もうオレは「アルバニア」と聞いただけでビビっちゃう。
ニューヨークで売人をやっていたときも「アルバニアマフィアだけには逆らうな」とプエルトリコマフィアも言っていたし、ギリシアに住んでいたときもアルバニアマフィアとすったもんだあったからね。
モンテネグロのヘルツェグ・ノヴィからバスで4時間、国境近いウルッツィニでバスを乗り換え1時間半でアルバニア北部のシュコダルに着いた。
アルバニアはギリシアのとなりにありながら、鎖国政策をとってきたので、謎に包まれている。
ムッソリーニのイタリアやヒットラーのドイツに占領され、大戦後は共産主義になった。
共産主義時代は宗教が禁じられていたが、現在は7割がイスラム教徒である。
コソヴォ問題も当時85%を占めていたアルバニア人が武装蜂起したところからはじまり、国連の保護領となった今も不安定だ。
ときどきバスが乗り込んできた武装集団に襲われるという。
とりあえず自分の目で見てみよう。
泊まったカドゥク・ホテル(3000円)はシュコダルの中心部なのだが、街へ出ると人々の視線がいっせいに集まる。
闇両替屋やタクシーの客引き、バスのチケット売りや観光客狙いのあやしいやつやらが声をかけてくる。
おお、これでいつもの旅らしくなってきた。
ヨーロッパは洗練されすぎていて、この危険な匂いがない。
オレはストリート育ちなので、こういう連中といると安心するのよ。
シュコダルからバスで2時間、アルバニアの首都であるティラナへむかう。
「LAVAZE」という洗車屋と「MOBILERI」という家具屋が多い。
アルバニアは数年前まで一般人の車の所有を禁じていた。
それが自由化し、マイカーが急増したので洗車屋が繁盛してるのだ。
民主化した新興国における建設ラッシュで、家具屋も売れているのだろう。
やっと人々は自由をとりもどし、自分の生活に金をかける余裕が生まれたんだ。
オレのかってなマフィアのイメージはすぐにいらなくなった。
そりゃそうだ、ヤクザ映画を見た外国人が日本人全員がヤクザと思い込んでビビってるようなもんだ。
アルバニア人は陽気で人情が厚くて、ギリシア人に近い感じだ。
首都ティラナの街もアラブみたいな活気があって、
トウモロコシやフルーツの屋台や、
道に商品を並べて売っている者や、
色とりどりの色彩にあふれている。
降り注ぐ木洩れ陽。
カジノも多い。
羊の頭のバーベキュー。
これはなんとタバコ!
オリーブも名産。1kg300円という安さ。
ベリーダンスの衣装。
毛皮を利用して書いた絵。「おまえに似てる」笑われた。
アルバニアのイコン、マザーテレサ。
アメリカのイコン・ミッキーと日本のイコン・キティ
立派なオペラハウス。
フレスコ画がみごとなモスク「ジャミーア・エトヘム・ベルト」。
アルバニア大学「UFO」って!?
おすすめグルメは古風なレストラン「Oda」の
「タヴァ・プランツ」(450円)は、陶器でもつを煮込んだ絶品の郷土料理だ。
バルカンの秘境アルバニアは、日陰の存在から抜け出そうとしている。
1997年のネズミ講破綻による混乱からぬけだし、順調に経済も伸び、EU加盟を目指し「安定化連合協定」にも署名した。
なんか闇の時代をくぐり抜けて、今はスポット浴びる仕事をしている自分と重ねて愛着を感じてしまう。
闇を知る者は、光のありがたさを知る。
がんばれ、アルバニア!
※ライブスケジュール
※幻冬舎文庫「COTTON 100%」発売記念AKIRA絵画販売中(No1.2.3.5.8が売れたので残り5点早い者勝ち)
※著作ページ
※CDページ
※AKIRAライブの作り方