和製長編ミュージカル映画『蝶~ラスト・レッスン~』撮影現場レポート① | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

拝啓、ステージの神様。





撮影現場レポート(前編)です。








昨年、二度にわたり、ミュージカル映画監督・角川裕明氏が主催するワークショップをレポート
した。

2015年、同氏が企画・監督を努める初の和製長編ミュージカル映画『蝶~ラスト・レッスン~』
が製作されている。その撮影現場を取材した。




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『蝶~ラスト・レッスン』は、演出家で女優の滝川園香のもとにオーディションで集められた男女6名が、


舞台作品を作り上げる道程でぶつかる表現することへの壁や、メンバーとの摩擦を経験し、それぞれの人生に向き合い、揺れながら成長する姿を描いた作品。

演出家で女優の滝川園香役に数々のミュージカルに出演し、シンガーとしても活躍中のAKANE LIV、


舞台やミュージカルに多数の出演実績を持つ上口耕平、染谷洸太のほかシンガーソングライター、舞台女優など、個性派ぞろいのキャストが顔を揃えている。




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1月某日/都内スタジオ~リハーサル





スタジオでは、翌日から始まる撮影を前に、シーン毎のリハーサルが行われていた。

順を追いながら、台詞と動き、感情の流れを確認し、曲に振りをつけていく作業だ。

物語の主なシーンが、<園香のスタジオ>であることから、リハーサルとして使われているその場所がリアルだ。


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いくつかのシーンで角川が提案し、試したのが声のトーン。


たとえば園香(AKANE LIV)

が舞台を共に作る旧知の仲・菊地駿雄(芋洗坂係長)と会話するシーンでは、声のトーンを低くすることでリアルさを追求した。

一方、悩めるダンサー長谷川美麗(井上美希)には、トーンを高くすることで台詞や態度に込められたイライラした感情を煽る策を示す。


同じシーンを幾度となく繰り返すことで、もっと感情をぶつけるようにと役者に負荷もかけていく。


限られた時間の中で温度やキャラクターの異なるキャストのボルテージをあげていくのは容易ではない。




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休憩時間。6人はほとんど群れていなかった。


音楽を流しながらダンスシーンを確認するもの、台本をチェックするものなどさまざまだ。


その微妙な距離感がこの作品の冒頭、稽古場に集められたキャストたちの姿にそのまま重なって見えた。


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前日にレコーディングした音源に合わせ、曲を流しながらのリハーサル。


歌詞のリアリティーを動きに生かすことは、ミュージカル映画のもっとも難しい部分でもある。


カメラワークも想定しながら、ダンスアドバイザーの伽藍 琳とともにアイディアを練り上げていく。


また、歌シーンでは、音楽担当で劇中の作曲も手がけた桑原まこから、ブレスや歌う姿勢、表情についてもアドバイスが入る。






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舞台なら本番までに稽古を何度も重ねるのが常だが、撮影は明日からだ。


必要とされるのは瞬発力か順応性か。


いずれにしてもキャストそれぞれが役と共にリアルに生きることが求められていく。




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(つづく)