安倍内閣の消費増税あいまい戦略? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

安倍総理は消費増税を4-6月のGDPをはじめとする様々な指標を元に判断すると繰りかえし述べているが、GDP以外の指標が揃ってきた。マスコミは物価は上がっても給料は上がっていないと言い続けてきたが、彼らの期待に反して雇用環境や勤労者収入などは改善し始めている。


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ただ、実収入の増加は残業代やアルバイトなど非正規雇用者の時給上昇の影響が大きいし、失業率の改善も非正規雇用のウェイトが高い。確実に改善しているとは言えるが、力強く改善し始めたとまではとても言えない


そして、肝心のGDPの約6割を占める民間消費動向だが、家計の消費支出を見る限り、4-6月はそれほど好調とは言えないようだ。鉱工業生産指数と一緒に最近の推移を見てみよう。


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見てのとおり、2、3月は好調だった家計の消費支出は元に戻っているし、それにつれて鉱工業生産の回復も一服している。この様子だと、4-6月のGDPはプラスにはなるだろうが、1-3月のような高い数字(実質年率4.1%)は望めないのではないか。


ただ、「第二の矢」である2月の補正予算がそろそろ効いてきているようで、内閣府が30日に発表した資料のなかに、公共工事が増え始めていることを示すデータがあった。


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第16回経済財政諮問会議資料2『デフレ脱却と経済再生に向けた進捗(内閣府)』から


この結果がGDPをどれくらい押し上げるのか分からないが、いま出ている様々な指標を見る限り、マスコミが、アベノミクス批判するにしても消費増税を急がせるにしても中途半端な数字といえる。いずれにしても、今月12日の4-6月GDP速報に注目である。


上記の公共事業の請負金額に関するデータは30日の経済財政諮問会議で配布されたものだが、このほかにも、有効求人倍率の上昇、消費者物価の下げ止まり、主要都市のなかでも高度利用地区といわれる地域の土地上昇など、消費増税の理由として都合のよいデータが満載だ。


内閣府だけではなく、黒田日銀総裁が提出した資料も同様で、この会議の議論は予定通り4月から消費増税する方向の意見が多かったようである。


第16回経済財政諮問会議(7月30日)
甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2013/0730/interview.html


資料1 黒田議員提出資料(PDF形式:563KB)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2013/0730/shiryo_01.pdf

資料2 デフレ脱却と経済再生に向けた進捗(内閣府)(PDF形式:778KB)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2013/0730/shiryo_02.pdf


この、甘利担当大臣の記者会見でも、消費増税に関しての質問が集中した。そして、そのやり取りを受けて、4月からの消費増税はほぼ決定しているかのようなマスコミ報道が流れる。


経済財政諮問会議:「消費増税、必要」 民間議員指摘
毎日新聞
 2013年07月31日 東京朝刊
 政府は30日、参院選後初の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)を官邸で開き、伊藤元重・東大大学院教授ら民間議員が予算の全体像について提案した。民間議員は、2015年度に国と地方の基礎的財政収支の赤字を国内総生産比で10年度(6・6%)から半減させるには、消費税率引き上げが必要と指摘消費増税にあたっては、低所得者層への配慮や中小企業の転嫁対策を行うべきだと主張した。


 民間議員は「14年度予算はデフレの早期脱却と財政健全化目標に向けた第一歩」と説明。経済成長による増収を考慮しても、消費増税が必要との考えを示した。一方で増税の際は、デフレ脱却と両立の観点から、一時的な需要落ち込みなどへ対応策を求めた。また、15年度の財政健全化目標達成に向け、経済成長による税収増と、社会保障を含む徹底した財政の効率化を実現する必要があると提案した。甘利明経済再生担当相は会議後の記者会見で「(消費税率を)上げないという選択肢は、よっぽどの外的要因でもない限り、ないと思う」と述べた。【田口雅士】
http://mainichi.jp/select/news/20130731ddm008020047000c.html


この記事では、甘利大臣がリーマンショッククラスの外的要因がなければ予定通り来年4月から増税すると言っているように取れるが、実際のやり取りは次のようなものだ。


問)消費税の引上げの判断についてお尋ねしたいのですけれども、秋に御判断されるということですが、まだ、引き上げないという選択肢は残っているのでしょうか


それはないと思います全く引き上げないという選択肢は。いろいろな設計が全体像としてありますから、社会保障と税の一体改革もそうであり、待機児童ゼロ作戦もそうであり、いろいろな政策と消費税とが組み合わさっている部分があります。全く上げないという選択肢があるとするならば、よほど外的な、リーマンショックのようなことが起きたとか、その種の外的要因でもない限り、それはないと思います。ただ、いろいろなシミュレーションの中で、日本経済にとって一番いいやり方はどうなんだろうかということを識者からいろいろと御意見を伺うということになるんだと思います。


)今の関連ですが、上げないという選択肢はないと思うという……


(答)いや、よほどのこと、つまり外的な大きなショックでもない限り、全く上げないという選択肢はですね、そうしたものでもない限りないと思います。


このやりとりでは『引き上げないという選択肢』と言っているが、決して「来年4月から予定通りに」とはどちらも言っていない。そこで、来年4月からだと思っているらしい記者は、次のように質問するが、甘利大臣の答えはつれない。


)ただ、上げ方について、今法律で決まっている、来年4月に8%、再来年10月に10%ということが法律では決まっているのですが、その上げ方について、まだ選択の余地はあるというふうにお考えでしょうか。


)それは私が言及することではありません。識者の方、専門家の方が日本経済、まずデフレの脱却、そして財政の再建にとってベストな道はどうであるということをいろいろお話をいただくのだと思います。私の今言えることは、法律に定めてあることが順調に行われるように最大限環境整備をしていくということに尽きます。


そこで、頭の中が「?????」になった、記者は次のように念を押すが、返ってきた答えは安倍総理や麻生副総理と同じく、附則18条から一歩も出ないものだった。


)今の関連でもう一度だけ確認をさせていただきたいのですけれども、消費税率を上げない選択肢はない、よほど変なケースでない限り、ということなのですけれども、幅はさておき、来年4月に上げない選択肢はないということでよろしいでしょうか。


総理がいずれにしても判断されることです。これは私が判断することではありません。そして、法律では、来年4月から8%に上げ、その1年半後に10%に上げるという法律はもう成立しているわけであります。その法律の附則に、その判断を行う際に、経済がしっかり好転をしているということを総合的に判断できることが前提であると書いてあるわけです。もし引上げをしない場合には、新たな法律を出さなきゃならないわけであります。政府としては、成立している法律が、法律の目指すところに従って粛々と対応ができるように最大限の環境整備を行うというところでありまして、その時点で総理がどう判断されるかであって、私が予断を与えることはいかがなものかと思っております


甘利大臣の「上げないという選択肢はない」というのは、どうやら「4月」に上げない選択肢はないという意味ではなく、「法律で決まった増税そのものを止めることはない」という意味のようだ。結局、実施時期については、附則18条どおりとの従来からの方針のままなのである。


毎日新聞もそれは分かっていて、記事に(消費税率を)とわざわざ入れているが、(4月から)とは書いていないので、記事を読んだ人の大半は、消費税は来年4月から上がると思うことだろう。既成事実化は着々と進んでいるのである。


そして、先日の会見での麻生副総理の意味深な発言も、今回の甘利大臣の発言も、マスコミが既成事実化を図ると分かったうえでしている可能性がある。同じように、安倍総理の側近中の側近の世耕官房副長官や盟友高村副総裁も4月からの増税に積極的ともとれる発言をしている。


駆け込み需要を引っ張りたいのか、増税派を静かにさせるためか、安倍総理の真意がどうにも見えてこないが、裏で増税を巡る激しい情報戦争が行われていることだけは確かなようである。

(以上)


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