日本の技術 ドイツの技術 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。

 
人気ブログランキングへ

まだドイツから離れらない遠ぼえ猫です^^

ドイツの技術を考える時に必ず思い出す話がある。日産自動車がフォルクスワーゲンとの提携の一環として中型乗用車サンタナのライセンス生産をした時期がある。1984年から生産し1991年までの7年間で約5万台が生産された。まあ、あまり売れたとは言えない。

売れなかったのはあのごついスタイルのせいだと思うが、話はそちらではなく日産とフォルクスワーゲンの技術者同士のやり取りのエピソードである。

現在の乗用車の多くはルーフやサイドパネルなどの板金をスポット溶接で接合する方式を採用している。この現場では多くのロボットが活躍することはよく知られているだろう。ところが、VW側の指定では日産の基準よりスポットの点数が多い上に、電気溶接までしている。

日産は強度計算ではこれほどのスポット点数や電気溶接は不要で、生産コストの面からもここまでやらなくても十分だと提案した。しかし、VW側は絶対に譲らず、最終的には指定通りのスペックになったという。

日産がこれほどの強度は不要だと考えたのは、当時はまだ車体の「剛性」というものの重要性が認識されていなかったからだと思う。力が加わっても壊れたり変形しないのが強度だが、剛性とは力が加わった時の歪まない性質だ。

当時の国産車は軽量化が進んでいて性能もよくなっていたが、その軽量化の反動か剛性が低くなっていた。その後、道路の凹凸などでクルマが微妙に歪むのでサスペンションが設計どうりに働かないこなどから日本車も剛性を意識するようになる。

この時のサンタナは中国でもVW上海の手によって大量に生産された。私も当時の中国で何度かタクシーに乗ったが、ほとんどサンタナだった。そして、驚いたことに、とうの昔に生産が終わっているこのタイプは、いまもたくさん中国や東南アジアで走っている。

生産期間や台数が多いということもあるだろうが、このタイプが特に頑丈だったのだろう。そして、その系譜は現在のゴルフなどのレーザー溶接によるボディづくりにつながっている。VWのクルマを走り好きの多い評論家たちが絶賛する理由はこの辺りにあるのだろう。

ただ、日産の技術者の名誉のために言っておくと、サンタナのスポット溶接の点数が日産より多かったのはスポット溶接の信頼性の違いもあると思う。現場の溶接の信頼性は日本の方が高い。それに、スポット溶接は間隔が短すぎると一つづつの信頼性は落ちる。

だから、電気溶接が必要だったのではないかと想像する。溶接について日産に任せても十分な強度を確保しただろうし、走り比べれば分かる剛性も必ず確保したと思う。そして、現在はそのドイツでも日産車は走っているし、日産の看板を掲げた立派な販売店も見かけた。

さて、ドイツの技術力に対する評価はVWのディーゼルエンジンの件で大きく落ちた。しかし、自動車など主要産業では独自の強みを持っている。上記で紹介したような剛性と軽量化を両立する技術に見られるように「技術立国」としての力はまだまだ持っていると思う。

一方、日本の強みは生産現場のレベルが非常に高いことで、それは製品の信頼性やコスト力にもつながっている。また、日本の製品の方がずっと「使用者目線」で作られており、きめ細かい配慮がされている。だから、爆買いの中国からも日本製品は次のように評価されている。


日本製品は「使用者目線」で作られている=中国メディア
サーチナ サーチナ
モーニングスター株式会社 
 日本を訪れる中国人旅行客による「爆買い」が近年、大きな注目を集めている。特に電気炊飯器や温水洗浄便座といった家電製品のほか、魔法瓶や医薬品などが中国人にとって人気のようだ。

 中国メディアの中原網は21日、中国人消費者の間で日本製品が人気となっている理由を分析する記事を掲載し、製品の質だけでなく、細部にまでこだわり、使いやすさを追求した日本製品の「デザイン力」も魅力の1つなのではないかと分析した。

 記事は、日本製品のデザインを見ていると「日本人デザイナーは非常に真面目であること」を感じ取ることができると伝え、細部まで非常に気配りがあることがわかると主張。

 また、日本のいたる場所にある自動販売機では「常に一定の温度の飲み物が売られている」、「新幹線の運行時間は非常に正確」などと指摘したうえで「あらゆることが厳格な日本では、デザイナーも厳格でなければ仕事にならないのだろう」と論じた。

 続けて、使用者の立場になって考えられた日本の製品は非常に使いやすいとの見方を示したうえで、「反射材」が取り付けられた日本のファッションブランドのバッグを紹介、「明るい場所では分からないが、夜になると反射材が使用者の位置を周りに知らせ、事故を防ぐことができる」などと紹介。こうしたちょっとした気配りのほか、愚直なまでに品質を追求し、自らの価値観を堅持するという精神こそ日本のデザインや製造業の発展の根源と論じた。
(編集担当:村山健二)

日本製品の本質をついた分析だと思う。一方、この様な点はドイツの製品ではあまり感じられない。ドイツを旅行して気付いたのは、バスも鉄道もトラムも水道の蛇口も券売機も何もかもドイツ仕様・欧州仕様でクルマ以外には日本製品をあまり見なかったことだ。

そして、以前にも書いたようにほとんど例外なく操作するにはかなりの力が必要だ。
だから、彼らの多くは日本車の乗り心地は柔らかすぎると感じ、ハンドル操作は軽すぎて頼りないと感じるのではないか。

マツダがドイツで一定の地位を得ているのは、昔から日本のメーカーらしくその辺りに対応してきたからだろう。トヨタでは最新のレクサスブランドのクルマには独自のレーザースクリュー溶接と接着剤を併用して剛性を高める工法を採用している。

このように、欧州でも米国でも、そして当然日本でも評価されるクルマ作りができるのが我が国のモノづくりの強みだろう。しかし、ドイツはドイツ式の考え方の強く出た商品で日本の2倍以上の輸出額となっている。まあ、相手先はEU内が多いのだが。

国民気質をはじめ様々な違いのある日本とドイツは、それを反映して技術も製品もずいぶん違いがある。そのせいか、クルマ以外の機器類の輸出入は案外少ない。そして、お互いにそれぞれの特長を生かした商品で世界の市場で競争をしているのである。

(以上)

人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。

 
人気ブログランキングへ