重松清くんの『ツバメ記念日ー季節風 春』を読みました。
 
ツバメ記念日―季節風 春/重松 清
¥1,470
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短編が12。
 
「めぐりびな」
子どもが生まれ、夫の両親がひな人形を送って来た。
保証書に添えられていたのは、めぐりびなの申し込み用紙と説明書。
新しい人形を買ったら古い人形は供養しなければならないのだと。
だが、私の古いひな人形は、
亡くなった母が貧しい生活の中から買ってくれた大切な品だった。
 
「球春」
地元のヒーローだったプロ野球選手の野口さんが、
一度も一軍の試合に出ることもないまま、解雇され帰郷した。
中学の野球部キャプテンの僕は、
野口さんに、学校にコーチに来てくれるよう手紙を書くのだが、
野口さんは怒って手紙を破いてしまう。
そんな野口さんの家に、
野口さんをプロ野球にスカウトした男がやって来た。
 
「拝復、ポンカンにて」
田舎の実家を出て東京の大学に入学する日、
見送りにすら来なかった両親だったが
手荷物に紛れ込ませたポンカンの皮に
サインペンで書かれた激励の言葉を見つける。
やがて、父が亡くなり、そして今度は母が亡くなる。
棺にそっとポンカンの返信の手紙を収めるのだった。
 
「島小僧」
島に橋がかかり、フェリー航路が廃止されることになった。
そして、高校三年生の僕たちは、
進学に就職にとそれぞれ島を出て行く。
旅立ちの日、フェリーを運転してくれたのは、
島に残り市役所に勤める先輩のトオルさんだった。
 
「よもぎ苦いか、しょっぱいか」
早くに夫を亡くし、女手ひとつで、
土方仕事で私を育ててくれた母の手は、土のにおいがした。
 
「ジーコロ」
26年前、大学に入学して上京した私には、
誰も話す相手がいなかった。
そんな時、田舎の母にかけた電話。
中の電話機は変わっていたが、電話ボックスはそのままであった。
 
「さくら地蔵」
毎年、春になると近くに桜の木などないにもかかわらず
桜の花びらで彩られるお地蔵さんの秘密とは。
 
「せいくらべ」
父が事業に失敗し、移り住んだ借家。
そこには前の住人の子どもがつけたのであろう、
せいくらべの跡が残っていた。
 
「霧を往け」
JR駅で酔っ払いが線路に落ち、助けようとした青年と共に死んだ。
私は、「自業自得」と言われる死んだ酔っ払いの墓参りに向かう。
 
「お兄ちゃんの帰郷」
東京の大学に合格し、独り暮らしを始めた兄が逃げ帰って来た。
 
「目には青葉」
恋人? が36年間の人生で初めて部屋にやって来る。
だが、やって来た彼女の口から出た言葉は、
「わたし、結婚するかもしれません」だった!
 
「ツバメ記念日」
お前が生まれたばかりの頃は、
パパもママもそれぞれが仕事を抱え、大変だった。
ある日、お前が熱を出し、
ママは大切な会議に出られなくなってしまった。
そんな時、駅のホームでツバメの巣を見つけた
 
 
どれも、それなりによく出来てはいますが、
感涙にむせび泣く、というほどではありません。
 
ひとつひとつが、短すぎるからかも知れませんね。
 
 
評価 ☆☆☆
 
 
これまでに読んだその他の重松清の本
 
かっぽん屋  ☆☆☆
きよしこ  ☆☆☆
小学五年生  ☆☆☆
気をつけ、礼  ☆☆☆
きみの友だち  ☆☆☆☆
その日のまえに  ☆☆☆☆☆
 
 
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