炎の炎症をとるためにステロイドを入れるとか

対症療法をとって、なるべくお母様の苦しさを

取っていくことはできます。


で、蛋白尿が出なくなるのをみて

次を考えるということになるのですが、


大量にステロイドをいれてしまったあとでは

抗がん剤をするのは難しい・・・


現実、緩和医療のことを考えなくてはいけないところまで

来ていると思います。


それをいつかご本人にもお話をさせていただかないと

いけないのですが

急にこんな事態になってお母様も

気持ちが落ち着かないとおもいますので

今日のところは、血栓の治療に関してだけ

お伝えしようと思います。


ですが、この血栓対処がひと段落して

次のステップへ移るときには、

一度お話させていただこうと・・・


よろしいでしょうか?」




大きなため息が勝手にでてしまった。


なかなか

「はい」

と言えなかった。