小林よしのりくんの『新ゴーマニズム宣言SPECIAL台湾論』を読みました。
 
新ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論 (小学館文庫)/小林 よしのり
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台湾の歴史
台湾は大陸からの距離200キロの島。
もともとは、マレー・ポリネシア系の住民が住んでいたが、後に大陸の漢人も移住してきた。
17世紀にオランダが領有。圧政により多数の住民が虐殺された。
清の成立と明の滅亡に伴い、大陸を追われた鄭成功(日本人とのハーフ)は、明の残党を率いて台湾に渡りオランダを降伏させる。
しかし鄭氏政権は後に清に滅ぼされてしまう。清は台湾への渡航を禁止し荒れ果てるにまかせた。
明治維新間もなく、台湾に漂着した琉球人が台湾の先住民に虐殺されるという事件が発生、日本政府は清に責任を追及したが、清は「化外の地で化外の民」が起こした事件であるとしてこれを拒否。これを領有権の否定と見なした日本政府は台湾に出兵、これを占領した。
その後、賠償金を得て撤兵するが、日清戦争に勝利し、1895年の下関条約で台湾の割譲に成功。
以後、1945年の敗戦まで50年間に渡り日本が統治し、先住民等との衝突はあったものの、風土病の根絶、アヘン吸引習慣の段階的廃止を進め、教育、社会基盤の整備など、今日の台湾の発展の基礎を作った。
日本の敗戦および大陸での中共の勝利に伴い、蒋介石率いる国民党政権が台湾を支配。二.二八事件の虐殺、38年間に亘る戒厳令などを経て、李登輝が総統に就任し、台湾の民主化を推進した。
 
 
当然なんだけど、この手の本って、考えさせられることが多くて、重いです。
 
ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論 』ほど、ってことはないけれど。
 
で、この本の全体の趣旨とは離れて、一つだけ気になった点について書いてみたいと思います。
  
1930年の「霧社事件」。
先住民が学校の運動会を襲撃し、日本人と日本人に間違われた台湾人計134人を虐殺。
さらに警察駐在所などを襲い、武器弾薬を強奪。
日本軍が治安出動しこれを鎮圧。
機関銃、大砲、毒ガスなどにより首謀者タイヤル族を虐殺した、というもの。
 
本書では、「機関銃~虐殺した」と言うのは「ウソである」と書かれていますが、その根拠が提示されていません。
大東亜戦争において、原住民の高砂族が志願兵として活躍した、と書かれていますが、だからと言って虐殺がなかったということにはならないのでは?
虐殺がいけないのは当然のことですが、「霧社事件」の場合は学校の運動会の場を襲われ、幼い子どもたちが犠牲になり、しかも武器弾薬が奪われているのですから、軍が対応するのはやむを得ないと思います。
相応の処罰は与えるべきです。
ですが、機関銃、大砲、毒ガスによる虐殺はなかったというのであれば、その論拠を明示していただきたかったと思いました。
 
  
評価 ☆☆
 
 
これまでに読んだその他の小林よしのりの本
 
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日本を貶めた10人の売国政治家  ☆☆
 
 
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